特捜部Q カルテ番号64(ネタバレ) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

ユルセナイヤツガイルッ!

 

 

バディ解散の危機の中、

ミイラ化した死体が発見される。

縛り付けられ生殖器を切り取られたそのミイラは、

なぜ、誰に殺されたのか?

その裏には、恐るべき悲劇が隠されていた…。

 

 

 

 

 

===登場人物===

 

カール…有能だけど問題あり。閑職の特捜部に追いやられている

アサド…カールの相棒、移民

ローセ…特捜部の紅一点、有能

マール…アサドの知り合い、移民の女性、中絶手術をするが…

ニーデ…従兄弟と情を通じ妊娠してしまい保護施設に送られる

クアト…保護施設の医師、後に産婦人科の権威に

リタ…保護施設でニーデと同室になった女性

ギテ…保護施設の看護師だった女性

 

 

 

アサドが異動することになって、ローサは今後が心配チーン

カールひとりでいろんなことをやっていけるわけ無いじゃん!あの人、性格的にアレやモン…。

後一週間で異動というときに、アパートの一室からミイラ化したご遺体が発見された。

3人の遺体は椅子に縛り付けられ性器を切り取られている。

捜査の結果、3人のご遺体の素性がフィリップ(男)リタ(女)ニーデ(女)ではないかと判明。

部屋の借り主はギテという女だが、彼女は行方不明。家賃は振り込まれてる。

 

 

 

 

調査をしたら被害者は1960年代頃「道を外れた嬢ちゃんを正しい道に引き戻す収容施設:スプロー島の女子収容所」に関与していたことが発覚。

リタとニーデはその収容所にいた少女たち。

フィリップは弁護士だった。

だが、なんでこういう目にあってKILLされるのかは不明のまま。

 

 

一方アサドの知人女性マールは、望まぬ妊娠をしてしまったので秘密裏に中絶してくれるクアト医師の病院(オサレででかい、儲けてやがるぜムカムカ)で子供を堕胎することに。

 

 

スプロー収容所は今はもう閉鎖されているが、案内人の男性は忌まわしい場所のように恐れている。

ふしだらな行為をした少女たち、世間の規律に外れる行為をした少女たちはここに収監され、矯正されていたのだ。

とてもつらい仕打ちを受けながら。

 

 

 

 

ミイラの一人フィリップ弁護士は、スプローで医者をしていたクアトの弁護も引き受けていた。

カールは彼の残した資料の中にもしかしてヒントがあるんちゃうか?と思いフィリップ夫人に会いに行く。

資料をゲットするが何者かに襲われ大事な証拠物件が燃えてしまう。

かろうじて手に残ったのか「カルテ番号64」…つまりニーデのカルテ。

スプロー収容所を案内してくれた男性はKILLされ、ローサも襲われたが間一髪難を逃れる。

個人の仕業じゃないよね。何らかの組織が絡んでるよね。

 

 

アサドは捜査をすすめるうちにクアト医師が、

「優れた人種は子供を残せ、そうじゃないやつに子供は要らん」

という思想を持っていることを知り、まさかマールが…と嫌な予感に襲われる。

 

 

マールを連れて別の産婦人科に行ったら、マール本人のあずかり知らぬところで不妊手術を処されていたことがわかってしまった。

クアトはスプロー島の収容施設でも不妊手術を施し、今は移民女性に手術をしとるねん。

優れた遺伝子は残すべきだけど(そのためには50を過ぎても不妊治療の援助を税を投入してもすべき)そうじゃないものは芽を摘んでおくんだよ!

なんという傲慢な!

 

 

ムカムカムキームキームキームキームキームキームキームキームキームキームカムカ

 

 

マールはショックを受けクアト医師病院に「たのもぅ!」と乗り込んでいく。

 

 

カールは皆がギテと思い追いかけていた女性が実はニーデなのでは?と彼女を追いかける。

ニーデはかつて従兄弟と愛し合い子供を授かったのだが、怒り狂った父親のせいでスプロー収容所に送られ、そこで強制的に中絶手術と不妊手術を受けさせられていた。

しかも間の悪いことに、そんな処置を受けてすぐに収容所は閉鎖されることがわかるのだ。

もう少し…もう少しで…。

ニーデの悔しさはいかばかりか。

 

