喘息映画。点滴を受けに行ったが後悔はしない!そして今回は長いよ!
映画『聲の形』DVD
4,104円
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聾唖の転校生をいじめていた主人公は、
ある日を境に、加害者から被害者に変わってしまう。
高校生になった彼は、かつていじめた少女に会いに出かけるが…。
石田将也は、馬鹿丸出し(良い意味で)元気いっぱいの小学生。
ある日将也のクラスに転校してきた西宮硝子。
彼女は聾唖者だった。
ノートを通じて会話をする硝子。
女子のリーダー格である植野も最初は面倒を見ているものの、距離感が上手くつかめない上に、授業や学校行事にも支障をきたす原因を作る硝子に対して苛立ちを隠せなくなる。
硝子のために手話を練習する佐原に対しても「点数稼ぎ」と、陰口を叩く始末。
植野の親友川井や他のクラスメイトもそれに付随。
佐原は耐えられず学校に来なくなってしまった。
硝子をいじめていた筆頭は将也だったが、硝子の補聴器を何度もなくしたり壊したりしたせいで硝子の母親から学校に苦情が入る。
「みんなでいじめていた」と思っていた将也。
しかし、クラスメイトや担任は、将也だけに責任を押し付け、将也が今度はいじめの標的にされてしまうのだった。
硝子が転校し、将也へのいじめはますますエスカレート。
いじめは中学になっても続き、「いじめの首謀者だった」というレッテルは、剥がすことも出来ず…。
仲の良かった友人たちからハブられ、彼らが中心になって将也をいじめたことが、彼の大きなトラウマになる。
高校生になっても、未だ将也は一人だった。
他人の顔には☓マークが貼り付けられ、将也は誰とも関わり合いを持たない学校生活を送っている。
そんな将也は、硝子のことを探していた。
手話教室で硝子に出会うものの、硝子はとっさに逃げてしまう。
高校でも、同じくボッチだった永束と仲良くなり、
「友だちと過ごす放課後」を小学校以来に味わう将也。もちろん戸惑いは隠せないが。
硝子をボディガードのように守っていた結弦(硝子の妹)は、将也に敵対心を抱いていたが、彼の気持ちを知り、善き理解者になってくれる。
結弦もまた、不登校と言う問題を抱えていたのだけれど。
将也と硝子の距離が近づいていく、ゆっくりとゆっくりと。
二人で遊びに行ったり。
何気ない手話の会話が楽しかったり。
硝子が佐原に会いたいと言うので、佐原を探し出す将也。
それにともなって、同じ高校に通っている川井や真柴、そして植野も加わり「友情」らしきものが芽生え始めていた。
だが、ふとしたことがきっかけで、良好だった関係は瓦解。
将也は、また一人に…。
心を痛める硝子。
植野が言った「あんたがいなかったら、誰も不幸にならなかった、将也も、佐原も」という言葉が硝子に重くのしかかる。
将也、硝子、結弦、そして姉妹の母と一緒に行った花火大会の夜。
一人先に帰った硝子は、マンションのベランダから飛び降りようとしていた。
落ちる硝子を救う将也!しかし将也が、代わりに転落してしまう。
軽い怪我で住んだ硝子。
意識不明の将也。
植野は硝子に、むき出しの憎悪をぶつける。
その憎悪を甘んじて受けるしかない硝子。
ただ謝るだけの硝子に、いらだちを隠せない植野。
将也の意識が戻る。
悲鳴を上げている硝子の声を聞いたような気がして。
将也は、病院を抜け出し、いつも二人で鯉に餌をやっていた橋の上に向かう。
硝子に会うために。
硝子に告げるために。
橋にいた硝子に、将也は言うのだ。
「生きるのを手伝って欲しい」
と。
将也の高校の文化祭。
硝子と連れ立って、文化祭に挑む将也だが、
人目が恐ろしくパニック状態になってしまう。
「実は、ずっとボッチだった」と硝子に告白する将也。
トイレに篭ってしまった将也を迎えに来たのは、永束だった。
再び集う、かつての友人たち。
将也は、「他人の声を聞かない」「他人の顔をみない」自分の殻を脱ぎ捨てることを決意。
