MBAによるキャリアチェンジへの挑戦 -5ページ目

久しぶりに大阪の淀屋橋に日帰りで行ってきました

今日は大阪の淀屋橋で13時半から面接があり、新幹線で行ってきました。


前職では大阪に年間に10回くらい行っていたことや、淀屋橋で働いている弁護士の先生には本当にお世話になったこともあり、淀屋橋はとても懐かしく思いました。


2月くらいまで外資系戦略コンサルや外資系のマーケティングで有名な会社ですら書類を通過していました。しかし、3月くらいは、直接もしくは人材紹介会社を通して数多くの応募書類を送りましたが、書類審査を通過することは1つもありませんでした。日本ではあくまでも過去の職務経歴を評価するのであり、MBAは採用のときに高く評価されることはないとつくづく思いました。


そんな時に、神戸の人材紹介会社を通じて応募した大阪のある企業が私に関心をもっていただき、往復の交通費を支給していただけることもあり、1次面接に行ってきました。


神戸の人材紹介会社の女性はとても気合いが入っていて、わざわざ新大阪駅まで迎えに来てもらい、会社の受付まで同伴してくれました。


これまで外資系企業の面接が続いていたためか、面接は小さな会議室で面接官(1~2名)と同じテーブルに座る形式だと思い込んでいました。しかし、面接が行われる部屋に入ると、目の前に長机が一列に並べてあって5名の面接官が座っていて、その前に自分が座る椅子がポツンと置いてありました。このような日本企業の面接の形式は5年ぶりだったので、びっくりしました。


面接では、人材紹介会社から提示された応募職種について志望動機を述べていたところ、後半になって先方はその職種ではなく、MBAホルダーとして違う職種として採用の見込みがあって面接をしていただいたことが判明。このようなこともあり得るのですね。


14時半に面接が終わり、すぐに新幹線に乗って東京へ戻り、18時20分からの佐山展生教授の「M&A実践論」のクラスが始まる直前に教室に着くことができました。毎回、佐山先生の実体験にもとづく雑談はとても面白いです。


今、大阪の企業に積極的に応募しているので、順調に書類選考が進めば、今月と来月は大阪に行く機会がたくさんあると思います。


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ユニ・チャーム会長 高原慶一朗氏の“私の履歴書”(2010年3月)

2010年3月18日の「ルビコンの決断」でこの不況下でも増収増益を続けている“ユニ・チャームの快進撃の秘密” が大人用オムツ開発のドラマをもとに放送されました。ゲストのワタミ会長の渡邉美樹会長がおっしゃっていたように、ユニ・チャームは消費者に価値あるものを提供し続けている素晴らしい企業だと思いました。


その番組を見た後、米倉誠一郎教授(一橋大学イノベーション研究センター長)がユニ・チャーム創業者の高原慶一朗氏にこれまでの歩みと経営哲学を語ってもらったBBTの「アントレプレナーライブ50」 を見直してみました。素晴らしい経営者だと思いました。


ご存じの通り、マーケティングで有名なP&Gは日本の紙おむつ市場で一番ではありません。それは、高原慶一朗氏がいるためです。P&Gのマーケティングノウハウを持ってしても、ユニ・チャームには勝てなかったのです。


数日前、図書館に行って日本経済新聞のバックナンバーをパラパラとたまたまめくっていたら、2010年3月の「私の履歴書」は高原慶一朗氏であったことに気づきました。今日、時間があったので、図書館でじっくり読んでみました。


心の底から感動しました。


高原氏が起業前の20代の頃に休日返上で働き続けたことや消費者の立場で価値提供することをとことんまで考え抜くために女性用の生理用品を自分の股に貼って試してみるなど、学ぶべきことがたくさんありました。


一番感動したのが、日本の紙おむつ市場でP&Gが約90%のシェアを持っていたときに、生理用品を作っていた小さなユニ・チャームが紙おむつ市場に参入して、P&Gを打ち負かしたときのお話。参入する前は、子供(ユニ・チャーム)が横綱(P&G)に挑むようなものだと社内で強い反対があったようですが、P&Gの平面用オムツではなく消費者視点で利便性が高い立体型のオムツで参入したことが日本市場での勝因だったようです。外国では、日露戦争で日本の連合艦隊がロシアのバルチック艦隊を破ったようなものだと報道されたようです。


