『天が涙する空』
瑞月さんは、夫婦関係が
うまくいっていなかっ
た私からは眩しすぎるく
らい仲のいい夫婦。
今は、遠く離れた瑞月さんの
故郷にあるお墓で奥様と
一緒にいるという。
お墓までいくことは
できないから、メール
のやり取りをしてくれた
ビジネスパートナーの
人に、瑞月さんの宗派を
教えてもらい、家から
少しはなれた所にあるお寺
へ行くことにした。
数日後、いつも通りパートへ
いってすぐ社長から電話が
あって、違う仕事場のパート
さんがお休みしているという
ことで、ヘルプへ行く。
週に1回のペースで違う
仕事場や社長の用事で
いつもと違う業務をする
時は、やや短い半休の
ような空き時間が間に
できるから、その時に
お寺へ行こうと思い
電話が来る日を待って
いた。
気持ちのいい空の下、
自転車で違う職場へ行き
業務を終えて、電車に
乗ってお寺へ行こうと
思ったけど、澄んだ青空で
心地良かったから、
自転車で瑞月さんの事を
思いながらお寺へ向かう。
瑞月さんたちの会社が
ライバル会社に吸収
された理由は、取り
組んでいたものを
完成させなくては会社の
存続はないとわかって
いたけど、あと一歩で
自分の寿命が間に合わない
とわかり、ライバル会社に
吸収されることを望んだ
ということだった。
そうすれば、残された
ビジネスパートナーは1人で多額の
負債を抱えなくて済む。
入退院を繰り返しながらも
仕事漬けで、パートナーが
吸収合併後も役職につける
よう交渉しながら、
最後の最後まで仕事をして
いたという。
そんな瑞月さんの姿を
想像していると涙が
出てきてしまい、電車
だと周囲の目が気になるから
自転車で良かったと思い
目の下をハンカチで拭く。
そんなことを思っていたら
お寺を通り過ぎてしまった。
戻ったところで自転車を
止め石造りの門をくぐると、
植物の手入れが丁寧に
されているお寺で、
誰もいなかったから
長く手を合わせる。
瑞月さんが奥さんと
再会して幸せな夫婦の
続きをしているように
思えて、そんな気持ちを
後に、パートへ戻るため
門の方へ向かうと、ご住職が
お庭の手入れをしていて
明るく声をかけてくれた。
私はご住職に瑞月さんの
ことと告別式の日、天気
予報では晴れとなっていて
早朝も予報通り晴れていた
はずなのに朝、家を出ようと
する時からいきなり大雨になり、
瑞月さんを見送った後は
みんなびしょ濡れになって
いたという聞いた話をさせて
いただく。
ご住職はその大雨を
「天が惜しい人を亡くしたと
泣いたのですね」
といい、その言葉が深く
心に響き、私はもう1度
涙がでてしまった。
瑞月さんとは、1度は切れた
関係だけど、瑞月さんが
つなぎ直してくれた縁。
ずっと忘れないでいたい。
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【絵本の紹介です】
一緒にくらしているバムと
ケロのおはなしです。
主婦のような立ち位置にいるバムと
いたずら大好きな可愛いケロちゃん。
何冊かシリーズがでていて
空の旅をしたり、お買い物に
いったり個性的なお友達も
登場しながら、時に主婦の苦労を
しているバムに共感してしまう
物語でもあります。
らくちゃんのピーナッツの
洋服は脱ぐことができて、
脱いだ姿もまた可愛いです。
最後の最後までお読み頂き
ありがとうございます。
今日耐えた分は、明日の
後悔を減らして笑顔に
なれる未来へ前進して
いますように。