マリウポリの20日間 を見ました。
ウクライナのマリウポリがロシア軍の侵略を受けた20日間の
AP通信社の撮影クルーが命懸けで撮った映像です。
この歴史的事実を記録に残すため、高い志を持ってカメラを回す記者たち
本物の現代の戦争はこれだ! と凄惨な映像を目の当たりにしました。
ロシアに近いマリウポリは大きな港があり工業が盛んな要衝の都市。
承知の通り、ロシア軍は19万人の軍勢で複数のルートからウクライナへ侵攻。
空爆で市民の家、通信施設、発電所を破壊、
過酷な寒さの中停電、スマホはつながらない、ラジオもテレビも映らない
市民は何が起こったのか全く分か無い状態に陥る。
家が火事になり、どうして消防車が来てくれないんだと抗議する人々。
安全な場所はどこか警察に聞く人
ロシア軍は民間人は攻撃しないから家にいれば大丈夫。
それを信じられない人は避難するにも、どの方角へ逃げればよいのか・・。
日が経つにつれ、ロシア軍の包囲網はだんだん狭まっていく。
病院にも続々とけが人が運ばれる。
こぶしほどもある大きなミサイルの破片を麻酔無しで取り除く手術。
傷ついた子供を抱いて半狂乱で病院へ駆け込む母親。
停電のため暗闇の中で空爆の音を聞きながら涙を流す少女
やがて水も食料も薬も尽きてくる。
そして、安全なはずの病院の産婦人科病棟でミサイルが爆発する。
大きなおなかの妊婦さんが骨盤を砕かれて担架で運ばれる。
こうした阿鼻叫喚、壮絶な本当の映像が次々と映し出される。
通信社へ映像を送り、これを世界に知らせる。
その使命感で唯一携帯がつながる危険な場所へ進む記者たち
通信社に届いた壮絶な血だらけの映像は、ほんの一部を切り取られて世界中に配信される。
米国のテレビ、英国のニュースショー、フランス、ドイツ、ブラジル、そして日本のテレビ局でも
その映像はオイラも見た記憶があるのもばかリ。
短いそのテレビ映像の前後に壮絶な事実が隠されていたことを知りました。
一方、ロシアのテレビ局では、
この担架で運ばれる妊婦さんはアクターだ。実にうまい演技をしている。
フェイク映像に騙されてはいけない!
と報道する。
マリウポリの市民は全く情報が無い。
空爆しているのはロシア?ウクライナ?と記者に聞いている・・・。
一方で、遠く離れた日本のテレビの前の人々は衛星映像でロシア軍の情勢を把握している。
情報戦で膨大な量の真実とフェイクが溢れ、何が真実なのかわからなくなる。
一方で本当に必要な情報はマリウポリの市民には伝わらず、日本のお茶の間には届く・・。
なんともやりきれない重い石を飲み込んだような沈鬱な気持ちになりました。