そうえば、昨年のICSのExecution Management のクラスで、菅野教授は高原慶一朗氏の言葉を「1:10:100」の法則として紹介していたことを思い出しました。菅野教授の著書「経営者になる 経営者を育てる」を見ると、137ページに以下のようにその言葉が記載されていました。


「経営を実践する者として、身にしみていることがあります。アイデアを考えるのに必要なエネルギーをとすると、それを実行するのには10のエネルギーが必要だ、と最初から思うクセがついています。そして、成功するためには、さらに100のエネルギーがいるんだということを肝に銘じています。」


経営者になる 経営者を育てる/菅野 寛

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偉大な起業家が起業をすることによって、より多くの人がより価値の高い商品を利用することができるようになったことは、本当に素晴らしいことだと思います。


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キッコーマンのグローバル経営 / 茂木友三郎著

先日、BBTの「経営者ライブ 100」 でBCG日本代表の水越豊氏がキッコーマンの代表取締役会長CEO茂木友三郎氏にインタビューする番組を見ました。キッコーマンのグローバル化と人材育成のお話はとても興味深かったので、著書「キッコーマンのグローバル経営‐日本の食文化を世界に‐」を読むことにしました。


キッコーマンは老舗の日本の伝統的なしょうゆメーカーの印象をお持ちかもしれませんが、2007年3月時点で全体の売上のうち約28%を海外で占め、さらに営業利益は全体の51%を海外で稼いでいるグローバル企業です。


そのグローバル化を大きく進めたのが、茂木友三郎氏です。1970年代前半にまだ日本の大企業が米国に生産工場を建設していない時に、茂木氏はアメリカの生産工場建設のプロジェクトを任せられて、苦労の末、立ち上げをします。また、キッコーマンのグローバル化は他の日本企業のものとは異なる点は、日本の「しょうゆ」は海外にはない商品のため、まず認知をしてもらい、その良さを理解して実際に購入してもらうというプロセスを経て普及しなければいけない点です。どのようにアメリカ人やヨーロッパ人に「しょうゆ」を普及していったストーリーはとても面白かったです。


茂木氏の人材育成に対する以下の考えは、自分のキャリアを考える上でとても参考になりました。


1. 入社後の最初の10年、つまり30歳までに自分なりの専門性を一つ身につけ、次の10年、40歳までにさらに一つというように、スペシャリティを積み上げていくことが大切。
2. グローバル人材に求められる要件は外国語(英語の他にさらにもう1カ国語)と異文化への適応性


グローバル人材になるためには、まずはスペシャルティを築いた上で外国語と異文化への適応性が必要であるとのこと。適応性とは相手が変われば、それに応じて自分も柔軟に適応できる能力のことで、アメリカに住めばアメリカの文化に、中国に住めば中国の文化に適応できる人でなくてはならないということです。


なお、茂木友三郎氏は1961年(昭和36年)にコロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得されていて、東京オリンピック(1964年)の前に米国でMBAを取得していてすごいと思いました。


キッコーマンのグローバル経営―日本の食文化を世界に/茂木 友三郎

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「日本の経営」を創る(三枝匡×伊丹敬之)

先日の記事 で、三枝匡さんの三部作の感想を書きました。


3部作を読んだ後、三枝匡さんと伊丹敬之氏(元一橋大学大学院商学研究科教授)が対談をした"「日本の経営」を創る 社員を熱くする戦略と組織"を読みました。


この本を読むことによって、アメリカ流経営と日本的経営の違い、V字回復の経営の中で示された「創って、作って、売る」というサイクルについての理解がとても深まりました。


私が一番深く考えてしまった内容は、第3章の「論理化する力・具体化する力」のところです。そこに以下の図があります。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-logic and embodiment


