前回は、不確実性の高い状況下での意思決定について、

バイアスとヴァライアンスという二つの概念から分析してみましたが、


今回は、不確実性の高い状況でのリーダーシップはどうあるべきか、

という話をしようと思います。


コロナ禍で先行き不透明な中、組織運営に悩んでおられる経営者の方も非常に多いと思いますが、



組織運営がうまくいかなくなるのは、



組織の中で、


将来への見通しや、事業のビジョンや、会社の存在意義についての、それぞれの見解がバラバラになってくるからです。



このことを「みんなの見えている景色が違ってくる」と僕は呼んでいます。


客観的には一つの事象でも、見る人の見方によって見え方は全然変わってくるんですよね。


リーダーの役割は、


この、組織内でバラバラになってしまいそうな、


「景色の見え方」の


足並みを揃えることです。


とはいえ、


「多様な景色の見え方の中から、これというものを選び出し、みんなにそれを理解、納得してもらい、組織全体の足並みを揃える」という作業は、


言うは易し、行うは難しです。


圧倒的な人間力が求められます。


キーワードは、「ストーリーを語ること」です。


単に、決定事項を伝えるのではなく、


我々は今、こういう文脈の中のこういう立ち位置にいる、だからこそ、今ここでこれをやる必要があり、この先にはこういう未来が待ってると信じて頑張り抜こう


というストーリーを語ることが大切です。

7000キロ先に行くことになりましたのでよろしく、

というんじゃなくて、


みんなでハワイにいってワイキキビーチでどんちゃんできるように頑張ろう


と語らないといけない。


とはいえ、ストーリーを語るだけでは、足並みは揃いません、


大切なのは、


ストーリーを語りつつ、実際にそのストーリーに沿って動き出すことです。


行動の中で新たなストーリーが生まれます。


そこで足並みが揃っていきます。


ストーリー✖️行動が強固な雪だるま組織をつくるのです。


もちろん組織の多様性から来るさまざまな意見を重視することは大切ですが、リーダーはそれを包摂した上でストーリーを語り、行動を始めるのです。



もちろん、ストーリー✖️行動で、必ず良い結果が保証されるというわけではありません。


ただ、危機的状況を突破する組織では必ずといってよいほど、ストーリー✖️行動があるのが事実です。

面白い話があります。


「あるとき、ハンガリー軍の偵察部隊が、アルプス山脈の雪山で遭難して、チーム全員に死の危機が迫った。そんなとき、ある隊員のポケットから一枚の地図が発見された。その地図は下山への大まかな方向性を示すものでしかなかったが、チームは一丸なってその地図を信じて進んだ結果、無事下山した。あとで調べたところその地図は、アルプス山脈ではなく、ピレネー山脈の地図だった。」


何が言いたいかというと、語るストーリーは必ずしも客観的事実と合致してる必要はないということです。


そこに躊躇してはいけません。


今は事実ではないかもしれないけれど、


あとで必ず真実にする。


という気迫でストーリーを語り、


組織の中の足並みを、


腹の中から揃えることです。


そこに突破口があります。


嘘から出たまこと


とはよく言ったものです。