欧州債務危機については、ちょっと考えをまとめときたくて、ちょうど『ユーロ危機と超円高恐慌』という本があったので、読んでみた。岩田規久男の本は読んだことなかったのだが、一度は読んでおこうか、という気持ちもありちょうどよかった。


大体意見は同じだった。


・欧州債務危機は、日本のバブル崩壊に似ている。要はバランスシート不況。

・中国や新興国なら同様な問題が起こっても、潜在成長率が高いから良いが、日本同様欧州も潜在成長率は高くなく、移民のおかげで、日本ほどではないにしろ、潜在成長率は比較的低く、回復は遅れそう。

・この病気はすぐには治らない。欧州は少なくとも後5年は不況だろう。

・下手をすると日本より状況は悪い。理由は、①欧州に中央政府がなく、大胆な意思決定が難しく、また時間がかかること。特に、財政政策と金融政策を組み合わせて実施できないこと、②地域により状況が違うのに、同じユーロを使用しており、その地域の最適為替レートにできないこと、③海外からの借金がすでに多く、赤字国債による財政政策が打てないこと。また、緊縮財政に向かっていること。

・基本、ギリシア、スペイン、イタリアあたりは怠け者。

・デフレというのはかなり悪。

・通貨供給量の増加とインフレターゲットを行わず、緊縮財政という、デフレを起こし、問題を悪化させる手段をとっていること。

・アメリカのリーマン後の対応は素晴らしい。


僕は、岩田の本のせい、というより、もともと、ポール・クルーグマン、リチャード・ヴェルナーの本などを読んでて、いわゆるリフレ派、インフレターゲット論者で、バランスシート不況の時には、マネーサプライを増やす、ということが一番いいと思っている。(ちなみに、日銀はこの立場を取っていない。)リチャード・クーは、税制出動派で、処方箋自体は、僕の意見とは違うが、診断にはかねがね同意する。


まず、バブル、というのは、その時はその時でみんな好景気なので、よいのだが、その後に来るバブル崩壊、が恐ろしく、だから景気の過熱を防ぐ、必要があり、バブル後の分析と対応には、熟慮と大胆さを要すると思う。バブル、というのは、要は、将来ますます良くなる、たとえば株が上がる、とみんな思いこむから、借金してでも、投機をする、ということが繰り返され、しまいには、すごい借金をしてすごい投機を行うが、ある時突然、その投機のリターンが得られなくなることがはっきりするので、そのすごい借金だけ残り、それを何年もかけて返し続けなければならない、という状況に陥り、しかも、社会全体そうなり、みんなものを買わずに借金を返そうとするから、逆に、ものがうれなくなり、借金を返すための金を稼ぐこともできなくなる、そういう状況を見て、ますます未来は暗いと考え、投資を渋る、という状態が社会全体で起こる(デフレスパイラ)というということになるのが怖いところ。このバブル、つまり、ビールの泡が大きければ大きいほど、それが崩壊した時のショック(後に残った借金)が大きいので、なるべくこれを膨らませないようにすべき、という話になる。ラスベガスで一夜にして100万ドルの借金を作った、みたいなものだ。


バブルについては、なるべく過熱させないようにする、という点と、崩壊時点での対応が、まず一番大事なこと。過熱させない、については、多分とかく今の時代、結構難しいと思う。まず、リーマン前のイギリス、アメリカは、金融産業が相当盛んになっており、かつ、技術の進歩で、国際的な資本の移動は、大規模でしかも早い。そして、グローバルだからこそ、その動きを規制すべき、当局、というものがない。よって、危険なぐらい大きくならざるを得なくなる。ジョージソロスなど、こうした国際的な資本規制を規制すべきだ、と言っているし、リーマン後のG20でもそういった話が出ていたと思う。ただ現実難しいんだろうな。また、崩壊時点での対応については、金融機関を潰さず、市場に大量に資金供給し、急激な崩壊を食い止めるとともに、人々が未来に対して、悲観的な見通しを抱くことを阻止することが断固重要になる。そして、その後、批判を受けようが、財政政策と、通貨供給量を増やす政策をやり続け、膨れ上がった借金がなくなるまで、それを行い続ける、ということが何より重要になる。この2つを正しく行っているのが、今のアメリカである。(そんなわけで、リーマン時点での、ブッシュ大統領は、まさに強力な決断が必要である時に必要なことを行ったし、その後のオバマ政権の金融政策や、中間層に有利な税制を取理続けたことは基本正しい。大恐慌時のルーズベルトも、今ちょうど本を読んでいる高橋是清なども、基本同じ方針を取っている。


