貞彦466話  『最後の裁判』

 

 

裁判所の中へ入ると
警備員が立っていて、
不審物をもちこんで
いないかのチェックが
ある。

気が付くと、私が
初めて裁判所に足を
踏み入れた時よりも
チェックの時間が増え、
厳しくなったなと思う。

弁護士さんたちは以前と

かわらず、ほとんど

チェックはされない。

四条先生とそんな話を
しながら控室へいき、
先生が書類を出しに行く
という事で、私は調停を
やっていた時とあまり

変わらない古い病院の
待合室のような空間で待つ。

しばらくすると、先生が
戻ってきて貞彦さん側から
始まるけど先生もその場へ
いくということで、私は
終わるまで、そのまま
1人で待機となった。

控室で待っている人たちも

どんどん呼ばれて行く。


貞彦さんたちは今、どんな
やり取りをしているのだろうか
と、想像してみたりしながら
自分の番がくるのを待つ。

時計をみると20分がすぎて
いて、また貞彦さんが
長引かせているのかな
と思っていたら、四条先生が
戻ってきて次は私が裁判官の
ところへ行く。

緊張した。
ドアを開け、入室したら
すぐに席へ座り名前などの
確認をしてから和解の話に

なり、私は「はい」という

ことぐらいしかしなくて

よかったけど、調停や

たまに出席した裁判の

時とは違う改まった空気。

返答するべき内容が
終わると、後は裁判官
と四条先生が日付や書類
などのやり取りを話し合って
いて、私は返答に悩む
こともないまま座ってる
だけとなり、1度退室後に
別室でまた違うやり取りを
するという話になった。

四条先生が控室に戻りながら

「久しぶりに貞彦さんの姿を
 見たのですが、ずいぶん
 痩せてましたよ。

 背がすらっと高い人
 でしたけど細くなって、
 だいぶ前にお会いした
 時よりもより背の高さが
 目立つような姿でした」

「そうなんですか。
 きっと独自の理論で食生活を
 送っているはずです。

 普通の人は1日三食ですが、
 貞彦さんはきっと1日の
 必要摂取量を計算して
 それを6食にわけて食べた
 ほうがいいとか、逆に
 サプリと栄養ドリンク
 だけにして、食材は無駄な
 エネルギーをとるから食べない
 なんていうことをやって
 いると思います」

「想像つきます。
 そういうことをやるのが
 好きというか、本質的に
 そういう人のようですね」


そんな小さいおしゃべりを
してから、次は裁判官が
いない部屋で、貞彦さん側の
弁護士である不二先生と
なにかのやり取りをする
ようで別室へ入る。

どんなことを決めるのかは
聞いていなくて、四条先生が
テンポよく話している姿
にたいして不二先生が
マイペースで
「う~ん」「どうしたらいいかな~」
と返答していた。

会話のやり取りから離婚届の
期日や書類、お金の振り込み

などを話し合ってくれて

いるのがわかったけど、

途中で四条先生が

「それは不二先生が貞彦さんに
 ちゃんと聞いて許可を
 もらってきてください!」

と、とどめを刺すように
いったら不二先生が
小さな声で

「わかりました…。聞き入れて
 もらえるかな…、いってきます」

と独り言をもらすように
控室で待っている貞彦さん
の元へ向かった。

 

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が

主流の時のお話です。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

☆メッセージをたくさんいただき

ありがとうございます。

お返事がとてもおそくなって

しまいすみません。

あたたかいお言葉に感謝で

いっぱいです。

本当にありがとうございます。

 

 

【お知らせです】
いつもお読み頂きありがとう
ございます。
これが離婚の最後の裁判となり、

手続きや引っ越しなどをして、

ぷう助が小学生になる手前で

お話を終了します。

終わった後は、現在に至る

までに起こったいくつかの

出来事、このブログに登場して

くれた人たちの現在、ぷう助の事、
伝えるつもりが抜け落ちた
部分などの投稿をしてから、
ブログの更新を終わらせて
頂く予定です。

あと数ヶ月の更新になるかと
思いますが、お時間の許す
時に読んで頂けたら
幸いです。

皆様のおかげで、とても
幸せな時間を過ごさせて
頂きました。
ありがとうございます。

 

 

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【お気に入りの紹介です】

 

 

本を開く前に、想像をする
ことから始まる楽しい
絵本です。
「どんなあじ?」という
題名だけで、感性が豊かな
子供たちはどんな味か
という想像を頭の中に
描きます。

自分が好きな物の味、
嫌いな味、触感がふわふわ
なパンのようだったり、
おせんべいのようだったりと
自然と頭の中では、おつきさまの
味をイメージしてから、絵本の
1ページ目が始まります。

そして、絵本のページを
めくるごとに早くおつきさま
の味を知りたくなって
いき、最後に自分が想像
したお月さまの味だったのか
ということを知ることが
できます。

文章は2歳頃から全文を

読んであげることが

できるくらいの長さで、

動物たちもでてきて
わかりやすい言葉になって

います。

 

 

 

 

最後の最後までお読み

頂きありがとうございます。

辛い出来事と同じ分だけ

たくさん笑うことが

できる明日になりますように。