誠団

誠団

趣味アカです。2025年6月に急にhideさんが好きになってしまったので、何かとhideさんの話題(X JAPANやLUNA SEAなど界隈のネタ)が多いかもです。基本的にはスピリチュアルな思想ですが、飽き性なので随時ネタが変わります。
スピリチュアル貧乏営業キライ。気持ち悪いです。

兄弟 追憶のhideを読了しました。

 

 

 

hideさんのファンは各々で思うことはあると思います。

 

X時代からの往年のファンの方もいるだろうし、逝去して何年も経てからファンになった人もいるだろうし、X JAPANてナニ?っていうような若い子がファンになったりもするでしょうし、とにかく年代も性別も国籍もさまざまだと思うんです。

 

かく云うわたしにしたって、X JAPANはもともと知っていたくせに食わず嫌いしてたわけだし、hideさんのソロは軽く触れていたけど、ガチ勢というほどでもなかった。

 

だからこの本を読もうと思ったのも、単に思いつきというかそのときの気分だったと思います。

 

hideさんは自伝を出していないけど、hideさんにもっとも近い人…すなわち同じ血が流れていて幼い頃から素顔を知っていて、弱音も強みも知っている人が書いた実話なら、HIDEというX JAPANの飛び道具をプロデュースした松本秀人さんの真意がわかるのではないかと思ったんですよね。

 

でも、実弟ですら汲み取れなかった底知れない苦悩みたいなものが文章にはありありと滲み出ていたし、それを察することのできなかった自分の不甲斐なさに打ちひしがれ、罪悪感に押し潰されている裕士さんの慟哭もリアルに感じられて、読むのはなかなかヘヴィでした。

 

ロックスターってのは、こちらが想像するより遥かに引き換えて失うものが多すぎるのだと悟りましたし、それはhideさんの揺るがしがたい信念に端を発するものだと思いますが、そこまでせんでもいいのでは?と思うほどのプロ根性といいますか、自分を律する頑固さ、鋼の精神力に言葉を失いました。

 

読みながら絶句する。

 

子ども好きで知られるhideさんが、ROCKと引き換えに自分のプライベートを犠牲にしたり、自分の進むべき道から逸させないために敢えて独身を貫く宣言したりするのは、なんだか読んでいるうちにやるせなくなってきちゃって。

 

いいじゃん結婚しても!

子ども作ったっていいじゃん!

誰も責めないよ!

hideさんが幸せに笑ってくれていたなら、ファンだってうれしいに決まっとるやん!

 

…っていうのは、わたしの考えでしかないんだなと我に返ったら、なんだかとてつもなく虚しくなってしまいましたね。

 

子どもがいたらツアーどころじゃなくなる。音楽に集中できなくなる。っていうのは本音だろうとは思いますが、なんだかそれだけじゃないような複雑な心模様が透けて見える気がしたのです。

 

ファンのことは気にしていると思う。

 

所帯じみたロッカーなんぞ見たくないだろうって考えていたのかもしれない。

 

リスナーだった少年時代に、大好きなバンドが解散したとき「チクショー!なんで解散したんだよ!」と怒りと悲しみを大爆発させていたhideさんのエピソードを知ると、常にファン心理でベクトルが定められていたことが見えてくるので、きっとファンを失望させたくないという気持ちはあったと思います。

 

結婚したって子どもがいたって本領は発揮できると思うし、結婚したからって離れていく人はそれまでだと思うし、去るもの追わずでいいのでは?…とは私個人の観点ですが、hideさんは初期衝動を崩すような妨げになる要因を全部ぶっ壊して突き進もうとしていたんじゃないのかな?

 

初期衝動にとてもこだわっているのが垣間見えたので、おそらくそこから逸れるのが怖かったんじゃないのかな?っていう気もしています。

 

裕士さんがマネージャーについてから、何度かデートらしき現場に遭遇してると回述していますが、弟さんの知る限りでは女性と一線を越えるほどの深い仲にはならなかったみたいですし。(彼女はいても一緒に過ごす時間なんてほぼなかったんじゃないかな?)

 

いついかなるときでも見られていることを意識していなければならず、気を緩める瞬間といえば裕士さんが運転する2人きりの車の中だけだったんだろうなっていうのも窺い知れました。

 

津田さんが言ってましたけど、hideさんて主語ないんですよね。

 

弟さんとの会話を見ていたら「あぁ、なるほど」と理解しました。笑

 

なんのことかわからんし、リアクションに困る。

 

でもhideさんにしてみたら澱みなくレスポンスしてほしいんだろうというのも伝わってきたし、そういう感覚の人なんだなぁと改めて感じました。

 

感覚派である反面、根っからのヒーロー気質というか。

 

チカンを見過ごせない正義感はやはりhideさんの美徳であろうなと思ったり。

 

