貞彦446話 『調査官の思い』
報告書の残り3枚には
調査官の意見がまとめ
られていた。
『母による子の生活は
大きな問題がないものと
考えてよい。
母は子の性格にあわせて
子育てをしていて、子に
寄り添っている。
子は現在の環境で母にかぎらず、
周囲の友達や大人たちとも
馴染み信頼のおける付き合いを
している。
また別居後も予防接種など
体調管理においても適切に
通院をしていて、大きな
問題はなかった。
室内には勉強道具や大量の
絵本、知育玩具、楽器などの
教育的要素のあるものも
充実していて、子はそれを
楽しんでいる。
子は父について良い記憶が
なかった。
父のことについては長い時間
をかけて話をしたけれど
良い話は1つもない。
また、壁に子が描いた絵が
飾られていたが、その絵
だけは年齢不相応な
精神的幼さが見受けられた。
他の部分では子は年齢相応で
成長しているようにみえるが、
一部分だけこのように
なるというのは、子の
父へたいする発言から
想像すると、何らかの
ふさわしくない影響を
受けていた可能性が
ないとはいいきれない。
こういったことから、子の
環境を変えるのは適切では
ないと考える。
ただ子の福祉を考えいくことが
必要』
この報告書を読んで、やっと
私が親権を持てるという事を
実感した。
そして、調査官の思いが
なんとなく伝わって
くる。
悪い内容を詳細に書くと
この後、まだ終わりそうに
ない裁判で争う口述を作って
しまうし、親権がとれなかった
ほうの憎しみが増す。
そう考えると、親権が
取れないであろう側の
事は詳細に書かず、
いかに子にとって
いい環境や現状であるか
ということを多く書く
ことによって、どちらに
親権がふさわしいか
という報告書を書いて
くれたのではないかと
思った。
だから、長くやり取りを
した事よりも、記憶に
うっすらとしか残って
いないような絵本の
やりとりなどがメインの
ようになっていた。
☆まだスマホがなく携帯電話が主流の時の
お話です。
現在は離婚して平穏に暮らしています。
☆個人の特定につながらないよう
一部の表現をかえています。
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猫好きな大人にもぜひ読んで
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留守番中の猫がどんなことをして、
何を思っているのかが可愛いお話
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最後の最後までお読み頂き
ありがとうございます。
どうしても拭いきれない
暗い気持ちや後ろ向きな
思いが今日中に燃焼しきって、
明日は小さな希望を
大切に育てていけますように。