政治について:
野田首相は、僕は立派な人だと思う。民主党代表選でも圧倒的大差で再任されているし、望ましい首相ランキングでも今だ二位だ(現職総理がそう評価されているのは最近珍しい)。民主的な手続きで堂々勝負して勝っているし、大衆も支持している。一方、不思議なのが、そうであるにもかかわらず、メディアでの評価が低く、なんとなく、読んでいると、この人はダメで支持もない、というように見えてしまうこと。メディアも別に作為を持ってやっているわけではなく、何かに媚びているのだろうが、統計も民主的な手続きを経も無視しているのだから読者に媚びているわけでもないのか、それとも誰が首相になろうが民主党の支持率が低いからいずれにしろダメだといわれるということか。(今だって、維新の会と比べても、民主党の方が支持率は全然高い。)野田首相のやっていることは正しいと思う。ここでもし選挙に負けたとしても、逆境にあって正しい姿勢を崩さなかったことは評価され、そういう人は復活するのではないかと思う。まともな自民党他国会議員も、野田首相の、信念、忍耐、バランス感覚は評価していると思う。谷垣前総裁が、三党合意に同意し、「近いうちに」という言葉にあえて騙されたのは、野田首相のやっていることが日本にとって意義があることを理解したためで、だからこそ、弱腰、との批判を甘受する決断ができたのだと思う。適切な政界再編を行うためには、民主党、という組織ありきではなく、「まず最初に信念があった」という姿勢を取ったという事実を残しておくことは戦術的にも正しいと思う。領土問題、消費税、原発、などが主要な問題として言われているが、それらは、近々騒がれている問題にすぎず、税と社会保障の一体改革、や、分厚い中間層、ということの方が、日本にとって優先順位の高い事項だと思う。野田さん、岡田さん、自民党の谷垣さんは、次の政権、あるいは、あるべき政界再編の後、政権で、重要な役割を担うべきだと思うし、そうなる気がする。
自民党総裁選については、僕は、石破さんを応援していたので、結果としてはやや残念だが、安倍さんもそんなに悪くない野で良いと思う。安倍さんについては、やはり若いので、大臣など経験してからの方がよかったのにと思うし、あまりに国家主義過ぎて、国家における優先順位を間違えていると思う。人物の力量としては野田さんの方が上ではないか。 ただ、石破幹事長は、よいと思う。本人は、軍事オタクとかいわれるが、討論番組とかみていると、結構選挙に関しても見識が深く、確か昔、幹事長になって、自民党の選挙を変えたい、ということを言っていたような記憶があり、選挙に関してやりたいことがある人だと思うし、それは実は日本の政治にとってかなり重要な点だ。石破さんは、三党合意重視派といわれ、民主党にも比較的協力的といわれるが、これもよいことで、少しでも早く民主党を倒して政権をとる、近視眼的な見方をしておらず、いずれ来る自民党政権を如何に堅牢なものにするか、分裂に苦しんだ前政権末期、壮大な嘘の約束に苦しむ民主党、を次の自民党政権が如何に避けるか、もっと言うと、国内の分裂を克服し、穏健で慎重で、創造的で力強い政治を構築する為にどのように政界を再編するか、だから、次の選挙では、自民党が何を掲げ、どのように勝たねばならないのか、ということを意識しており、だからこそ、基本的に正しい三党合意を破ること、日本にとって必要な議論を拒否し、民主党に非協力的になることで、民主党が野党になった際に、あの時自民党だって嫌がらせをしたではないか、という主張を許すことに反対で、また、今、戦になったとしても、次の戦に勝てるとしても、次の次に勝ち続けることができる勝ち方ができないこと、も多分意識しており、次の次にも勝てる自民党、ニュー自民党を構築する為には、まだ党内で手術しなければならないことがあり、時間が必要とも認識しているように勝手に思う。そうだとしたら全面的に賛成だ。
企業の営業活動でも、ものを売る為には、目の前の顧客に如何に媚びるか、騙すか、という話だけではなく、その商品が、国民全体に対してのニーズにマッチしている、ということがなんだかんだ根本的に重要だ。選挙活動も同じで、商品、つまり政策が、国民を全体として一つの有機体としてとらえ、その時代のニーズ、3年先、5年先、10年先、50年先のニーズを先取りしたもの、未来のあるべき姿を示したものとなるような、商品企画、つまり政策策定をすべきであると思う。つまり、掲げるべき、国民に問うべきなのは、「新しい社会契約」だ。国民の未来のニーズ、あるべき姿、それを実現する為の政治の国民に対する、あるいは、国民の日本社会に対するあるべき約束を掲げて、勝つ、承認を得ることができれば、その政権は力強いものになると思う。これこそが本当の勝利ではないか。
自民党総裁選にうちては、石原信晃以外なら誰でもよいと思っていた。麻生さんに全く同感。正直なんでこんなのが世論に支持されているのかわからない。彼が選ばれていたら自民党も終わっていたと思うのでほっとしている。町村さんも、林さんもそれぞれいいと思う。後は、その後の役員人事も、自民党はなんだかんだ優秀な人材を充てていると思う。