僕は、インフレターゲット論者だ。まず、インフレが悪い、といわれるが、それは、急激なインフレが、社会不安を起こすから悪い、のであって、普通経済というものは、緩やかなインフレが望ましい、と思う。インフレ=今の1万円より将来の1万円の方が価値が低い=今金を使った方が得→消費が起こる→GDPが増える、いいかえると、インフレ=未来は今よりよい、ということになる。デフレというのは、その逆で、消費を控え、GDPが極論すると、減っていく、という話なのだから、健全な経済というのは、緩やかなインフレ、というのが普通なんだろうと思う。今1000万円借金して事業を起こして、金を稼ぎ、何年か後に1000万円返すにしても、その1000万円が、(インフレで)、借りたときより、実質価値が小さくなっている方が、返済が容易になり、こうなれば当然さらなる投資に向かい、それは経済を拡大し、社会に便益を供与するから良いことなんだろう。逆に、デフレだと、やりたいことを控えて借金を返さねばならないのに、何もしなくても、実質的に、(利子なしでも)借金が増えていく、ということになる。バブル崩壊に見舞われた個人や企業は、要は、そうした借金が重すぎて身動きが取れなっているのだから、結論としては社会全体として、それをなかったとと、とすればよい。なかったことにする、小さくする=インフレ、ということになる。


で、欧州だが、起こっていることは、要はバブルの崩壊であり、バランスシート不況なので、状況は10年前の日本と全く同じなので、この回復には最低5年はかかると思う。

このあたりの僕の理解は白川総裁と全く同じ。

http://news.livedoor.com/article/detail/6218579/

日本の低成長は「大胆で迅速な政策対応を欠いた日本の社会や政策当局に固有の失敗」として軽く片付けられることは、誤りであることを、はっきり指摘していて、昔、JAPAINとか言って、日本を見下してた欧州の連中に対しては、ざまみろ、と思わなくもない。アメリカのスーパーエリートは、そのことを理解しており、日本を研究し、機tるべき住宅バブル崩壊に対して、何年も前から、対策を準備してきたが、欧州にそれほど知的でも勇敢でもないことが証明されている。

白川さんも、暗に欧州の不況は長引く、と言っている。上記講演について、前半はほとんど意見が同じだ。(が、後半は、全く逆。)


欧州では、下手すると日本より悪いんじゃないか、と思うのが、上に書いたとおりだが、Euro Zoneは、通貨と金融政策は統合されているが、財政政策はバラバラであり、意思決定にも、各国の合意が必要なため、ひどく時間がかかり、迅速な対応が求められる、水ものの財政、金融政策の意思決定にそもそも合わず、多分話し合っても、何もしないということを正当化するような結論しか出てこないと思う。今は、ギリシアが問題となっており、ギリシャのデフォルトは、イタリアなど、より大きな国に影響を及ぼすから、防がねば、ということだが、一方、国民の多くが公務員で、要は、ろくに働かない連中に対して、ドイツ人が、何故あんな怠けた連中を俺らの金で支援してやらねばならんのだ、と怒るのはある意味当然で、ドイツからみれば、放蕩息子みたいなやつに何もなしに小遣いをやるのは許せんことで、こいつらには、自分で出費を管理する意思能力がないから、親が管理する、ということを言い出し、一方、ギリシアからみれば、これは、自分の意思能力を否定され、ある意味人権侵害なので、抵抗するのもまあわかる。ギリシア政府もがんばって緊縮財政しようとしているが、これに対して、国民が暴動を起こすのも、まあ気持ちとしては分からんでもない。こうした場合、ギリシア通貨が減価されれば、とりあえず輸出は増え、輸入が減り(借金がギリシア通貨建てなら減価されるだろうがこの辺よくわからない、一方、デフォルトを宣言すれば、その分、これらの借金は踏み倒し、ということになる)、よいのだろうが、今はEuroZoneの一部なので、そんなこともできない。一方、ギリシアがもし、ドイツの州のひとつであるなら、ドイツ人も彼らの財政出動してやるのは、仕方ないか、と思うだろうが、別の国の別の民族なので、なんで赤の他人を助けてやらねばならんのだ、という話になり、財政政策もできない、ということになる。となると、僕は、ギリシャについては、かなり悲観的で、なるようになるしかなく、EuroZone離脱しかないんじゃないかと思し、通貨がドラクマに戻った方が、結構ましな結果になる気がする。


