貞彦最終話  約束(前半)

 

 

3月。
体調を崩さないように
することを何よりも意識して、
頭痛で寝込み1日中なにも
できなかったなんていう日を
作らないようにしたい。

そんな目標を掲げながら、
パートが忙しい時期では
あるけど1日だけお休みを
させもらった朝、いつも
通りにぷう助が起きてくる。


「お母さん今日はお仕事へ
 いかないの?
 病院へ行く日?」

「うん、仕事はお休み。
 ぷう助も今日は保育園を
 お休みしてお母さんと
 一緒にお出かけするよ」

「えっ!ほんとう!?
 どこへ行くの?
 バスにのれる?」

「行き先はひみつ。
 バスにも乗るよ」

「やったー!!
 お母さん早く朝ごはん
 ちょうだい!」


私がいつもと違う格好と
玄関前に用意していた
バッグも違うことに
すぐ気が付き、大喜びで
飛び跳ねながらトイレへ
行って、いつもはのんびり
している朝の支度をあっと
いう間に済ませる。

私も食器を洗い、支度をして
玄関へ急ぐと、ぷう助は
どこへ行くのかがわかった
ようで、靴まで先に履いて
待っていた。


「ぼくもう気づいちゃった~」

「うん、でもそれ以上言わないで。
 お母さん泣いちゃうから。
 そんな顔で電車に乗るの
 恥ずかしいもん」


ぷう助が笑い、私も靴を
履いて一緒に駅へ向かう。

外はまだコートがないと
寒いけど、風もなく
青空が広がるいい天気。

小走りのぷう助に手を
ひっぱられながら駅へ着き、
通勤の人たちと共に
電車に揺られて、窓から

見慣れた景色を眺める。

 

ぷう助には冗談で泣い
ちゃうからなんていったけど、
色々思い出すと本当に涙が

込み上げてしまいそうだから、

気持ちをそらしてしばらく

の間は車内の広告を

読んだりしていた。

ぷう助もずっと静かに
乗っていて、電車の窓から
たくさんのタクシーや
バスが行き来するロータリー
が見えてくると、何も

いわなくても降りる気

満々で私と手を繋ぐ。

電車はあまり乗らない
ぷう助だけど、窓からの

景色は覚えていたようで、

何のとまどいもなく

電車をおりて、人込みの中を

ぬけ改札まで着くと、

「またここに来たかったんだよー!!」
とぷう助が喜びながら、
貞彦さんと暮らしていた頃に
見に来ていた長距離バスが来る
ロータリーへ向かう。

ぷう助はどんなバスも好き
だけど、引っ越した後も
1番好きなバスは変わる

ことなくこの駅へ
来るバスだったから、
必ず連れてきてあげようと
思っていた。

当時、私も自分は
死んだ者として衝動的に
ぷう助と乗ったバスだから
思い出がありすぎて、
ぷう助とはまったく
違う気持ちだけど、
そのバスを含めてロータリー
を見る。


「いつまででも見ていられるね」

「うん!」

「でももう、約束の時間に
 なっちゃうからそろそろ
 行こう。
 帰りにまた見ていいよ」

「うん!行こう!!」


そこから私たちは、あの時に
乗ったバスではなく、地元を
走る路線バスへ乗る。

 

 

 

☆いつもお読み頂き

ありがとうございます。

明日で長く続いた離婚までの

お話が終わりを迎えます。

 

今後は、現在までに起きた

大きな出来事や、登場して

くれた人の現在、書きそびれて

しまったモラハラのことや、

育児の失態、漫画化の事などを

書かせていただいてから、

更新を終わります。

 

あと1ヶ月か3ヶ月なのか

わからないのですが、

もう少しだけ、私の記録に

お付き合い頂けたら嬉しいです。

本当に有難うございます。

 

☆まだスマホがなく携帯電話が

主流の時のお話です。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

☆メッセージをたくさんいただき

ありがとうございます。

あたたかいお言葉に感謝で

いっぱいです。

お返事ができなくてごめんなさい。

 

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【お気に入りの紹介です】

ブログでご紹介している

『ねこはるすばん』を描いている

町田尚子さんの絵本です。

 

ずっとネコヅメのよるをご紹介

したかったのですが、楽天で

確認すると、いつ入荷されるか

わからず、ご紹介できる日を

待っていました。

 

道を歩いていると、たまに

今日はよく猫を見かけるな…

という日があるのですが、

この絵本を読んだ時、

道を歩く猫たちのひみつを

知ったような気持ちになり

ました。

ねこたちが大好きな、ある夜の

お話です。

 

最後の最後までお読み頂き

ありがとうございます。

メッセージを頂き、ここまで

読んでくださる方がたくさん

いらっしゃることがわかり、

逆に私のほうが元気をいっぱい

もらっています。

 

 

自分で自分を支えるしか

ない状況の人に

心落ち着ける明日が

来ますように。

読んでくださる皆様に

素敵な明日が来ますように。