髪の知識!Part10 ジスルフィド結合 パーマの仕組み | 美容師の独り言 Liebevoll

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くく

前回の続きになります
4つの結合とパーマ剤の反応は深いかかわりがあります
その中の3つの結合を切断して最も効率的に
髪を軟化させることのできるのがパーマの1剤
です。

・水素結合   水分、薬剤塗布で切断
・イオン結合     髪のpHがアルカリ性に傾くことで切断
・S-S結合   1剤の還元作用で切断
すべてのシスチン結合が切られるわけではなく
実際には強いパーマ剤でもシスチン結合の
約20%しか切断されていません。

パーマ2剤の酸化剤で戻せるのはシスチン(S-S)結合のみ
PH(4.5~5.5)にもどすとイオン結合
髪が乾燥することで水素結合します

カールやウェーブはこの3つの結合で作られているので
パーマは3つの結合をきちんと処理をすることが重要です
この作業を怠るとタンパク質の軟化や間充物質が流出
パーマが不安定でとれやすくなり
髪の強度低下、水分量低下になります
このことに関しては美容室でお願いするべきことであり
美容師が最低限で知っていなければいけないことです

ジスルフィド結合(S-S結合、シスチン結合)


ジスルフィド結合、またはS-S結合と呼ばれる結合は
タンパク質の中に含まれるシステインという
硫黄 S を含んだアミノ酸が深く関わっています
髪のタンパク質ケラチンにはシステインが多く含まれ
多くのジスルフィド結合を作っています
ジスルフィド結合の結合力は100~200kJ/mol

2つのシステインを結びつけジスルフィド結合を作り
このときに使われるのがパーマ剤なのです。

図を見ていただければ分かるとおり
髪の中でパートナーが入れ替わりましたね?
この原理がストレートやウェーブを作ります。
アイロンで処理したりロッドをつかってずれを生じさせて
また再結合させるのです。

パーマの1剤には還元剤とアルカリ剤が入っています

還元剤
(S-S結合を切断するためのものです)

 ・チオグリコール酸塩類(チオ系) HOOC-CH₂-SH

・亜硫酸ナトリウム(化粧品) Na₂SO₃
 ・システイン又はその塩類(シス系) HOOc-CH-CH₂-SH
 ・システアミン(化粧品) H₂N-CH₂-CH₂-SH
・ブチロラクトンチオール
など

アルカリ剤
・アンモニア
  刺激臭はあるが揮発するため毛残留が少ない
  反応が早く刺激がある
 ・炭酸アンモニウム
 ・炭酸ナトリウム
 ・モノエタノールアミン
  不揮発性のためにおいは少ないが毛髪の残留が高い
  反応は遅く刺激がある
・炭酸水素アンモニウム
  弱アルカリ性だが経過時間で炭酸とアンモニアに分解され
  アルカリ性になるため反応が強くなる
・アルギニン
  毛髪との親和性が高くアルカリ剤の作用としては弱い
など

還元剤の違いで質感が変わります

システイン系のパーマ剤はシステインが2剤により酸化され
毛髪内部に残留して、ハリ・コシをだします。
 亜硫酸ナトリウムは水に溶けやすく
毛髪に残留しにくいため
やわらかいカールをつくることができます
施術中の臭いが少ない、残臭が少ないという特徴もあります

*ブチロラクトンチオールはここでは勉強しません

パーマ2剤(主に2種類)

1剤で切れたシスチン(S-S)結合を結びつけて固定する

・臭素酸ナトリウム 
NaBrO₃ リッジのある仕上がりになります
 ・過酸化水素水 
H₂O₂ 柔らかい仕上がりになります

パーマの2剤はカラーリングやパーマの質感にも影響します

こちらはメーカー指定の場合が多いのです 


追記

お店にちらほら質問のメールを頂いたり

ますが講師はしてません


パーマの仕組みで重要なのが

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