もうひとつ言うと、日本よりまずいと思うのは、日本は、未だに海外からほとんど金を借りていないので、当時は財政出動、という正しい政策が打てたが、ギリシアほか、欧州は全般、外国からかなり借金をしているので、それが難しい(ところで、借金を欧州域内、域外でみると、域外がどれほどか気になる。ほとんど域内なら、財政政策すればいいのにと思う。)


EUというのは、武力なしで、統一した共同体を作る、という、人類史上ない壮大な社会実験であり、これには、歴史家として、かなりの興味を持っているが、これに試練が訪れている、というのも、冷酷なようだが、科学的興味を持って見ている。EUというのは、欧州大陸を破滅させた二つの大戦、特に、独仏の対立を永遠になくすことが最大の目的であり、次に、アメリカのスーパーパワーに対抗する、という目的がある。ただ、正直目的と実現性とのバランスから考えて、EUもEuroZoneもちょっと広げすぎでは、という感は前からあった。イタリア市民がBrusselの支配を受け入れ、ドイツ人が、スペイン人のために出費するか、というと、そうなるとしても、まだ50年ぐらい時間はかかると思う。また、EURについては、USDに負けない規模を持つ通貨を持つ、という意図はわかるのだが、その整合性とも鑑み、対象範囲を広げすぎなようなことは前から感じていた。ギリシャのほか、キプロス、スロバキア、エストニア、とか入れるのは無理があるんじゃないか、とは思う。岩田の本にもあるが、直感的にも、通貨には、最適通貨圏、というのがあり、同一の経済水準や、民族的一体性、という要素がそれなりの程度満たされないと、利益にならず、成功しないと思う。岩田が、北海道円、沖縄円、などよい例をあげているが、そうならないのは、こうした基準が満たされているからだ。ギリシアがユーロに入るぐらいなら、経済水準だけで言えば、日本が入った方がよほど合理性があるように思う。(ちなみに、NAFTAとかEUについて、経済同盟を、地域というカテゴリから発想することは、それほど合理的なのか、という疑問がある。日本、ドイツ、オーストラリア、などで経済同盟を結んだ方が、よほど合理的じゃないかとさえ思う。)。


通貨が切り下げになる、というのは、悪いことじゃないと思う。自由貿易が進んだ現在、自国通貨安というのは、機能として関税と同じような役割を果たし、つまり、自国産業保護として機能すると思う。韓国など、この典型的な例だ。ギリシアみたいな国で、それが封じられている、というのは痛いと思う。


ところで、ちょっとずれるが、GATT時代から、世界の貿易を自由化しましょう、それはよいことです、というながれがあるが、それは本当かいな、という思いがある。その逆の典型的な例は、インドにイギリスの綿織物がはいっていったら、インドの産業は死滅して、みんな貧困に苦しんだ、という話や、古くはプロシアや、南北戦争後のアメリカ、戦後の日本など、保護主義をとり、海外の攻勢から国内産業を保護して大成功している例もある。自由貿易、というのは、競争力が強い企業の方便であるという気がする。


で、EUに話を戻すが、BBCを見ていると、EURは、経済的な意味だけでなく、政治的な意味がある、だから、守らねばならない、という論調をみて、へー、そう捉えるんだ、とは思ってはいるが、逆に、そう思い入れてもならず、合理性を考え、EuroZoneはちょっと縮小し、例えば、岩田の言うとおり、EC発足の6ヶ国(ベネルクス3国、フランス、ドイツ、イタリア)だけでしばらく走らせてみる方がよいと思うし、だからってこれを、欧州統合のロマンの失敗、など極端な解釈をする必要もないだろうと思うし、試練にあって、現実に即した形で調整された方が、長期的には、欧州統合の未来のためにも良いと思う。


話は、変わるが、客観的に言って、デフレスパイラルに陥りつつあり、これを避けることが、非常に重要なのだが、述べたような欧州内の統一感や同胞意識がないためか、マネーサプライを増やすとか、大胆な財政出動をする、のではなく、逆に、イギリス、フランスなど、各国緊縮財政政策を取っている。僕はこれは逆効果なんじゃないかと思う。これについては、岩田もリチャード・クーもそうした意見だ。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111208/mcb1112080504014-n1.htm