 

自分を騙しクアト医師に売ったリタ。

自分を思い通りにしていたギテ。

そして一生子供の持てない身体にしたクアト医師。

復讐してやるドクロ

 

 

 

 

ニーデは復讐に手を染めていくが、愛し合っていた従兄弟と再会し平和な人生を手に入れることで復讐の虚しさを知る。

愛って無敵。

 

 

クアト医師の病院に文句を言いに行くったマールは意識を失わされ危機に。

アサドはマールを救うため病院に乗り込むが、警察官の中にもクアト医師の仲間がおったもんでアサドは撃たれ命がピンチ。

クアドの組織は国家的な組織で医療関係、警察だけでなく政府の中にも入り込んでいたのだ。

しかし忖度という言葉なんか「知らんがな」のカールは、アサドを救うためにガンバルンバ。

 

 

瀕死のアサド。

意識不明のアサドをみて、カールは自分に誰が必要なのかを思い知る。

 

 

意識を取り戻したアサドに、

カールは「特捜部に戻ってきて」と告げるのだった。

このツンデレ男子め!ラブラブウインク

 

 

     おしまい

 

―――――――――――――――――――――

 

 

ものすごく良かった。

必要じゃない女性は妊娠させへんようにして悪い芽は前もって摘んじゃえ!って思考はどうなんやろう。

例えば…言い方は悪いけど、周りの赤の他人の手を24時間365日借りないと子供を育てられないのなら、そういう選択もありかもだけど。

移民である=白人の自分たちより劣っているから子供は必要ない。

素行が悪い=ケツカル(言うてもニーデはちゃんと愛し合ってたんぇ)は女性として劣っているので子供は必要ない。

これはちゃうんちゃう?

 

 

ニーデの過去が丁寧に丁寧に描かれていて、彼女が受ける仕打ちの理不尽さに「怒ってもええねんで?」と感情移入してしまいました。

そんなニーデが、全身全霊をかけて愛していた従兄弟と人生の後半を共に過ごし、

「とても幸せだった」

と語るシーンには思わず涙。

ああ、本当に愛し愛されていたんだなぁ…。

 

 

ジェンダーがどうの優生保護法がどうのという方々には是非観ていただきたい。

マールの怒りと衝撃。直接的に文句を言いにいったマール。

ニーデの怒りと衝撃。心のなかで怒りを煮詰めていったニーデ。

マールもニーデも「子供がほしい」と思っていたのに。

 

 

特捜部Qシリーズは、本当に面白いんですけど、いまいち「知る人ぞ知る」なんですよね。

バディものとしてもミステリとしても、かなり上級なのに。

今回のを単品で観るより、ちゃんとシリーズ通して観たほうがオモチロイですぞ。

 

 

『特捜部Q ~檻の中の女~』→■

『特捜部Q ~キジ殺し~』→■

『特捜部Q Pからのメッセージ』→■

 

 

 

 

いつも重い問題を提示してくれる良作揃いの特捜部Q。

人間的に欠陥の多いカール。移民であるアサド。

今回は「強制的な不妊手術」しかも知らないうちに処置されてる…。

女性の尊厳はっ?

ユルスマジですよねっ!

マダムもこれで一応戸籍は女なので、とても痛々しく悲しく…そして考えさせられる物語でした。

だからこそ、彼女の最後の微笑みが本当に素晴らしい!

 

 

北欧の暗さ(今回も雪雪の結晶でござる)も、とても良い。

なんでメジャーにならへんのん?おっさんやから?そこが良いんじゃない!

こういうのを観てしまうと、テレビでやってる刑事ドラマの底が浅く見えて仕方がありません。

 

 

映画は、これで終わりとか…ガーン

ええええっ、カールのツンデレ発揮で良かったのにぃ。

ここからなのにぃ!

ま、知ってる人だけがニンマリキュンキュンしながら終わるのも善きことなのやもしれぬ。

でも…。

もっとみんな観てくれよぅ!(本心)

 

 

ローサが美人じゃなくて若くもないのに有能なのがステキ。

ホラーのKILL要員なら若くてバカデきょぬーなほうが良いけど(ファイナルガールは美人でしっかり者)、

ローサに美貌は求めてないしね!

今回はニーデが良かったです。

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