図の説明をすると、現実の世界でAという現象が起きているとします。その現実の現象を論理化・抽象化してみると、概念の世界にアルファというものがあると考えます。これが、論理化あるいは抽象化のプロセスです。そして、その論理化・抽象化された概念(アルファ)を自分の置かれた環境と思われるところに概念の世界で変形(α’, α’’, α’’’)をする作業を行います。そして、その概念を新しい現実の状況や現場に当てはめるのが具体化のプロセスです。


伊丹教授のように学者の場合は、論理化(抽象化)のプロセスが一番の核です。伊丹教授の名著「経営戦略の論理」はまさに様々なビジネスの事例から分かりやすく経営戦略を論理化・抽象化したものと言えると思います。


対談の中で三枝氏が説明していますが、BCG(ボストンコンサルティンググループ)が日本的経営の強みを分析して「タイムベース競争」 というコンセプトを提唱したプロセスも論理化・抽象化と言えるでしょう。


三枝氏は、ビジネスマンはビジネスの現場で起こっていることや自分の経験を論理化(抽象化)して一つの概念にまとめ、更にそれを解凍して新しい状況に当てはめる(具体化する)ことを説いています。実際、「V字回復の経営」の中で実際に三枝氏が行った改革案の作成プロセスも問題点などを抽象化して、それを具体的に落とし込んだものです。


マッキンゼーのProblem Solvingのアプローチ(PSA)も同じことだと思いました。PSAでは、本質的問題を発見するために帰納法によりメッセージを結晶化していくプロセスを行いますが、それは図の論理化・抽象化に該当すると思います。また、本質的問題を発見した後に具体的な解決策の行動計画を作成しますが、それは図の具体化(具象化)に該当すると思います。


この本を読んで、論理化(抽象化)と具体化の重要性とそのスキルを磨きあげることこそ、学者やビジネスマンにとって、一流になる道だとつくづく思いました。


「日本の経営」を創る/三枝 匡

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キャズム‐ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論(ジェフリー・ムーア著)

ジェフリー・ムーアの「キャズム‐ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論」を読みました。


この本はハイテク・マーケティングに関するかなり衝撃的な内容であり、論理もしっかりしていると思いました。最初から最後まで休まず、ぶっ続けて夢中になって読みました。


「キャズム」は「イノベーションのジレンマ」同様に有名な用語で、MBAホルダーとしてキャズムを知らないと恥ずかしいかもしれません。


キャズムについてはマーケティングのクラスで簡単に教えてもらいましたが、この本を読んで初めてキャズムが存在する理由について分かりました。理由を理解すると、この本の価値はものすごく高いと思わざるを得なくなりました。


通常、マーケティングでライフサイクル理論というものを習います。「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」の4つの段階からなります。この本の中では、以下の図のようにテクノロジー・ライフサイクルが分類されています。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-chasm

ジェフリー・ムーアはシリコンバレーでハイテク企業向けのマーケティングのコンサルティングをしている方です。


彼は多数の事例より、少数のアーリー・アダプターで構成される初期市場から、実利主義者のアーリー・マジョリティーで構成されるメインストリーム市場へと移り変わるところに、図に示す通りキャズムと呼ばれる深い溝が待ち受けていると主張しました。すなわち、ハイテク製品が初期市場で成功を収めたとしても、メインストリーム市場へ移行して成功を収めるためには深い溝を乗り越えなければならないということです。乗り越えることを失敗した製品は大きな市場を獲得することなく終えてしまいます。


ムーアによると、アーリー・アダプターがハイテク製品を購入しようとするのは変革のための手段であるとのこと。同業他社に先んじて変革をもたらし、ライバルに大きく水をあけることを狙っているため、初期のバクや不具合に見舞われることもあるが、社内の頑固な反対を押しのけてでも新しいハイテク製品を購入して変革を実現しようとします。


一方、実利主義者であるアーリー・マジョリティーはハイテク製品を現行オペレーションの生産性を改善する手段として購入しようとします。求めているものは変革ではなく進化であり、自分たちが採用するときまでに新しいハイテク製品が正しく作動し、現在採用している技術とうまく統合できることを重視します。


すなわち、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティ―の間では価値観や目的が大きく異なるため、原書のタイトルのようにキャズムを乗り越える(Crossing the Chasm)ためにはマーケティング戦略を大きく変更しなければいけないのです。