出費を減らせば借金が減る、というのは、ミクロ経済と同じ感覚でマクロ経済を語ることであり、大恐慌に際して、フーバーが取った政策であり、一番避けるべき方法であると思う。GDPというのは、みんなが質素倹約すれば良くなる、というものでなく、如何に金が世の中で、ぐるぐる回ったか(そして回る過程で、それぞれの人に便益を提供する)ということであり、どこからどこに回るのか、というイメージで考えねばならないものなのだ。こうした政策をとると、少なくとも短期的には、GDPは下がり、実際、いくつかの国はマイナス成長になっていたと思う。日本では、バブル崩壊後、しばらく財政政策を続けたが、ここは、僕もクーと同じ意見で、これは一面正しかったのだろうと思う。後は、さっきも書いたが、マネーサプライを増やして、「過去の過ちを小さくする」こと。極端な話、金というクーポン券を刷って、それを、借金している人たちに渡してしまえばよい。マネーサプライの増加は、実質税金の増加、と同じような意味だが、急激にならねばそれでよい。インフレターゲットが何故優れているか、といえば、例えば、それを2%に宣言したとすれば、0%なら、あと少しインフレにする、というモチベーションが働く一方、5%になったら、それを下げる、というモチベーションが働き、社会として予測可能な水準となるからだ。


ところで、日本については、マネーサプライをどんどん増やすしかないと思う。なぜ日銀がこれに反対しているのか、理解できない。国の借金が増えている、といっても、こんなの増えすぎで、消費税を10%にしたところで、橋下さんが主張しているように焼け石に水で、インフレにより、過去を、小さくする、ことの方がよほど効果的であると思う。マネーサプライを増やすことは、機能としては、消費税増税と似ているが、政治的摩擦ははるかに少ないので、こちらの方をとっととやるべきだと思う。ちょっと細かい機能的な話は分からないが、復興債の日銀引き受けって、要は、日銀がクーポン券を刷って、それを復興のために、使う、という意味だと思うが、僕は全然いいんじゃないかと思う。高橋是清(今ちょうどそういう本を読んでいる)もそうした方法をとって、乗り切ったとのことで、全然問題ないと思う。今は「原則」日銀法で禁止されており、その趣旨は、やりすぎてハイパーインフレを招くから、ということだそうだが、インフレターゲット、なら、やらなすぎとやりすぎをともに予防することができるのだから、今の状況でそれをやるのは全然問題ないと思う。もっと言ってしまうと、今は、円高で日本の輸出産業は困っていて、資源価格が高騰しているんだから、クーポン券を刷りまくって、それを、サウジアラビアなどに配っても別にいいんじゃないかと思う。それなら、原油がただで入り、かつインフレになり、円安になるので、誰も損しない。このあたり、白川さんは、金融政策へ頼りすぎると、経済構造のリストラクチャリングへのモチベーションを阻害する、みたいなことを言っているが、ここは大反対で、まず、小規模の不況と構造的なデフレは病状が違っていて、小規模の不況には、ダイエットや筋トレが有益だろうが、構造的なデフレは、まずおかゆを与えて体力を回復させる、経済で言うと、過去の借金を実質減らし、人々の期待を好転させること、というのが処方箋であり、もっというと、構造改革すべし、とか、実質的な消費税上げない、なんて、選挙で選ばれない、日銀の判断することじゃない。僕は日銀の独立には反対で、市民により得ればれた政治家が行うべきで、また、財政・金融は組み合わせて一帯で手が打たれる方が戦術的に合理的だと思う。日本が外国から借金しているのなら、クーポン券を刷ればその分インフレになり、外国の借金は実質増えていくが、今は海外から金を借りているわけではないので、ガンガン印刷しても問題なかろう。政府債務が、膨大であるにもかかわらず、日本国債が値崩れしない理由はここであり、IMFが日本は債務を減らすべき、などといっているのに、合理性などない。ところで、IMFは、アジア通貨危機などの時は、クローニーキャピタリズム、放漫財政などと批判し、緊縮財政など、哀れな新興国に苦痛を与える処方箋を強制しておきながら、今の欧米に対しては、そんなに強気に出ない。自分達がその治療を受け入れることを考え、やっと誤りに気付いたのだ。むしろIMFなど無視して、やつらの誤りを際立たせてやった方が痛快だろう。)


