人生まだまだ頑張るぞい!
オケ老人! [DVD]
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勘違いから老人ばかりの楽団に入ってしまった主人公。
あまりのヘタクソさに「これはアカン」と退団を決意するのに、
その度に何らかの事件が持ち上がり、ジジババと一緒に演奏する羽目に。
でもこれが意外と…。
小山千鶴。数学教師。
たまたま聴きに行ったコンサートがあまりに素晴らしく、帰宅してすぐ調べたら「楽団員募集」って書いてあるじゃん!
もう、申し込んじゃう!善は急げ!
練習日、いそいそと出かけた千鶴ですが、
あの時演奏していた人たちは誰もおらず、なんでかジジババばかりが集まってくる…。
そう、千鶴は大きな間違いを犯していたのです。
ここにいるのは「梅が丘交響楽団」。
千鶴が入りたかったのは「梅が丘フィルハーモニー」。
ひゃあああああああ!となる千鶴ですが「間違えました」とも言い出せない。
練習に参加して、二度目のひゃああああああ!
あまりに下手すぎる。
何を演奏してるのかもわからない、不協和音ってこういうことか―!
数学を教えている千鶴は、同僚の坂下がちょっと気になる。
線が細く優しい感じの坂下は、女生徒にも人気。
教え子の中に、梅が岡交響楽団の指揮者である野々村の孫、和音がいて、なんでだか接近しちゃう千鶴と和音。
なんとなく辞められないまま、梅響にいる千鶴。
ジジババばかりなので、入っていきなりメンバーの葬式に出る羽目になったりで、もういや~~ん。
毎度退団届を懐に忍ばせ練習に参加する千鶴。
なのに何か知らん間にコンマスにされてた…。
何故ぇ???
梅が岡フィルハーモニーは、梅響をやめた大沢が団員をごっそり引き抜いて作ったアマチュアオーケストラ。
それだけでも忌々しいのに、野々村の家業である小さな電気屋のすぐ側に、どでかい電気屋をおっ建てやがったん。
野々村にとって大沢は憎き敵ってわけよ。
でも野々村の孫である和音は、大沢の息子と恋仲なんだけどね。うふっ。
やっぱり梅響を退団して梅フィルに入ることにした千鶴。
千鶴の退団を知った野々村たちは、策略を巡らせますが、作戦中、野々村が心臓発作で倒れちゃった。
病床にいる野々村に「指揮者の代行をしてちょんまげぷりん」と頼まれて、断りきれずにOK。もう、人がいいんだから千鶴v
梅フィルがバイオリン奏者を募集してはった。
千鶴は入団試験に合格するために、2帖くらいの防音室をポチしてまで練習。
狭い部屋が余計狭くなるし、生活動線上にテーブルが来るけど、知ったこっちゃねーーー!
梅響と二足のわらじはキツイけど、ソンナノカンケーネー!
練習の甲斐あって、なんとか合格をもぎ取るものの、梅フィルの練習は想像以上に厳しく、また他のメンバーとの技術の差に愕然となる千鶴。
憧れの指揮者ロンバールが、おフランスからやってくるって言うじゃない。
「合同練習があるねんよ」
和音にウホホと報告するも、
「その日の梅響どうするの?」
( ゚д゚)ハッ!
結局大沢の息子に代役をお願い。
よし、もう後顧の憂いなし!練習あるのみやで!!ハードな練習付の毎日スタート。
ああそれなのに、ロンバートが来る当日、疲れて寝過ごし慌てて会場入りした千鶴は、
「もうあんた要らんよし」
と突き放されてしまう。
がぼーーーーーん!
それでも梅響に行って指揮してたら、
「あれ?みんなうまくなってる??」
聞けば大沢の息子くんは、指揮をする前にピアノやフルートやバイオリンで、音楽の全体像を聴かせてくれてたらしいやん。
喜びもつかの間、高熱で倒れてしまう千鶴。
寝込んでいたら和音が坂下を連れてお見舞いに来てくれた。
しかも坂下の手料理まで、おみやげはプリン。
この一件で、音楽から距離を置きたくなってしまった千鶴は野々村に退団を申し出る。
「この齢になると、もう演奏も指揮も出来ひん。医者にもとめられたしな。出来るのにやらへんかったら後悔するで?」
野々村の店にロンバールがやってくる。
壊れたラジカセを修理してほしいと言って。
「大沢は最新のプレイヤーをくれると言ったけど、自分が聴きたいのはこのラジカセなのです」
野々村の職人魂と「音楽は楽しんでするものだ」という考えに感動したロンバール!
梅響は新しい楽団員を募集。
メンバーが増えていく。
その中には大沢の息子も。
千鶴が指揮する梅響は、ついにコンサートを開くことを決心。
楽曲は「新世界より」と「威風堂々」
季節がめぐりめぐり…皆が練習に打ち込んでたらロンバールがまたひょっこり現れたやん。
梅響が好きになった彼は、
大根を楽器にして演奏するクラさんに感銘!
