身分違いの恋だけど、惚れちゃったんだよ~♪
絶唱 [DVD]
4,860円
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素封家の一人息子が、貧しい山番の娘と恋に堕ちる。
恋はいつでもハリケーン!
昭和17年。
山陰地方の分限者・園田の若様である順吉は、家に働きに来ていた小雪と恋に堕ちちゃいます。
当然、順吉の父親である「旦那様」(園田家当主)は、
「反対じゃ!身分が違うわ、何考えとんねん!」
ってなりますわな~。
小雪は現実を見ているので身分違いの恋に苦悩中。
世間知らずでピュアな順吉は「僕には君が必要なんだ!愛してくれるね?」と半ば強引と思えるラブアピール。
あ、時代背景が今とはぜんぜん違うので、ある種のメルヘンだと思って観てくださいね。
ちな、小雪は超能力者か!ニュータイプか!(古い)ってくらい、順吉が来たらピピピっと来はるんぇ。
「足音が聴こえるっ」BGMも、ちゃららら~~~ん!って感じ。
旦那様は順吉が小雪とくっつく前に身を固めさせようと、ええとこのお嬢さんを召喚。
しかし順吉は、お嬢さんにむっちゃ冷酷な態度です。
順吉は「読書会」という、サークルみたいなのに属してます。
ここは身分も学歴も関係なしに、純粋に「読書が好き」というヤングが集まった場。
リーダーは大谷くん。
ここで
「オレって金持ちのボンボンやけど、恋したってEじゃない」
なんて一席ぶち上げる順吉。
知らんがな!
さて、この時代。世の中は戦争に向かっていってました。
小雪が旦那様の差金で津山に追い払われそうになり、順吉は小雪と共に駆け落ち。
大学も辞め、荷車を引く肉体労働で暮らしを立てようとします。
健気で働き者、身分を弁え、控え目ながらも芯がしっかりしている、当時の女性の(男から見た)理想像である小雪は、超人気者に。
二人は小さな幸せを掴んでいましたが、小雪の両親は村八分に合っていました。
そして読書会の仲間たちにも、順吉にも召集令状が来ます。
「戦地に赴くけど、お昼の3時になったら、一緒に歌おう」
「はい」
こうして順吉は戦地で。小雪は地元で。
周囲の人達は、気味悪いくらい理解者揃い踏み。3時になったらデュエッティング・タイム突入。
小雪は身を粉にして働きますが、大谷たちが見ていても気づくほどやつれて行きます。
「実家に帰って身体を厭わなくちゃ」
そう進言されても
「あの人が帰ってくるのに、ここにおらなあきません!」
と拒否。
小雪は結核に侵されていました。
寝込んでしまった小雪を見舞いに来る読書会メンバーの仲間たち。
戦争はすでに終わり、メンバーは次々戦地から帰ってきているのに、順吉はまだ…。
大谷と読書会のメンバーの女性川田が結婚することになり、小雪は一生懸命作っていた赤ちゃん用品を川田に託します。
自分にはもう子を成すことは無理だと…命が尽きる時がすぐに来ると分かっていたから。
旦那様が死亡し、ようやく自由になった小雪の両親は小雪の見舞いを決行。
旦那様に押さえつけられていた使用人たちも「それがええ!」と賛同。
ようやく生きているような小雪。
そんな小雪が、ピコーーーーン!
「あの人が帰ってくる!足音が聴こえる!!」
「ただいまっ」
順吉突然の帰還!
そして砂丘を歩いて帰還!
小雪はか細い声で謝ります。
「妻のつとめも出来んで、許してつかぁさい…山へ…帰りたい…」
帰ってきたら、小雪が死にかけてるなんて「びっくりフジツボ」状態の順吉ですが、
「よっしゃ、山に帰るでぇ!お前はワイの嫁として、帰るんじゃーー」即決。
「うちは…妻とは…思うてませんでした…」
「そんな気兼ねをしてたんか、お前という女は」
皆さん涙涙
小雪、順吉に看取られながら死す!
