■あらすじ
●シイノトモヨ…元ヤンのOL
●イカガワマリコ…トモヨの親友、不幸
●マキオ…シイノを助ける青年
●タムラキョウコ…マリコの父の後妻
ブラック企業で働くシイノは、ニュースで親友マリコがマンションから転落死したことを知る。
マンションに駆けつけるが、もう全て終わった後。
直葬だったので葬儀に参加することも出来なかった。
シイノはマリコの実家(ボロアパート)に行き、セールスのふりをして家の中に入る。
部屋にあげてくれたのは、父の後妻になったキョウコさん。
マリコは幼少期から父親に虐待を受けており、高校になって性的虐待まで受け、精神的におかしくなっていったのだ。
マリコを少しうざいと感じ距離を置いていたシイノ。
遺骨の前でしょぼくれている父親を見た瞬間、シイノの意識ははじけ、気が付いたらマリコの遺骨を奪い取って逃走していた。
部屋に入るときに玄関に脱いだ靴もそのままに、窓から飛び降り…。
思えばマリコは不幸な子だった。
シイノを「シイちゃん、シイちゃん」と慕ってくれる。
父親から虐待され、母親には「お前が誘惑した」と罵られ。
成長するにつれ、男の欲望のはけ口にされ、精神が不安定になり…。
シイノはマリコが行きたがっていた海を見に行くことにする。
遺骨を抱えバスと電車を乗り継ぎ海へ向かう。
海にたどり着いたー、と思ったら引ったくりに会って全財産奪われてしもた
おまけにマリコからもらって大事にしまっておいた手紙も根こそぎ奪われた。
偶然出会った青年、マキオに助けられ、
食事と寝床にはありつけたものの、
一文無しじゃけぇ
海が見える岬に立つシイノは、自分もその身を海に投げようとする。
そんな時「助けて」と叫びながら逃げてくるJKを発見。
JKがマリコに重なる。
シイノはJKを追いかける男を骨箱で思いっきりぶん殴った。
JKは助かるが、マリコの遺骨は壊れた骨箱から海に零れ落ちていく。
さらさら
きらきら。
マリコの遺灰を掴もうとしたシイノは崖から転落。
でも死ななかった。
怪我しただけ。
JKを追いかけてた男はひったくり犯。
全部返してもらったわ。
町に帰り、無断欠勤したことで辞職を願い出るも「うちはブラックだから人材不足」とへんてこな理由で残留させられちゃった。
ある日、帰宅するとアパートのドアに紙袋が掛けてあった。
中は自分が逃げたときに置いてきた靴とキョウコからの手紙。
キョウコさんエエ人や。
でも待って、住所バレてるってことやん。
ヒィィ
キョウコの手紙の中に同封されていたもの。
それはマリコからの手紙。
シイノは手紙を読み「うん…」と頷くのだった。
■おしまい
■感想
(C)2022映画「マイ・ブロークン・マリコ」製作委員会
漫画原作、原作未読。
シイノの姉御肌なところ。
でもちょっと抜けてるところ。
マリコのことを本当に心配して想っているところ。
悪い彼氏からマリコを守るためにフライパンで応戦しているところ。
どれもが愛おしい。
そんなフライパンで応戦してまで(←とても正しい戦い方。フライパンは意外と使い勝手のいい武器になるっぺ)守り抜いたマリコが彼氏にコロっと騙されてホイホイ出かけていき、腕を折られるとか、シイノじゃなくても怒るでしょ。
というか、シイノじゃないフツーの人なら、パンケーキ叩きつけて縁切るわ。
(マリコの心中にはシイノには伺い知れない想いもあったのだけれど)
マリコがどんどん壊れて行って、
多分、とてつもないひどいことをされて彼岸の方に心が行きかけているマリコが笑っているシーンは怖かった
ああ、この子はもうこっちの世界には戻れないのかなって気がして。
自分がシイノなら「助けたらな」と思うと同時に「関わったらあかん」って思っちゃうだろうな。
マキオと恋仲になるのかと思ったら、そんなこともなく。
あくまでこれは、シイノと今はもういないマリコの物語なのな。
記憶の中のマリコが可愛い。
マリコにとってシイノは掛け替えのないただ一人の人であり、
シイノにとってもマリコは掛け替えのないただ一人の人。
「高校生の時、実の娘を強姦したてめえに、中学生だった実の娘を奴隷扱いしやがったてめえに、小学生だった実の娘から母親を奪ったてめえ、てめえに!てめえに弔われたって、白々しくて反吐が出んだよ!」
シイノのこのセリフがかっこよすぎて泣けるよ
この映画のテーマは。
好き嫌いの別れる映画かもしれん。
でも、刺さる人には刺さる。
マダム、
グサリまくり。
これ!
86分と短いので、よろしかったら。
虐待シーンやらあるので、
そういうの苦手な方はご遠慮ください。
「直葬」と聞いて「産地?」と言っちゃうシイノが愛しい。
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