維新の会、というか、橋下さんは、やっぱり優秀だと思う。弁護士だからだろうか、バランスに富んでおり、判断力が優れていて、大衆を代弁するが大衆、とくにメディアに媚びない。判断が科学的かつ勇敢だと思う。僕個人の見解と多くの場合で一致している。自分が正しい、ということを主張したい趣旨で書くわけではないが、原発、基地問題、に関しては、意見が違っていたが、それらは後で調整、訂正している。判断を誤っていた点について素直に認め修正する柔軟性があることもよいところ。特に、領土問題に関してのスタンスは、非常に好きで、国家の誇りを重要なもの、と認識しつつも、相手側の主張にも耳を傾け、それらも加味してを合理的な見解を示している。尖閣国有化も、タイミングが悪いのは事実で、中国を挑発したいう主張を相手にさせる口実を与えてしまっていることも、正しく認識している。 ただ、概して見ていると、自民党も民主党も、橋下さんも、今の政治の世界の前面にいる人は、概して優秀な人達だと思う。
昔、民主党が選挙に勝った事について書いた内容を見ていると、結構外しててちょっとカッコ悪い。僕も、民主党の大勝に目がくらんだというのもあろう。
前回選挙後に書いたこと:
民主党が長期政権になる →はずれ
子育て・福祉が充実により民主党が支持を得る →はずれ
民主党が都市を基盤とする→はずれ
日本の政治が左派的に→はずれ
小沢一郎の離脱 →当たり、ただし、理由ははずれ
鳩山由紀夫はダメ →当たり
鳩山由紀夫は投げ出す →当たり
派手な公約の修正に苦しむ→当たり
反米は失敗 →当たり
政治主導は不適切 →当たり
民主党政権は、なんとなく好きではなかったので、今みたいになって、はっきりいって嬉しいが、やり方が下手すぎる、ということも感じる。マニフェストを100%実行できないのは当たり前なのだろうが、変えた方が説得的な部分例えば外交はさっさとかえ、一方、子供手当みたいなのは変えちゃいけなかったのだろうと思う。漠然とした大衆ではなく、結婚できない、子供が産めない、子育ての負担が厳しい、という人に向けて、政策をとっていけば、それはそれなりにわかってくれる人は分かってくれただろうし、それを集票マシンにできたのに、と思う。
後は、反米撤回、政治主導撤回、公約修正、など、まず最初に取り組まねばならなかったことをしないで、実際に事が起こった後に対応し、その結果能力に不信感を持たれた、ということもある。選挙の大勝に浮かれ、その後に想定される未来の試練に対して当時から戦うような洞察力と勇気に富んだ人材はいなかった。政権与党のうちに、次の選挙の支持母体に便宜を与えて、集票マシンにする努力も怠っている。 もし、最初の首相が、野田さんか、岡田さんで、現実性のない政策について早くから対応していたら(岡田さんは、前回選挙の期間中から、非現実的な政策に対しては、常に反対してきた)、経験不足を認め、自民党の経験を上手に使うことを考えていたら、民主党は今ほど惨めな姿をさらすことはなかっただろうにと思う。もし、前回選挙時、岡田さんが代表だったら、民主党は、今よりはるかに手強い相手となっていただろう。
原発について:
日本の電力供給の為に、原発をやめるべきか、ということが主要な政治課題となっている。世論でも反対の方が多いとのこと。個人的には、原発は存続すべきだし、課題は廃棄ではなく安全性の強化という意見で、理由は、エネルギーの安定供給と石油依存からの脱却、軍事転用の可能性を残し、周辺国に恐れを抱かせること、および輸出振興、だ。が、正直、これについては、それほどよく知れべていないし、いろいろ聞いたり調べたりして見て、意見が変わることもあろうし、後、僕が賛成でも、世論が、Noということなら、それに従う、というのもある意味仕方ない、という気がするので、原発反対派を、現実を知らない馬鹿呼ばわりする気持ちもない。
実際、中期的に、原発よりも、新エネルギーに注力した方が、危険性もなく、経済的にも割に合い、かつ輸出競争力を持てるのならそれもよいと思うし、個人的憶測では、日本は海洋大国であり、火山国なんだから、資源がないなんてことはなく、地熱発電や洋上発電は、むしろ世界で最も先進的といわれるぐらいやるべきだし(地熱発電に、温泉協会が反対しているからやらない、とか、おいおいちょっと待ってくれよ、って感じ)、資源小国の日本が、未来のエネルギーに関して、最も県境開発す進めている、というのはむしろあるべき姿だと思う。聞いていて、内容が現実的で説得的なら、原発をやめることにも賛成して良い。また、ぱっとみ、発送電分離は、やった方がいいと思し、これだけ、いろいろ起こって、何でもかんでも今まで通り、というわけにもいかなかろうし、新規に原発を建設するのは、さすがにここ30年ぐらい厳しいと思うので、やはり何かしら違うことを考えざるをえんだろう。
ただ、ちょっと違うな、と思うのが、これを善悪の論議とすることで、原発が近くにあると、いざとなるとやばそうだから、というのも一つのエゴだし、暑い夏や寒い冬をエアコンなしで生きられない、というのもエゴ、火力発電で、CO2を出しまくる、というのもエゴ、だし、どれもある意味エゴであり、言い方変えると権利で、それは善悪という問題ではない。特に、戦前から、資源小国の日本にとって、エネルギーは、歴史的な国家的課題であり、石油に依存しないエネルギー体制を何とか作らねばならない、という国家の判断で、日本は原発を推進する、ということを推進してきたのであり、石油危機や、最近の二酸化炭素排出抑制の観点でも、一つの合理的判断であり、必死の努力であった、ということも忘れてはならないと思う。だから、原発賛成反対、というのは問いが間違っていて、「日本の未来のエネルギー政策のあるべき姿とは」という問いで、そこには、石油依存からの脱却、二酸化炭素排出抑制、日本産業の国際競争力、安価な電力の安定供給、といったことも含まれるべきだと思う。