後半では、キャズムを超えるためのマーケティング・セグメント戦略やホールプロダクト(顧客の目的を達成するために必要な一連の製品やサービス)の提示、競争力を高めるポジショニング、販売チャネルや価格設定について詳しく書かれています。


ハイテク・マーケティングやベンチャーキャピタリスト、技術経営(MOT)に関心がある方にとっては必読書だと思います。


キャズム/ジェフリー・ムーア

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金庸の「天龍ハ部」はこれまで見た中で最高の作品

前回の記事 で、「中国人のいるところ金庸の小説あり」と言われる中華圏で絶大な人気を誇る金庸について書きました。


今回の記事では、昨日見終えた「天龍ハ部」(DVD 全10巻)について書きます。


天龍八部は金庸の作品の中でも最高峰に位置づけられるもの。


5年半ほど前に、私の中国語の家庭教師だった女性は金庸の作品の中では「天龍ハ部」が一番面白いと言っていました。


「天龍ハ部」は、11世紀末の宋の時代の話で、蕭峯・段誉・虚竹・慕容復の4人が主人公。契丹人でありながら漢人として育てられた蕭峯、雲南大理国の王子である段誉、心ならずも戒律を破ってしまった少林寺の僧の虚竹、古の大燕国の末裔で一族の悲願である王朝復興を夢見る慕容復の4人の若者を中心に、親の世代が残した確執に運命を翻弄される生き様を描いたものです。


作品を通じて、人間の「縁」について深く考えてしまいました。


個人的には、少林寺の僧であった虚竹は後半になってやっと出てきますが、最高に面白いキャラ。少林寺を見に行きたいと思うようになりました。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-xuzhu


今回、私が見た中国大陸で制作された「天龍ハ部」は、台湾ではテレビ史上最高の視聴率を記録したようです。製作費約20億円以上をかけ、更に中国や台湾、香港のトップ俳優がたくさん出演しています。すごい気合いの入りようです。


綺麗な女優もたくさん出演していますが、私はあらゆる武術の知識の生き字引存在である王語嫣役の劉亦菲が一番好きです。劉亦菲は「神鵰侠侶」においても主人公役の小龍女の演技をしていました。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-liuyifei

私は俳優の名前はチェックするようにしています。中国ドラマを見て中国の俳優の名前を覚えておくと、中国人と会話をするときのとても良いネタになるからです。


金庸の作品は、中国語を勉強している人にとっては、こんな風に中国語で表現するのかということがわかり、とても面白い。


ビジネススクールに入学をしてからはずっと英語の世界に浸っていたので、今回、天龍ハ部を見ることによって、久々に中国語に触れて懐かしく思いました。また、中国語もあまり忘れていないことを確認できたし、とても良かったです。


「天龍八部」はTSUTAYAのようなところでレンタルできます。ただし、金庸の作品は面白すぎて、仕事や勉強に集中できなくなる恐れがあるのでかなり危険です。しかし、彼の作品を見ることは、それくらい価値のある一生の宝物だと思っています。

天龍八部 DVD-BOX 1/フー・ジュン,ジミー・リン,クリスティー・チュン
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中華圏で絶大的な人気を誇っている武侠小説作家の金庸

中華圏で絶大的な人気を誇っている武侠小説の作家金庸の最高傑作の一つである「天龍ハ部」の中国のドラマ(全40話、合計約30時間)をやっと見終えました。


先週から見始めたのですが、ものすごく面白いのとその先のストーリーがどうなるのかが気になってしまって、就職活動や勉強に全く手がつけられなくなってしまいました。


日本人の中国通と言われる人でも金庸について知らない人が多いので、解説をしておきます。

金庸は香港の小説家で、武術に長け、義理を重んじる人々を主人公とする武侠小説を1972年に断筆するまで15作品だけ書きました。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-jinyong

金庸の武侠小説はフィクションであるが歴史的事実を背景に書かれたものであり、小説の域を超えて文学作品の領域にまで達しています。中国人によると、主人公の名前、文章の中の文字の一つ一つまで意味があるとのことです。中国語の原文はとても美しいとのこと。