ただ、欧州についてだが、かつての日本でそうであったように、マネーサプライを増やしても、国債と日銀の間で、ドッジボールが行われるだけであり、金を刷っても、それが市場に広がらない、という問題があったそうで、だからマネーサプライは意味がない、というのは、それなりに説得力がある。厳密に言うとクルーグマンのインフレターゲットは、マネーサプライの増加だけでなく、「あらゆる手段を使うこと」を言っているが、まあ、それはさておき、金を刷っても広まらない、というのは、科学的な批判であり、ではどうするか、というのはちょっと考える。リチャード・クーが、財政政策を主張している理由は、まさにそこにある。ただ、ただ、個人的には、ちょっと引っかかり、財政出動というのは、借金をしてある意味無駄に出費するわけだから、見た目の印象が悪く、さらに、国の借金は、今の日本でまさにそうであるように残ることになり、なんとなく説得力に欠ける、いいかえると、経済の回復にとって大事な、人々の期待、には、いい影響を及ぼさない。小泉さんの「構造改革」は経済的に妥当な処方箋だと思わないが、そこになんとなく説得力があるのは、そうした理由による。


ここでまず思うのは、政策技術として、刷った金が、そのまま市場に出回るような経路はないのか、ということ。例えば、振興券、とか給付金、とか、一見するとバカっぽく見えるのだが、そういう経済技術的な合理性がそれなりにある。あと、もうひとつは、ドッジボールになる原因は、要は、市場に資金需要がない、いいかえると、将来に希望が持てない、ということであるのだから、政府のような機関が、「傾斜生産」をやって、未来の世界にとって重要な産業に投資する、ということなどよいのだろうと思う。例えば、今はやりのクリーンエネルギーの開発でもいいし、保育所の整備などの新しい社会への対応などでもよい。昔枝野さんが、言っていたが、田中角栄の道路整理は、当時の時代状況からすれば正しいことであり、例えば、子育て支援とか、というのは機能としてこれと同じであり、こうした「構造変換」のために、一時的に出費するのは、やむを得ないことだ、といっていたが、こうした意見には、100%賛成だった。僕は民主党支持ではないんだが、このあたりの当時の民主党の主張には、賛成で、たしかに、コンクリートに投資するより、保育所に年した方が合理性があると思うし、その方が、出生率も増加するだろうし、もっと言うと、人々の期待にポジティブな影響を与える。民主党は、せっかく政権を取ったのだから、何でこうした政策をとらないのか、理解できない。


ともかく思うのは、市場に出回るマネーの量を増やすのは、政策の工夫で可能ではないかと思われ、また、財政・金融政策ともに、集団なのだから、これらは、組み合わせてこそ初めて威力を発揮するもんだと思う。


ついでにいうと、今アメリカでは、マネーサプライをいわゆるじゃぶじゃぶにし、金利もしばらく低く据え置く、という露骨な金融緩和なんだから、日本も同じようにしないと、どんどん円高になっちゃうので、負けずにどんどん金融緩和すべきだろう。そこで刷ったクーポン券で、原油など買えばよい。


ただ、ギリシア、イタリア、スペイン、あたりの緊縮財政については、直感的にだが、どこか説得的な雰囲気もある。というのは、要は、これらの国の名前をきいて、はっきりいって、いかにも今まで楽をしてきた怠け者、という印象があるからで、マクロ経済云々抜きに、直感、もう少ししっかりしてもらった方が長期的にはよいのでは、という感じもする。アジア通貨危機の後の、アジア諸国の状況などが参考になるだろうが、ちょっとここは調べてない。このへん最終的にどう転ぶか興味場ある。


そういえば、アメリカは、景気は欧州と比べ比較的回復しているらしい。欧州が世界経済を悪化させる、とか言っているが、アメリカと日本は思ったより影響少なく、中国や韓国の方が影響は大きいと思う。というのは、アメリカと日本は貿易依存度がかなり低い国の方であるから、欧州の影響なんてそんなに受けない。欧州が危機だから、日本もやばい、とか思う必要はなく、むしろ、欧州の調子が悪いうちに、日本は攻勢に出るべきだろうと思う。あまり、世の中暗い等といってもしょうがない。今の状況は、日米欧の比較で言うと、日本が一番まともなのだから、比較で言うと最も有利なのである。厳しい国際経済の中では、人の不幸は、比較で言うと我が優位である。日本に必要なのは、勇気や自信なのだから、そう考えるのも、ある程度許されると思う。