貞彦454話  『騒ぎが広がる』

 

 

 

消防署の人からは燃えカスの
状態を見ながら、こぼれ落と
してしまいそうなほど
たくさんの質問がとんでくる。


「いつ発見しましたか?」

「朝です」

「昨日はどうでしたか?」

「昨日の夜に洗濯物を
 取り込んだ時は
 ありませんでした。
 

 周囲にもこのような
 雑誌やゴミは置かれて
 いませんでした」

「見つけた時は、まだ熱が
 あったり臭かったり
 しましたか」

 「いいえ」

「おうちにマッチやライター
 ろうそくはありますか」

「ライターとろうそくは
 ありますが、日頃から
 子供には触らないよう
 言い聞かせています。
 
 一ヵ所にしまっていて、
 夜は私が家をでたりしない
 ので、子供が1人で火遊び
 というのは無いと思います」


警察に渡されていた紙の
記入を途中にしながら
返答をしていると、再び
ドアがのっくされ、今度は
事件などを捜査する
作業着の人が数人訪れた。

室内も人が溢れてしまい
玄関前で入れ替わりながら
ベランダを見にいくような
状態。

私は身動き取れず、消防と
捜査にきた人たちにも
警察と同じような書類を
渡され書きながらも、
四方八方から質問が
飛び交い誰に何を答えて
いるのかだんだんとわからな
くなりながら、同じ質問も
繰り返し返答を続ける。


「旦那さんは今どこに
 勤めていますか?」

「ここから3時間ほどはなれた
 ところに住んでいてい
 そこから近くの会社へ
 いっていると思います」

「今日勤めているというのは
 確実ですか」

「それはわかりません」

「旦那さんのお勤め先と
 連絡先をお願いします」


消防の人がそういうと
警察が


「いや、これDVの話だから
 とりあえず原因探してから…
 そっちはどうなの?」

「そうっすね…今、管理人
 に電話して上の階へいけるか
 許可待ちです。焦げ臭くないので
 火がつけられてから時間が
 たっているような」

「でも昨日はなかったという
 ことだし…ね。
 奥さんは旦那さんが
 関係していると思いますか?」

「いいえ、これは違うと
 思います」

「なぜそう思うのですか?」

「夫は、後先考えない
 嫌がらせをする
 人ではありません。

 アパートを燃やし他者の
 命もうばえば、死刑に
 なりかねないことを
 ちゃんと知っています。

 私には証拠に残る身体的暴力は
 いっさいふるわず、証拠に
 残らない法律をすり抜ける
 ようなことが得意な人です。

 そういった意味では短絡的に
 行動をする人よりも予想が
 つかないので危険な存在
 ですが、社会的地位を
 ほこりに思っている人が
 やるととは思えなくて」


質問に答えながらも、
ベランダと玄関の
外で待っている人と、
私への聞き取り調査を
する人が万電車の中を
行き来するかのように

移動する。

そのなかでまた、開けっ放し

になっているドアをノックされ
混みあっている室内を
すり抜けながら玄関へ
いくと、さらに応援で
呼ばれたような警察官だった。

私はサンダルをはき廊下
から外の通りをみて見ると、
道路にパトカー2台、消防車2台、
消防っぽい赤い車1台、覆面パトカー
に警察官の自転車が複数台の
大事件になっていて、ご近所
の方や遠くに住んでいる人も
お庭からこちらを見ている。

後でご心配をおかけして
しまったことを伝えに
いかなければと思いながら
玄関へ戻ると、部屋では
燃えた雑誌は夫がやった
ものではないというような
話になっていた。

その理由としては、私が
今まで警察にしていた相談の
記録内容や私の意見、居場所も
知られていないだろうという
ことなどがあげられていたけれど、
絶対的な証拠がない限り
疑いからはずすことはできない
よう。

消防の人は外へでて建物や周囲を
見に行き、捜査する人は
雑誌とベランダの周囲を360度
何度も見ては写真を撮っている途中、
外から消防の人が戻ってきて
室内にいる人達に詳しく報告

している。

 

 

☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の

お話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

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描いてくださった下絵です。
私が子供を望み、貞彦さんと
幸せな未来を思い描いている
シーンです。

漫画家さんと繋いでくださった

株式会社パルソラ様の提供です。

 

【お気に入りの紹介です】

ブログでご紹介している

『ねこはるすばん』を描いている

町田尚子さんの絵本です。

 

ずっとネコヅメのよるをご紹介

したかったのですが、楽天で

確認すると、いつ入荷されるか

わからず、ご紹介できる日を

待っていました。

 

道を歩いていると、たまに

今日はよく猫を見かけるな…

という日があるのですが、

この絵本を読んだ時、

道を歩く猫たちのひみつを

知ったような気持ちになり

ました。

ねこたちが大好きな、ある夜の

お話です。

 

 

 

最後の最後までお読み頂き

ありがとうございます。

DV,モラハラの自分勝手さで

家族みんなが嫌な思いを

しながら我慢している

家庭に、救いが訪れますように。