貞彦278話  『黄色い箱のビスケット』

 

 


午前中、民生委員の人が
行政に申請している住所に
くらしているか調査にくるため、
仕事はお昼からにして
民生委員の人が来る前に
ぷう助を保育園へ
お願いする。

その帰り道、前方に
高齢の男性が歩いて
いて、私は自転車を
減速して横を通り
すぎると

「どぉこみて走ってやが
 るんだよぉぉ!
 コノヤロウ!!!」

と追い抜いたあとに
後ろから怒鳴られた。

両脇に植物が植えら
れている幅広い道で、
けして男性のすぐ
横を通ったわけでもない。

自宅に向かいながら
何か間違ったことを
したか思い返したけど、
思い当たらなかった

けど荒い言葉はやっぱり

気持ちが沈む。

いつもなら、機嫌の悪い人に
出会っちゃったくらいで

すむはずなのに。

だけど、こんなに
落ち込むのは昨日
貞彦さん側の書面を
読んで、まだ気持ちが
平常心に戻っていない
からだと思う。

なんで悪い事ばかり
起こるの?
という思いが沸々
わいてくるけど、
頭では、ただの偶然
だとわかっている。

でも、感情は収まらず
自分自身を納得させる
ため、この3日間で
起きた悪い事と良い事を
全部あげてみる。

そうすると、悪いことの
ほうが多くなってしまい、
今度は1週間で起きた
良い事と悪い事を
あげてみた。

そして良い事のほうが
多く起こっていたから、
これで悪い事ばかりが
起きているわけではない!
と自分に言い聞かせる。

心の中でそんなやり
取りをしながら、
帰宅して民生委員を
待つ。

待っている間に雑巾を
干そうと思い、ベランダへ
でるとお隣のおばあさんも

洗濯物を干していて、
挨拶をかわすと

「ちょっとまってて」

といい、1度室内に戻って
から、黄色い箱のビスケット
を持って身をのりだし

「これ、もらったんだけど
 誰も食べないからおチビ
 ちゃんにあげて」

そういっていただき

ありがたく受け取る。

その後、約束の時間通り

民生委員で60代後半くらい

の明るい女性が来て
最初に

「これ、頂きもの
 なんだけど、うちは
 私と旦那の2人暮らしで
 年寄りだけだから、
 誰もこういうの食べ
 ないのよ。
 お子さんにあげて

 ちょうだい」

それは、ついさっき頂いた

ものと同じ、黄色い箱の

ビスケットだった。

ありがたく頂くのと
同時に、すごい偶然だと
思い、朝の落ち込んだ

気持ちは消えていく。

調査は世間話のような
感じで生活状況を
話したり、民生委員として

の仕事内容を逆に伺ったり

して終わり、私はパートへ

向かった。

そしていつも通りのパート後、

民生委員の人から受け取った
書類で母に書いてもらい

たいところがあり、
急いで実家へ寄って
母にサインを書いて
もらうと

「これもっていきな~」

といい、また黄色い
箱の同じビスケットを
わたされた。
私は

「このビスケットは
 誰からもらったの?
 誰があげているの?」

と、聞いてみると母は


「え?もらったんじゃ
 ないわよ、普通に買ったの。
 安かったからいつか
 まぁみが来た時にも
 ぷう助にもっていって
 もらおうと思って」

「え!?そうなんだ」

「私は体がこんなんで、
 こういうお菓子は
 食べられないけど
 すっごい安かった
 のよ~!」


そういい母は私の

住んでいる所にも
何店舗かある激安スーパー
のチラシを持ってきて、
大きく掲載されている
ビスケットを指差した。

それは昨日の日付けで
おひとり様1点限りの
激安。

そのチラシを見て、お隣さん

と民生委員の人も
私に気をつかわせない
よう『貰い物』と
して渡してくれた事に
気が付き、温かい気持ち

になる。

母にはもらったビスケットの
話をしてから受け取り、
家には黄色い箱のビスケット

が3箱も贅沢に積まれて、
ぷう助はすごく喜んだ
夜になった。
 

 

 

☆3月の貯金は週末に投稿

 致します。

 

☆まだスマホがなく携帯電話が

主流の時のお話です。

現在は離婚して平穏に暮らしています。

 

☆個人の特定につながらないよう

一部の表現をかえています。

 

 

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『はらぺこあおむし』
の作者エリックカール氏
の絵本です。

はらぺこあおむしは、
だれもが知っている
とても有名な絵本ですが、
それ以外にも素敵な
絵本がたくさん出版
されています。

『おほしさまかいて』は、
小さな子でも、わかり
やすい鮮やかな絵が多く
太陽、猫、鳥、お花、
そして大きなお星さまが

でてきます。

大人の目線で読む
内容は、絵描きの
人生が描かれています。

絵描きが色々な絵を

書いていく人生は、

太陽が昇る世界で
始まり、人間は物を作り
植物や動物と共存しながら、
自然のなかで生きて
いきます。

命の時間は刻々と進んで
いき、最後は太陽が沈んだ
夜空へ、永遠の旅にでる
お話です。

この絵本の素晴らしい
所は、大人が読むと
内容の意味は深く
心に残るものですが、
子供の目線になると、
とてもシンプルに
優しく進んでいく
お話で、他の絵本と
なにも変わりなく
楽しめる1冊になる
ところです。

年齢が上がっても
長く楽しめる絵本なので、

購入する絵本としても

おすすめです。

最後の最後までお読み頂き

ありがとうございます。

 

旦那さんがお休みで、

一緒にすごさなくては

いけない週末が辛いと

感じる人がいるかと思い

ます。

辛い時間は、休み明けに

どんな楽しい事をしようか、

ほっとできる時間をどうやって

過ごそうかを考えたりして、

なんとか心に給水をあたえ

るように、乗り越えていけることを

願っています。