たぶんそういう男気から「hideは絶対に俺たちを見捨てない。期待以上のことをしてくれる。ダサいことはしない。常にカッコイイ」というブレないイメージがついて回ったんだと思います。

 

本人はそれを重々心得ているわけだし、そういう打ち出しでプロデュースしている以上、途中で曲げられなかったんでしょうね。

 

死ぬまで駆け抜けなければいけなかった。

 

それが裕士さんの綴った文面から読み取れたような気がします。あくまでわたし個人の感想ですが。

 

人を裏切るぐらいなら自分のやりたいことを諦める。その脆さは、常にhideさんの人生につきまとった。

 

裕士さんもその辺はよく分かっていたみたいですが、hideさんて本当にこういう人なんだよね。古参のファンの方ならよく知っていると思いますが、そこはわたしも1番最初に気づいた。

 

自分を第一優先にして、他人に縛られずに自分の願いをガンガン叶えていってほしいのに、他人のために自分を犠牲にしちゃうの。

 

他人の笑顔のために肉体も精神もボロボロにして、なにがhideさんをそこまで追い込んでしまうのか、わたしにはよくわかりませんでした。

 

サービス精神とひとことで片付けるにはあまりにも行き過ぎているというか…よく初期衝動というキーワードを耳にしましたが、やっぱりそれなのかな?

 

1番純粋だった頃の高揚感を宝物のように大切にしていたのかも。ファンに向けて余すことなく自分を表現して楽しませるのも、実は少年時代の自分への愛なのかもしれないなとも思いました。

 

LUNA SEAのINORANさんがよく使う「原風景」というやつですね。

 

hideさんの初期衝動については確実にトリガーされるので、今回もそんなことを思い浮かべてたら涙が止まらなくなりました。

 

自分の1番純粋だった頃っていつだろう?

全然思い出せないや。

なんかとてつもなくツライ。

 

純粋な心を持ったギターキッズの頃の自分をずっと大切に慈しんできたhideさんの心を思うと感動してしまう。

 

やさしい。あたたかい。

 

でも…X JAPANのギタリストとして大成したhideさんは、初期衝動を失わないように必死にキープしようとして、その摩擦に抵抗するあまり擦り切れてしまったのかもしれないです。

 

別にそれが死に直結してるとは微塵も考えてはいないですが、誰の目にも明らかに疲弊していたのは裕士さんの記述にもあるとおりです。

 

今でもhideさんの曲を聴くことができないという心に傷を負ったファンがいらっしゃるようですが、この本は5月2日の朝に一報をもらったところから葬儀の様子に至るまで裕士さんの心の声が痛々しく記されています。

 

まだ乗り越えられていない人にとっては地獄の追体験でしかなく、むろん読めないと思う。

 

しかしながら、弟さんにしか知り得ないこと、弟さんだからこそ分かる心の機微が切々と綴られており、ただ苦しいだけの殺伐とした日常というわけではない、兄弟だからこそ通じ合える心の交流も垣間見えてあたたかい気持ちにもなれます。

 

hideさんは兄ちゃんの顔を時折見せてくれたんだな。

 

身内の欲目を封じて、あくまでビジネスパートナーとして育て上げようという気概が強くあったけど、そんなhideさんの願いとは裏腹に、裕士さんを悪人に仕立て上げるファンがいるのは心底残念でした。

 

I.N.Aさんとkiyoshiさんもね、脅迫まがいの手紙やらメールやらあったんでしょうが…

 

誰かを悪者にしなければ心の痛みを紛らわせることすらできなかったのは理解できるけど、そんなことをしてもhideさんは帰ってこない。

 

葬儀場で裕士さんを罵ったり、罪悪感を突いて詰ったり…裕士さんはhideさんのことが絡むとみんなに責められるという場面が多かったのが引っかかりました。

 

それは子どもの頃からずっと続いてきたこと。

 

きっと兄ちゃんの荷物を肩代わりしていたんでしょうね。

 

hideさんにはスポットライトが当たるけど、裕士さんはそんなhideさんを影ながら支えた1人なんだなと感じました。

 

hideさん亡き後に敢行されたツアー初日、横須賀でスプレビメンバーもお客さんもみんな泣きながらライブを終えて、その映像を見てたらツラすぎて頭おかしくなりそうになって思わず泣いたけど、裕士さんのご尽力がなければ全国ツアーも横須賀のミュージアムも現実化していなかったかもしれないと思うと、その勇気に感服するしかなかったです。

 

みんなに死の商人呼ばわりされて、本当に地獄のような日々だったでしょうに。

 

こうして本を出版していただいたおかげで、松本秀人さんがプロデュースしたかったhideというエンターテイナーの輪郭がキリッと見えて、前よりも身近で人間味に溢れた魅力的な人として映るようになりました。

 

魂、受け継いでいると思います。