剣が君 百夜綴りをプレイ中です。
鈴懸の物語を読了したのでレビューを書いていきます。
金盞花の書
①常夜の門
荒魂エンドのその後を描いた物語。
異天つ霊剣布都御魂に祝福された鈴懸が、瘴気にあてられた蓮台野の妖怪たちにやられっぱなしだったのが意外でした。無事に常夜の門は封じることができたのにね。
反魂呪の代償って相当なものですよ。自分勝手な欲望で禁術を使った奴らは自分以外の人間のことなんかお構いなしだったのでしょう。特に朝倉ね。
せっかく家光の懐刀になったのに、鈴懸が気の毒になりました。
本当の望みは人間と妖怪が争うことなく平和に暮らせる世の中を作りたいだけなのに、一番刀になってしまったがために巡り巡って妖怪を殺さなければならなくなってしまったんだから。
思っていることと行動がちぐはぐになれば、そりゃ葛藤しますよ。
私は鈴懸が江戸に下りてきて人間として暮らすことに反対だったのですが、カルラの話を聞いたら神おろしの神託を受けた鈴懸はどうしたって運命から逃れられないんだと悟りました。
せめて鈴懸が徳川の思惑に踊らされて自分を見失うことがないようにと祈るばかりです。
②その意思を受け継いで
奇魂エンドのその後ですね。ちょっと見るのがつらい。
鈴懸が命を賭して百鬼夜行を止めたのに、またしても妖怪と人間が衝突する事件が起きるなんてね。
香夜ちゃんは偉いよ。私だったらきっと鬱になって何もできやしないと思うのに、仲裁に入って鈴懸の無念を晴らそうとするんだもの。その心意気が素晴らしいと思いました。
結果的にカルラがいたからいいようなもんだけど、下手したら香夜ちゃんも鈴懸の二の舞になりそうで怖い…。
でも、その願いは尊いと思います。人のまっすぐな気持ちって大切にしたいですね。
③初めての芝居小屋
FDだったらこういうのが見たいんですよ。こういうのでいいの。
鈴懸は18歳まで高尾山で育ったから、常識とか社会性とか欠けているのは事実だと思うけど、そんなに気に病んでいたなんて思いませんでした。
たぶん周りが気づいていないだけで、ものすごくアウェイな感じだったんでしょうね。
あんなに無邪気で溌剌としていても、どこか違和感があって孤独を捨てられなかったのかもしれません。
でも、たくさんの患者さんに愛されてるんだから、これからも香夜ちゃんと手をとり合い仲良く暮らしてほしいと思いました。
④呪いの効能は?
これはほっこりしますね。長七郎が利発的で行動力もあって健気でかわいい。
盆の窪に息を吹きかけるおまじないが笑えた。正しくは長距離から相手が振り返るようにまじないをするっていうのも想像したら笑えます。
異天つ霊剣布都御魂のお告げとかそんなの関係なく、高尾山でみんなと和気藹々暮らしている鈴懸が一番鈴懸らしいなと思ってしまいました。
⑤かまくらに灯火を
こういうのいいですねぇ。江戸で暮らす2人の日常。しかも雪が降っていて風情がある。
他のキャラクターもみんな一緒になって、大人も子どもも関係なく雪ではしゃいで楽しそうです。
平和だなぁ。
長屋の人々が寝静まった頃に2人がかまくらの中で語り合うシーンが、幸福に包まれていて見ていて安堵しました。鈴懸には幸せになってほしいもの。
このお話が1番好きです。
⑥⑦鈴懸過去編
他のキャラほど過酷な人生ではなかったので、いくらか安心して読むことができました。
しかし、人間として生まれたにも関わらず、妖怪たちが人間を憎み蔑むあまり高尾山から出ることもままならず、ある意味では鈴懸の孤独は既にこのときから始まっていたといってもいいのかもしれません。
12歳頃?の鈴懸がめっちゃかわええ。そのまんま成長しなくてもいいよ?と思うほどのかわいさ!
思えば発語するような歳になっても暫くは洞窟に閉じ込められていたことを考えると、発育不全になってもおかしくはないなと思ってしまいました。
人間は太陽の光を浴びなければ骨が成長しないじゃないですか。鈴懸が1番小さいのってそういうこともあるかも?って勘繰ってみたり。
私はカルラに抱きつく鈴懸のスチルがすんごい好きです。なぜか泣きそうになる。
育ての親が天狗ってだけですごいけど、でも2人の絆は格別なんじゃないかと見ていて思いました。
異天つ霊剣布都御魂のお告げがあったからとはいえ、ここまで人間を育てるのは並大抵のことではないと思うんですよ。
それなのに将来のことまで見越して、医学と薬学のほかに剣術まで教えるなんて人間の養育より手厚いかもしれないと思ってしまいました。ここまでに仕上げるのは大変だったろうに。
確かに鈴懸は日の本を救う運命の子であることには変わりないんでしょうけど、直接カルラに何か恩恵があるかというとそうじゃない。
広義の意味ではカルラも生き永らえることはできるだろうし、過去の憂いを多少なりとも払拭することはでしょうけど、そういうあからさまな期待というのはあまり感じなかっただけに、この2人の関係性は温かいなぁと思えました。
家光や縁も国を思っているかもしれないけど、カルラもまた日の本のことを案じている1人なんですね。
まだ九十九丸の書は開いていないのですが、どうやら彼の父親がカルラに接触していてその際になぜか鈴懸も出会っているという因果。
この親父が後に禁忌を犯すのよねぇ…ったく、このおっさんのせいで鈴懸が苦しむことになるっていうのにさ。何がおっさんを狂わせたのか、この後確認してみます!
⑧運命は剣へと導く
せっかく江戸にも慣れて香夜ちゃんと穏やかに暮らしていたのに、運命は鈴懸を放っておいてはくれないのですね。
異天つ霊剣布都御魂に祝福されているし契約しているも同然なのだから、やっぱり自分がやるべきことを果たさなければ平穏は訪れないということなのでしょうか。
今回は事なきを得たけど、黄泉路はほかにもあるのだから別のルートでどっかの馬鹿が禁術を使ったりしたときには、また鈴懸が駆り出されるかもしれないし、幸魂エンドだと蓮台野に手をつけていないから遅かれ早かれこの日常は崩されてしまうのかもしれないと思うと暗澹たる気持ちになりますね。
香夜ちゃんは絶対に離れたりしないと熱く語っていましたが、あなたもそのたびに振り回されて傷つくかもしれないんだよー。
私は2人が末長く平和に暮らしていけるように願うばかりですわ。
「三日月宗近を持つ一番刀は何をやっているのだ」とツッコミを入れるカルラが好き(笑)情報通じゃん。そして反論できない家光さん気の毒(笑)
縁は絶体絶命の大ピンチにならないと神おろしできないんだよー(たぶん)