順吉は決意します。
「婚礼と葬式を一緒にして、名実ともに周囲に嫁と知らしめるの義!」
死婚?
白無垢姿で園田の家に嫁ぐ小雪の遺体。
皆が涙しています。
だって分限者の跡取り若様(今は当主)が、死人と結婚て、跡取りはどうなるのん?
…じゃなくて。
小雪と順吉の想いの深さに打たれたのです。
式がつつがなく終了したあと、順吉と小雪が消えます。
「どこに行きはらはったんや」
順吉は小雪を抱き、山に入っていました。
「やっと二人っきりになれたよ…久しぶりに二人で歌おうシング!」
デュエッティングが流れ、山の風景が映し出され…。
おしまい
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当時(1975)ですら、何やこの価値観は!と思ったであろう「古い時代」の女性像男性像。
そらそうよ、確か原作が出版されたのって1958年くらいだったと思うから。
原作は大江賢次さん。
昭和30年代前半に「理想」とされていた美徳=忍耐、働き者、健気…このあたりがこれでもかと描かれてて、なんだかなーと思いますが、その分殿方もいろんな責任を負ってたんですよ。
順吉はすごい若様なんです(そうは思えないのは現代の価値観で判断するから)。
「百恵友和、文芸シリーズ」の第3弾だったっけ?
百恵友和なので、チュウひとつも何となくそう見えるってだけで、実際にはしてはらへんし。
なのに百恵ちゃんの匂い立つ色気がすげぇ。
百恵ちゃんって、すごい美人でもないし、抜群のプロポーションでもないし(むしろ純日本人体型)大根足だし、天才的な演技力があるわけでもないのに、すごく雰囲気があるんですよね。
若作りな萌キャラ路線&アニメ声タレント全盛のイマドキの時代なら、ぜったい表舞台に立つこと無く消えるタイプ。
百恵ちゃんというスタァが生まれ出たあの時代は、「成熟文化」の最終ステージだったのかもね。
ちょっと笑っちゃったところは、小雪の「山鳩さん」っていうあだ名。
君は僕の山鳩さんだから。
グルッぽー!
なんで、園田の家から少し離れただけの県内で下宿して暮らし始めるんや!
駆け落ちしたなら、せめて大阪まで行けよ…と思いますけど、当時の交通網は、なかなか難儀でしたし。戦争が迫ってるってのもありましたしね。
ほんとなー、昭和の17年くらいって言えば、まだものすごい身分差が歴然としてて。
学歴フィルターなんか屁でもないくらい、
「生まれながらに身分が違う」
世の中やったんよ。
そして女性は働きものでないといかんかったんよ。
だらけきったマダムは、もう土下座して謝るしか無いよ、スマヌ!
三浦友和は、この1975年では「イケメソ」だったんでしょう。
マダム好みじゃないけどな。
そして棒やけどな。
中学生くらいで芸能界に入り。
今なんかと違って生活の全てを管理されてて。
当然恋も友情も育めず。
(楽屋で話しをしただけで怒られる時代)
周囲の作ったイメージを壊すことも出来ず(性格的にもはっちゃけられず)都会的だけど古風な百恵ちゃんが、いつも共演してる友和と結婚しようと思ったのわかる気がする…。
この「絶唱」、浅丘ルリ子と小林旭!和泉雅子と舟木一夫!でも映画化されてるんですね!
でもなんかマダムの脳内の記憶に残ってるのは、
「蔵王絶唱」の方だったりして。
こ…コバルトやったんかーーー!
そいつぁ知らなかったぜ!
ちょっと百恵友和シリーズ観てみようかなと言う気になったっす!
菅井きん、初井言榮、大坂志郎、辰巳柳太郎、大和田伸也ーーー!
周りを固める人がべテラン揃いで、
「若っ!」ってなるよー。
古風で着物が似合う百恵ちゃん。
あの3人が特別好きというわけではなかったけれど、
やっぱ一番は百恵ちゃんかなぁ。
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