長編作品でありながら、ストーリーの構成は驚くほど緻密に作られており、セリフの一言一言も意味があります。日本人作家でこれほどまでに緻密な作品を書く作家は絶対にいないと思います。


金庸が発表した14作品のタイトルの頭文字を並べると次のような対句になっています。


飛雪連天射白鹿 笑書神侠倚碧鴛
(訳:飛雪 天に連なり 白鹿を射る 笑って書す 神侠 碧鴛に倚る)


金庸が小説を書き始めたころから、執筆する全てのタイトルの名前まで考えていたのではないかと思うほどすごい話です。


武侠小説では、ドラゴンボールのようにたくさんの武術が出てきますが、金庸の作品の方が技の数も多いですし、一つ一つの技の意味も奥が深い。金庸の作品を見た後では、ドラゴンボールはとても安っぽく見えます。


「中国人のいるところ金庸の小説あり」と言われるほど中華圏(マレーシアやシンガポールの華人も含む)で絶大な人気を誇っていますが、決して中国や台湾、香港に限っただけではありません。また、男性、女性問いません。実際、私はシンガポールやマレーシアのバーで華人の女性に金庸の小説について尋ねたところ、みんな知っていました。日本には金庸に匹敵する程の人気作家は存在しません。大体、小学生の高学年から中学生にかけて、金庸の小説を読み始めるようです。


私はずっと前に、中国で制作された「射鵰英雄伝」とその続編である「神鵰侠侶」の長編ドラマ(いずれも約30時間)を見たことがあります。


「射鵰英雄伝」はとても個性のある人物がたくさん登場し、「神鵰侠侶」は師匠である小龍女と弟子の楊過が許されない恋愛をしてしまうというストーリーです。


いずれの作品も、三国志よりも遥かに面白いと思います。


「射鵰英雄伝」の最後に西安の近くにある絶壁の華山「華山論剣」という戦いが繰り広げられます。


2年前に華山を登った時に金庸の作品タイトルの14文字が刻まれた石を偶然、発見しました。その写真を掲載しておきます。この石を偶然見つけたときは、滅茶苦茶感動しました。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦-huashang


次回、金庸の「天龍ハ部」の感想を書きます。


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口コミ伝染病‐お客がお客を連れてくるメカニズム- (神田昌典著)

先日、マルコム・グラッドウェルの「ティッピング・ポイント」を読み(その記事はこちら )、口コミ伝染に関するヒントがたくさん詰まっていると思いました。


口コ伝染についてもう少し理解したいと思い、神田昌典氏の「口コミ伝染病‐お客がお客を連れてくるメカニズム-」を読みました。


神田氏は人の心理をよく理解していると思いました。人の心理に対する気づきがたくさんありました。


常識的に商品やサービスの顧客満足が高かったら口コミをしてくれると思いますが、神田氏は違うと説いています。以下の口コミギャップ理論に示されるように、期待と現実とのギャップがある体験‐劇的な体験‐があるときに口コミになると説明しています。


「口コミのギャップ理論」
ギャップ=現実(実際経験した内容)-期待(事前に予想した内容)


また、しゃべりたくなる感情の引き金が7つほど説明されていました。
① 不幸、災難、そしてスキャンダル
② 物語(ストーリー)
③ 敵を設定する(十字軍に駆り立てる)
④ 裏の欲求
⑤ お客をヒーローにする
⑥ 行列をつくる
⑦ コミュニティ


確かに、神田氏のいずれの説明も「なるほど!!」と自分の経験からも思います。


この本には多くの口コミになったビジネスの事例が掲載されていますが、それらを読みながらついつい爆笑してしまいました。確かに、もし私がこれらの商品やサービスを体験したら、ついつい口コミをしてしまうと思います。


最近、読み応えのあるビジネス本ばかりを読んでいたためか、この本はとても気軽に読めて、笑ってしまうほど面白かったので、とても楽しむことができました。


口コミ伝染病―お客がお客を連れてくる実践プログラム/神田 昌典

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野蛮な来訪者 RJRナビスコの陥落(上)(下)

