■あらすじ
●あみ子…風変わりな子、周囲を巻き込む。
●哲郎…あみ子のパパ上、事なかれ主義。
●さゆり…ママ上、ある事件で心を病む。
●のり君…あみ子が思いを寄せる少年。
●お兄ちゃん…あみ子の面倒を見ていたが…。
●坊主頭君…あみこの幼馴染
あみ子は母が開いている習字教室に来ている「のり君」が大好き。
今日も誰彼となく「のり君はどこ?」と訊き倒している。
のり君はとても迷惑そうだが、あみ子は気にしない…というか、のり君の気持ちを斟酌することが出来ない。
そう。
あみ子は空気読めない子ちゃんだったのだ。
場の空気を読まず、思ったことを口にし、思うがままに生きているあみ子に、家族は振り回されっぱなし。
お兄ちゃんなんかあみ子のせいで10円禿が出来たくらい。
ある日ママ上が病院に担ぎ込まれた。
妊娠中のママ上は、子供を失い傷心で帰宅。
あみ子はママ上を元気づけようと
「弟の墓」を庭に作り、板っきれに書いた墓標を立て、
母をそこに誘う。
ママ上はその場にしゃがみこんで号泣。
ママ上の心はその時、壊れてしまった。
何がいけなかったのかも、
自分が何をしでかしたのかも
全く理解していないあみ子。
それきり寝込んで家事も出来ない母。
罪悪感もなくあっけらかんとしているあみ子。
何も言わない父親。
兄上は家に見切りをつけ不良化。
あみ子の家庭は崩壊した。
だが、あみ子にはそんな事情なんて分からない。
あみ子が中学生になるころには、
あみ子はほかの子たちから完全に浮き上がっていた。
不良のお兄ちゃん「コワイ田中先輩」の威光に守られて事なきを得ていたが、それもお兄ちゃんが学校にいたときだけ。
あみ子の居場所は保健室のみ。
日々、お化けが立てている(と思い込んでいる)音に悩まされ、
「(弟が)成仏してないから化けて出る」的なことをママ上が寝ている横で悪気無く言うあみ子。
「お化けなんていないさ」を大声で歌いまくるあみ子。
相変わらず恋焦がれているのり君から顔面パンチを受け、鼻を骨折させられてしまうトラブルにも見舞われる。
「のり君じゃなくても怒るわ」案件発覚したから…
■おしまい
■感想
出典:(C)2022「こちらあみ子」フィルムパートナーズ
原作既読。
『むらさきのスカートの女』の今村夏子さん。
映像化したんや…というわけで、
あみ子役の大沢一菜ちゃんの神演技がすごい。
「なぜそれを言う」「なぜそれをする」なあみ子。
グサる…。
「少し風変わりな少女」…どころじゃないよ…ほんと…。
療育することもなく中学まで来てたんやろうけど、
中学では完全に、おいてけぼり。
これは、家族がしんどくなるパターンやん。
あみ子自身は「自分が変わってる」とも「人に不快感を与えてる」とも思ってないから、至ってナチュラルに暮らしてるものの。
年齢が上がるにしたがって、周囲と乖離していくやん?
そんなあみ子がラスト近くで、唯一自分と対等に話をしてくれて、
自分の欠点を正面切って言ってくれる坊主君に対して
「自分のどこが気持ち悪いのか」
を問いただすシーンは
彼の漢気も相まって名シーンになったと思うんす。
頑張って家族を作ろうとしたけれど、心を壊されたママ上。
精一杯あみ子の面倒を見てくれてたけど、疲れ果て不良化してしまった兄上。
優しくてあみ子を口汚く罵ったりしないけれど、結局あみ子を手放してしまったパパ上。
誰が彼らを責められようぞ。
ファンタジックな部分が散見されて、
それがどうも「なんかちょっと…」になっちゃった(ここが好きな方もいらっしゃると思う)マダム。
あみ子の側転とか、お兄ちゃんと飛び上がってるシーンとか、
そういうところでは胸がぎゅうぅと締め付けられてしまった。
世界はあみ子に優しくない。
でも、
あみ子の家族には、もっと優しくない。
なんというか…共感性羞恥とでも言いましょうか。
居た堪れない気持ちになりながら観てしまった。
だって、マダムも、
空気読めない星人だからよぅ
あみ子が「子供の時はよくいる、ちょっと空気の読めない子」なんかじゃない「なんらかの障害」を抱えた子であることは、観ている人には伝わってくるけど。
作り手が「こういう無邪気な子、いるよね?」って見せ方をしてるから、
そこに辛みを感じたんじゃないかと自己判断。
大沢一菜ちゃんの演技がすごすぎて、
クッキーのチョコを舐めるところや鶏肉を食べるシーンの汚らしさは特筆もの。
演技だったとはいえ、
お年頃になった時これを観て「うわぁ」ってならないか、
おばちゃんチンパイ。
この映画のテーマは。
ほのぼのだと思うな、
心して観よ!
これ。
あの~~、
あみ子の投げてたミカン、
何処いったん?
天井にへばりついてるの?