答えます・松本亨ラジオ英語会話15分間に隠された英語習得への鉄則 | 石渡誠 Language Teaching for a Better World

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FORWARD代表 石渡誠

先週末、松本亨博士が担当されたNHKラジオ英語会話の録画を公開しました。多くのコメントをいただき、ありがとうございました。この放送回は1971年7月20日のもので、全体で15分間の内容でした。博士の声を初めて聞かれた方も多かったようです。

低音で響く声、ゆっくりとした話し方、そしてもちろん卓越した英語力などについて、たくさんの感想をいただき、とても嬉しいです。また、現在のラジオやテレビ、アプリ、YouTubeなどの英語番組とは全く違う点についても、多くの方が言及してくれたことに感謝しています。

そして、最も気になっていたのは、多くの英語の達人をリスナーから生み出した秘訣や英語習得の鉄則についてでした。

早速ですが、私の答えを書きますね。

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前回のブログには、番組開始から4分30秒までを書き起こしたトランスクリプトを掲載しておきましたが、実はそこにも重要なヒントがありました。

それは、一切日本語が使用されていないことです。挨拶から、2つのスキットの内容、そして出てくる単語に至るまで、全てが英語です。和訳や日本語の解説は全くないのです

冒頭のテーマ音楽を加えると、15分間の番組の最初の3分の1は、まったく日本語がありません。その後、サラッと会話文が1回だけ和訳されていますが、その後また単語や新たなスキットに入り、読み聞かせやリピートをリスナーに何度も促しています。

10分が経過したところで、その回のキー表現である "What brought on the change?" の説明を、「何が変化をもたらしたのですか? bring on もたらす」と一言だけ日本語で話しています。

 

でもすぐに "Right. This time you close your book and follow me." とテキストも閉じるよう指示しています。そして博士の声に沿ってスキットをリピートさせるのです。途中でアシスタントのレイノルズさんと内容に関連した、簡単な会話も挟み、またスキットのリピートを繰り返します。

このように番組の最後の5分間では、テキストも見ずに、英語だけを聴くことで、スキットの記憶を自動化させているのです。

和訳はもとより、日本語での解説がないため、内容が全く分からないと感じることもあるでしょう。ただし、テキストには日本語の追記があるため、テキストを読める方には日本語の解説は不要でした。

ある意味で、エンターテインメント性もなく、淡々とした調子で行われた番組ですが、そこには英語習得の鉄則があったわけです。

 

 

 

その鉄則とは「英語そのもの」を習得するということです。
 

多くの日本人は「英語そのもの」ではなくて、「英語についての知識」を学ぶことが英語学習になってしまっています。
 

そして「英語についての知識」を日本語で学んでしまうという、さらなる迷路に入ってしまっているのです。

 

たとえば、番組中に日本語の訳や解説が多く入ってしまうと、一生懸命に学んでいる人でも、最終的には英語よりも、日本語が頭に残ってしまいます。

 

当然ながら、どんなに和訳や文法など日本語による説明を覚えても、「英語そのもの」を覚えていなければ、英語が使えるようになるわけがありません

 

それでは「英語そのもの」とは何でしょうか?

 

それは単語でも、文法でも、英語のロジックでもありません。

 

答えは「英語の音」です。単語も文法も英語のロジックも全て「英語の音」で成り立っているのです。

 

「英語そのもの」は「英語の音」なので、日本語の説明ではなくて、英語を聞かせて話させなければいけません。

 

最初は分からない、聞き取れない、話せなくても、「英語の音」を何度も聞いて、何度も話すことを繰り返すなかで、自分のものになってきます。

 

なので英語習得の鉄則は「英語そのもの(音)を習得する」ことであり、そのためには日本語は必要がないということです。

たった15分間の番組ですが、ほとんど日本語を介さず、指示も "Follow me" などと簡単な英語のみで進行しているため、学習の密度が濃く、多大な効果があったのです。

だから、博士のラジオ番組を熱心に聴かれた方々からは、英語の達人も多く輩出されたというのも納得がいきます。

博士の提唱された『英語で考える』というのは、実はこの「英語習得への鉄則」に従えば、自然と身につく能力だったのです。

 

まだ聴かれていない方はもちろん、既に聴かれた方も、その鉄則をこの録音から体験学習してみてください。