刑務所の食事が証明しているごはんの利点 | 幕内秀夫の食生活日記

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「食」にかかわる諸々を綴っていきます

 ごはん、味噌汁(しじみ)、ぬか漬け(にんじん・大根)、冷奴、鰯の大葉揚げ

 

結局、お米を食べることは健康にいいのか? 悪いのか?

萩原圭祐 の意見 • 昨日 6:00

「1日3食では、どうしても糖質オーバーになる」「やせるためには糖質制限が必要」…。しかし、本当にそうなのか? 自己流の糖質制限でかえって健康を害する人が増えている。若くて健康体の人であれば、糖質を気にしすぎる必要はない。むしろ健康のためには適度な脂肪が必要であるなど、健康の新常識を提案する『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』(萩原圭祐著、ダイヤモンド社)。同書から一部抜粋・加筆してお届けする本連載では、病気にならない、老けない、寿命を延ばす食事や生活習慣などについて、「ケトン食療法」の名医がわかりやすく解説する。

お米を悪者にするのは、やめませんか?

糖質制限」というと、私たちは、ご飯もパンも、麺類もケーキも、あらゆるものを一緒くたにして「食べてはいけない」と考えがちです。

 その中でも、特にご飯(お米)は悪者と考えられています。

 では、実際にお米は体によくないのでしょうか? 答えは、明快です。

 日本の地域住民を対象とした大規模な疫学研究プロジェクトに多目的コホートというものがあります。この多目的コホートでは、お米をとる量と糖尿病の発症を調査しています。

 その結果は、男性と女性では異なります。

 男性は、お米を多くとっても影響はありませんでした。

 一方、女性は、お米をとりすぎると糖尿病になりやすくなります。

しかし、細かく見ていくと、男性でも女性でも、1日1時間以上の運動または、肉体労働をしている人たちでは、お米の摂取量と糖尿病の発症とは関係がなくて、体を動かしていない事務仕事の方々は、お米のとりすぎが、糖尿病の発症と関係していました。

 つまり、そもそも、お米が悪いのではなく、筋肉量や運動量が足りないことがいけないのです。

 実際、厚生労働省の報告でも、戦後一貫して、私たちの平均歩数は減り続けていることがわかっています*2。つまり、「生活習慣を見直せ」ということです。

*2 厚生労働省「日本人の栄養と健康の変遷」 2021年12月7~8日に日本政府の主催により、東京栄養サミット2021が開催。その際の関連資料として厚生労働省から発表された資料。https://www.mhlw.go.jp/nutrition_policy/global/pdfs/changes_in_nutrition_and_health_jp.pdf

 また、お米の健康への影響は、アメリカ・カリフォルニア州で行われた約9万5000人への調査でも実証されました。

 お米の摂取は、腎臓がん、肺がん、すい臓がんなどでは関係ありませんでした。乳がんでは、わずかに関係があるかもしれないという結果でした*27。

*27 Sanchez TR, et al. Association between rice consumption and risk of cancer incidence in the California Teachers Study. Cancer Causes Control. 2020 Dec;31(12):1129-1140. DOI: 10.1007/s10552-020-01350-9.

 つまり、様々な研究で「お米を食べていることが、健康によくないかもしれない」と調査されても、お米が悪者であるデータは、出てこないのです。

「働かざるもの食うべからず」

「腹八分目で医者いらず」

 なんとなく、怠け者をしかるイメージのことわざですが、冷静に考えれば、あまり動いていないときは、食べすぎないようにというふうにも理解できます。

 昔から伝わる言葉をかみしめて、安易にお米を減らす前に生活習慣を見直すべきなのです。

▼今更の記事ですね。何度も書いてきたことですが、穀類やいも類に含まれる複合炭水化物と精製された白砂糖や異性化糖を同一視することが間違いの始りですね。ただ、穀類の場合でも「ごはん」のように余計なものが含まれないものと、市販のパンのように極度に精製され、精製糖を含んだものを一緒にすることはできないと思いますね。

 それと、よく何万人の調査というのが発表されます。それをどこまで信じていいのか?ほとんどが自己申告ですから、信用できるのか?その点、もっとも信用できるのが刑務所だと思います。何しろ、完全管理です。

 この本は元福島刑務所の医務官が書いたものです。何と糖尿病のある受刑者の8割が改善したとアメリカの医学雑誌に発表しています。本書の中で著者は、「刑務所の食事は中々いいと思うが、とにかくごはんが多い」と述べています。何しろ、刑務所の食事の「食材費」は3食で約500円ですから、副食にそれほどお金をかけられません。それでも、何とか空腹を満たさなければなりません。結果、大量のごはんで空腹を満たすことになります。ホリエモン氏なども刑務所に入った当時、ごはんの多さに、やっとの思いで食べたと書いています。

 一切の間食や夜食などがないのですから、これほど信用できるデーターはないでしょう。もっとも、これも「大量のごはん」だけで語るのはどうなのかという疑問も残ります。規則正しい生活の中の「食事」だと言うことを忘れてはいけないと思います。いずれにしても、「ごはんが悪い」などというのは何の根拠もない話だということは、刑務所が証明していると思いますね。それと刑務所の場合は、「麦飯」だというのもいい点だと思います。