貞彦457話  『架空の財産』

 

 

5月。
貞彦さん側へ、財産分与と
養育費も提示された金額で
応じるという返答をしてから
3週間後、書面が届く。

その内容は、私が財産を
隠し持っているはずだから、
指定した銀行口座の残高を
開示しなさいという要求
だった。

私が所有している
口座はすでに証拠として
提出しているけど、貞彦
さん側はその他にも口座が
あることを疑っていて、
財産を隠し持って
いるはずだという。

私は夜、ぷう助が寝静まった
後に1人でこの書面を読んでいて
「えっー!」
と声がでてしまうくらい
の驚きと変な笑いまで
でてしまった。

いったい、どこに隠す
だけの財産があるのか…。

婚姻費用でやっと借りていた
敷金礼金を親に返した
というのに、貞彦さんは

本気で主張しているのか、

書面には私が財産を隠して

いるであろう銀行名と
支店が記入されている。

でも、私はそこにいくつも
書かれている銀行に
口座を1つも持って
いない。

離婚までの時間を引き
延ばすつもりなのか、
それとも本当に財産が
あると信じているのか
わからないけど、裁判官は
この訴えに対してどこまで
応じるのだろうかと思った。

財産分与の時は夫婦で
築いた財産を半分に
しなくてはいけなけど、
その口座を隠したりした
場合、裁判の決定に
よって銀行に開示して
もらうことができるという。

ただ、銀行のすべてを
調べて貰えるわけではなく、
銀行と支店名が必要である
という話は、調停をやって
いた時に、四条先生から
聞いたことがある。

そうなると、また裁判が
長引くのだろうかという
質問も含めて四条先生へ
電話をしてみた。


「こちらかお電話しようと
 思っていました。
 
 貞彦さん側が銀行と支店名を
 書いて、開示を求めてきて
 いるのですが、まぁみさんは
 その銀行に口座をもっていま
 すか?」

「いいえ持っていません」

「1つも?」

「はい」

「そうですよね。
 わかりました。
 そういったものは
 調停の時にコピーを
 提出してもらって
 いるので」

「裁判官は銀行に
 開示を求めるので
 しょうか?」

「いや、この書面をみる
 かぎり、もしそういう
 ことになったとしても
 一ヵ所の銀行支店に求める
 程度だと思います。

 相手方はなんだかんだと
 いってきますが、年内には
 離婚を決める予定でいます」

「今後、私が裁判所へ行く
 ような日はありますか」

「最後の日以外は今の所
 ありません」


貞彦さんは、勘でいくつかの
銀行と支店を書いていたけど、
裁判では居住地や職場近くの
銀行の支店などで開示を求める

ことが多いらしく、貞彦さんの

ような根拠のない求め方では、

認められないのではないかと

いっていた。

 

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

 

【お知らせです】
いつもお読み頂きありがとう
ございます。
あと何回かの裁判で離婚が
決まり、ぷう助が小学生に
なる前で、お話を終了します。

終わった後は、そこから
現在に至るまでに起こった
いくつかの出来事、この
ブログに登場してくれた
人たちの現在、ぷう助の事、
伝えるつもりが抜け落ちた
部分などの投稿をしてから
ブログの更新を終わらせて
頂く予定です。

あと数ヶ月の更新になるかと
思いますが、お時間の許す
時に読んで頂けたら
幸いです。

皆様のおかげで、とても
幸せな時間を過ごさせて
頂きました。
ありがとうございます。

 

 

 

 

ランキングに参加しています。

クリックしていただけると励みになります。

いつも応援ありがとうございます。

にほんブログ村 家族ブログへ
にほんブログ村

バナーの絵は、漫画家さんが
描いてくださった下絵です。

漫画家さんと繋いでくださった

株式会社パルソラ様の提供です。

 

 

【お気に入りの紹介です】

ブログでご紹介している

『ねこはるすばん』を描いている

町田尚子さんの絵本です。

 

ずっとネコヅメのよるをご紹介

したかったのですが、楽天で

確認すると、いつ入荷されるか

わからず、ご紹介できる日を

待っていました。

 

道を歩いていると、たまに

今日はよく猫を見かけるな…

という日があるのですが、

この絵本を読んだ時、

道を歩く猫たちのひみつを

知ったような気持ちになり

ました。

ねこたちが大好きな、ある夜の

お話です。

 

 

最後の最後までお読み

頂きありがとうございます。

ため息ばかりの今日を忘れて

しまうくらい、いい事が訪れる

明日になりますように。