曲まで作ってくれるって言うやんか!
コンサートで皆が一丸となっている中、野々村が倒れた。
大沢が土地の買収にやってきたのだ。乗り気な息子夫婦への苛立ちも隠せないまま激昂した野々村は緊急手術になってしまう。
年齢的なこともあって難しいと言われていた手術を乗り越えた野々村が、バイオリンを弾かせて欲しいと申し出てくる。
心配する千鶴に「無理はしない」と約束。
野々村のバイオリンは、技術はまだまだだけれど、人生を経てきた味わいが込められていた。
千鶴は言う。
「大人になったら、音楽は進歩しないと思っていた…皆さんのおかげで頑張れた」
「ちがうよ、千鶴ちゃん、あんたが頑張ってたから、俺達はついてこれたんだよ」
コンサートが始まる。
予想外に入ったお客さんに緊張する面々。
千鶴も緊張を隠せない。
だけど、みんながいる!
ドボルザークの「新世界より」。
そしてクラさんの大根演奏にランバールさんの人参セッション!
笑いが起きる会場。
音楽は楽しく!
音楽を楽しむ!
最高潮の中エルガー「威風堂々」が始まった!
だがなんという不遇、会場の電気が落ちてしまう。
雷雨のせいで停電になってしまったのだ。
会場を後にしようとする客たち、しかし演奏は…これからだ。
野々村に貸してもらったライト付きのドライバー。
指揮はこれでする。
楽譜はみんな覚えてる、それくらい練習してきたんだ!
威風堂々!
さぁ、私達も、威風堂々と演奏をしようじゃないか!!!
サビ部分でライトが付き、演奏は無事に終わる。
歓声が沸き起こる。
万雷の拍手は止まらない!
これが、梅響なんだ!
演奏が終わった千鶴に坂下が会いに来る。
なんだか言いたいことがある風情。
まさか…まさか…交際の申込みとかきゃーーーーーー!
「ぼく…フランスに行ってパティシエになります」
え?
な…なんじゃってぇぇぇぇぇぇーーー?
千鶴の恋は終わったけれど、梅響はますます頑張るよ!
おしまい
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全然役者さん達弾いてへんねん。
素人が見てもわかるねん。
それでも、それでもこれは非常に面白かった!
これが若い子たちの物語なら、ここまで泣かへんかったとおもう。
でもさ、ジジババやん。
「もう、後どれだけ生きられるかわからないんだよぅ」
そやねん、ジジババには今が大事やねん。
先のことなんか、わからへんねんもん。
そんなジジババやから、
「一生懸命練習したかって、うまくなる前に死んだら終わりやん」ってなってもおかしくないねん。
それをこのジジババ達は「うまくなる」方を選ばはった…。
もうそれだけで泣けるやん。
いくつになっても、向上心は必要。
ものすごく大事なテーマ。
そりゃ、ご都合主義なところが山のようにありましたよ。
なんで世界的に有名な指揮者が、そのへんのおっさんと意気投合するん?とかさ。
なんでそんな何でもかんでも上手い方に話が転がるねんとかさ。
呼吸器疾患で常時酸素吸入器を装着している人がトランペット出来るん?とかさ。
もう重箱の隅をほじったら「これはあかんやろ」な部分もありましたよ。
でもね。
これはジジババ達が世界の扉を開く話やねん、寓話やねん。
何よりも。
杏ちゃんが、表情豊かでコメディエンヌで汗塗れで…杏ちゃんという女優さんのスバラシサが堪能できる作品でした。
可愛くて一生懸命で…。
バイオリンの練習をしている杏ちゃんの必死の顔演技!
難しいところを「楽譜の黒っぽい部分」と言ってしまうところ。
全部がステキだ!
和音ちゃんもスゴイかわいい!
え?この子「呪怨 終わりの始まり』→■にも出てはったん?
往年の俳優さん達の中でもひときわ輝いていた小松の親分さん。
「おかあたま!」を思い出してにやけてしまいました。
選曲も巧い。
特筆すべきは、優しいお祖母様。
マダム、ああいうほんわかして上品で優しい微笑みをたたえているお祖母様になりたいの。
わかってるよ!無理だってことは!
暗くて重い部分がなく、ご家族で観るのにはもってこいだと思います。
冬休みなどに、鑑賞してみてはいかがでしょうか。
くすっと笑って、じんわり涙して。
マダム、音楽はあまり好きではないけれど、
こういう作風はとても好きです!
鬼畜マダムが、涙しました。
マダムが、泣いた!
涙あり、笑いあり、杏ちゃんの演技よし!
杏ちゃんが、ますます好きになりました。
この人絶世の美女じゃないけど、声と容姿のバランスが絶妙なんですよ。
まだまだ頑張れるぞ…って思わせてくれる映画。
まさにファミリー向け!ポチ
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