「野蛮な来訪者 RJR ナビスコの陥落」の上下巻をやっと読み終えた。原書のタイトルは「Barbarian at the Gate」です。


アメリカで大ベストセラーになったビジネス書ですが、日本では誰にも知られていない名著です。確かにアメリカの空港の本屋や大きな書店のビジネスコーナーには必ず置いてありました。


私はDardenでM&Aのクラスを受講していたときに、講師のMichael Hoが自己紹介の後にこの本をオススメしていたことで知りました。


この本の感想を一言でいうと、「事実は小説より奇なり」でしょうか?


凄く読み応えがあった。投資銀行の世界はエゴと強欲のかたまりの世界だということが、つくづく分かりました。また、LBOやジャンク・ボンドなどのファイナンスのこと、アメリカのコーポレートガバナンスについて理解が深まったのも良かった。


本の内容は、ウォールストリートジャーナルのベテラン記者ブライアン・バローとジョン・ヘルヤーが、1989年に起きた世界最大の企業買収劇(買収金額は251億ドル、当時の円換算で約3兆円)、LBO(レバレッジ・バイアウト)を用いたRJRナビスコ社の買収にいたる経緯を小説形式で書いたものです。


関係者のほとんど全てに100回を超えるインタビューを行ったようで、日本語訳は上下巻で約850ページになる大作です。関係者の会話の一つ一つまでが詳細に表現されている事実の”積み上げの成果です。日本のジャーナリストでこのレベルで書くことができるライターは想像できません。


RJRナビスコ社の買収劇は、株価が低迷していた同社のロス・ジョンソン会長と経営陣がLBOにより自社を非公開企業とすることで、株主の意向に左右されることなく、長期的視野に立って経営を遂行しようとしたところから始まります。この企てに対して、KKR(コールバーク・クラビス・ロバーツ)をはじめとするウォール街最強の企業買収専門の投資銀行のスーパースター全員が群がり、あらんかぎりの知恵を尽くして熾烈な買収合戦を展開していきます。スーパースターたちの強欲な欲望、駆け引き、世論などが生々しくからみあってきます。


LBOとは、買収対象会社の資産や将来のキャッシュフローを担保に必要な資金の大半を外部からの融資などで調達する買収方法です。KKRは251億ドルの買収金額のうち、自己資本はたったの15億ドルで買収を成立させました。


RJRナビスコの経営陣がなぜLBOをして非公開化しようとしたのかについては、日本の企業の常識では全く理解できないと思いますが、文章を読んでいると株主主権を中心とするアメリカのコーポレートガバナンスの背景から生じたことが良く分かります。


買収に参加したグループを大まかに整理すると、以下の通り。
①経営陣グループ…RJRナビスコ経営陣、シェアソン、ソロモン・ブラザーズ
②KKRグループ…KKR、ドレクソル・バーナム・ランベール、モルガン・スタンレー、ワッサースタイン・ペレラ、メリルリンチ
③ファーストボストングループ
④フォーストマン・リトル、ゴールドマンサックスグループ


Dardenで教えてくれたMichael Hoの師匠である80年代のM&Aの巨人であるワッサースタインも登場してきました。また、ウォール街のメジャーなプレイヤーは全員知り合いで、とても狭い世界だと思いました。


経営陣グループとKKRグループが熾烈な勝負をしていくのですが、ファーストボストングループの突然のビッドへの滑り込みが物語の展開をエキサイティングにし、最終的な結果に大きな影響を与えてしまいます。


投資銀行の業界に興味がある人やMBAの学生にはオススメです。ファイナンスのバックグランドとしてRJRナビスコの買収劇の経緯やLBOやジャンク・ボンドの生まれた背景、M&A業界の変遷の知識を入れておいた方が良いと思うからです。


私のコメントだけではなく、Amazonの書評にも絶賛するコメントがありますので、見てみてはいかがですか?


野蛮な来訪者―RJRナビスコの陥落〈上〉/ブライアン バロー

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三枝匡氏の三部作を読むと心が熱くなりました

三枝匡氏は日本の外資系戦略コンサルティングおよびターンアラウンドスペシャリストの草分け的存在の方です。


MBAによるキャリアチェンジへの挑戦


三枝氏は、1969年に当時日本に進出したばかりのボストンコンサルティンググループ(BCG)に日本国内採用第一号のコンサルタントとして入社し、東京とボストンで勤務。スタンフォード大学でMBAを取得した後、1年間米国の企業のCEOの下で勤務。30代は赤字会社の再建やベンチャーキャピタルとして活躍。その後、16年間、ターンアラウンドスペシャリストとして業績不振の企業の再建に従事。2002年からは集大成として、東証一部上場の㈱ミスミの代表取締役社長・CEOに就任し、人材育成ととともに業績を大幅に伸ばすことに成功。現在は、㈱ミスミの代表取締役会長・CEO。


三枝匡氏の三部作とは、彼の日本企業の再建の実話をもとに小説形式で書いた3作品のことです。
・「戦略プロフェッショナル-シェア逆転の変革ドラマ-」(1991年)
・「経営パワーの危機-会社再建の変革ドラマ-」(1994年)
・「V字回復の経営-2年で会社を変えられますか-」(2001年)


ビジネススクールのケースはマクロ的に書かれていて、経営者の苦悩や人間関係の複雑さ、その時の人間の思いが残念ながら伝わってこない。一方、三枝氏の三部作は小説という形式をとることによって、当事者が直面するシーンを時系列的に忠実に表現することに成功し、ビジネススクールのケースのデメリットを克服しています。


三部作のテーマはいずれも三枝氏が戦い続けてきた日本企業の「組織の官僚化」、「戦略の欠如」、「経営者人材の枯渇」です。


三部作を読むことによって、これまでMBAで習った戦略、企業再生、チェンジマネジメント、リーダーシップの要素が統合されたことを痛切に思いました。いずれか一つでも欠けては全く駄目なのです。


戦略の重要性の例を一つ述べます。Change Managementのクラスで、ハーバードビジネススクール教授のコッターの8つの変革のステップ を習いました。その最初の第一歩は変革が急務であることを認識させて、危機感をつくるというものです。しかし、具体的な戦略なくしてコッターが説くような危機感だけをつくっても全く意味がなく、むしろデメリットがあるだけであることがこの本を読んで十分すぎるほどわかりました。


また、どのように明確な戦略を作成し、それを具体的な実行レベルに落とし込んでいくのかが初めて分かりました。日本の大企業でこのように明確な戦略を組み立てて、実行できる企業は果たしてあるのか?と思えてきました。


変革に対して「論理性」「熱き心」のリーダーシップで立ち向かう主人公には感動せざるをえませんでした。


「V字回復の経営」のモデルは、文庫版のあとがきでは親会社K社の子会社KS社であると書かれています。ネットで調べると、モデル企業はコマツの子会社であるコマツ産機のようです。日本の大会社の子会社で長年に渡り多額の赤字経営を続けても何とも思わないという腐った官僚組織に三枝さんが立ち向かって立て直していったことを想像してしまいました。


「V字回復の経営」の中で忘れられないシーンがあります。それは、タスクフォースチームが苦労してまとめた改革案のプレゼンテーションにわざと大幅に遅れて来て、プレゼンが終わり質疑の時間に「何だか知らないけれど・・・そんなの問題の本質ではないでしょう」とふんぞり返って偉そうに発言した管理職に対して、主人公の事業部長(おそらく三枝さんでしょう)がすさまじい大声で怒りまくるシーンです。企業を再建することの厳しさとそれを任せられた男のすさまじい気迫と執念が伝わり、自分の心が熱くなるとともに、大感動。


三枝氏の三部作は、MBAの学生生活の終盤というこのタイミングで読むことによって、大きな気づきが得られたと思います。ただし、人生の節目節目で是非、この三部作を読み直したいという気持ちにかきだされるのではないかと思います。


三部作は出版された順番に読むことをオススメします。そのことにより、三枝氏の成長の様子もうかがえるからです。


戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)/三枝 匡

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経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)/三枝 匡

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V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)/三枝 匡

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