声が聞こえる。
もちろん心無い声も混じっている。
だけど、将也はそのすべてを受け入れる覚悟をしたのだ。
☓マークが剥がれていく。
ボロボロと溢れる涙は止まらない。
将也は一歩、踏み出した。
世界の扉が開く。
将也が自らの手で、開いた扉が。
おしまい
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号泣。
鼻が詰まる→口呼吸になる→喘息が出る→点滴。
しかし、しかしでございますよ、この作品は、
喘息が出てもかましまへん!それくらい善き作品でございました。
これ評価がまっぷたつなんですね。
将也は、虐めの加害者であり被害者。
自分が虐められ阻害されるのは、虐めをしていたからだ…と諦めてしまっています。
自分が悪いんだから、これは因果応報。
人の悪意に晒され続けるくらいなら、人を人と認識せずにおれば良い。
消極的撤退、また重い罪悪感をも背負っています。
硝子はハンデがあることで、周囲の人達に迷惑をかけていることを知っている。
だから、あやふやな笑顔で「敵意はありません」と訴えかけるのです。
それが硝子の処世術。ある種の人には、それが大変癇に障るものだということを、硝子は知りません。
知ったところで今更生き方を変えることは彼女にはできなかったのです。
原作の群像劇から、硝子と将也の…。
いいえ、もっと言ってしまえば、将也が外界に飛び立つ再生の物語に仕上げたのは、良かったと思います。
予告を見ると、健常者の将也と、聾唖の硝子の恋物語のように見えますが…。
将也に好意を持っているため、彼女たちの「楽しかった世界」を壊した原因である硝子を憎んでいる植野。
いつも良い子であろうとする、自分の非を認めない(それが悪いことという認識すらない)川井。
気は優しいのだけれど、何かあったらすぐに逃げ出してしまう佐原。
将也が皆にひどい言葉を吐いた時に、
永束に「部外者のくせに」的なことを言うのですが、
「部外者だからこそ、今の現実を直視できるんやけどね」
なんて言えるほどみんな成熟してないんですよね~。
もし硝子が、不細工だったら。
もし硝子が男の子だったら。
将也は、あそこまで硝子に入れ込んだか?という意見もありますが。
たとえ十人並みの器量であろうと、将也は、やはり贖罪の心は持ち続けていたと思います。
この作品の中で、唯一の欠点は、硝子が自殺に至る心の動きが略されていることかな。
一番グサグサ来たのは、硝子のせいで将也が転落し、将也の母に謝罪する硝子の母と結弦。
土下座をして、謝罪するのですが、中学生の子にここまでさせるのは可哀想過ぎる…でも結弦の気持ちとしては、こうするしかなかったのだろうなと思うとね。
BBAはもう涙ダダ漏れですよ。
お母さんたちの対比もよく描けてました。
意を決して「好き」と伝えたのに「ちゅき…ああ、月?」と勘違いされてジタバタする硝子は可愛かった。
ちなみに、将也たちが遊びに行った長島のホワイトサイクロンは、2018の1月をもって休止になるそうですよー。
将也も、硝子も、結弦も。永束も愛おしすぎる。
植野は、もっと素直になりな。
佐原は、何かあった時に対抗できるような図太さを持とう。(おばちゃんになったら、もれなく図太くなるから今はまだそのままでエエよ)
川井はなぁ…実はこの嬢ちゃんが一番キライなんす。
和みキャラの永束が、いい味出してました。癒やしよ…。
ほんとにいい作品でしたよ。
不器用ながら懸命に人間関係を作っていこうとする姿、
マダムの琴線をすごい勢いで刺激しました。
もうね、齢を重ねたら、
「はぁ?ボッチでエエわ、めんどくさいなー」
ってなりますけどね。
多感な青春期に、贖罪を抱えて生きて行く。
他者と距離を取りながら生きて行く…。
それはとても辛いことだから。
だから、その殻を自分で破った将也に、
マダムは拍手を送りたいの。
この後「この世界の片隅で」も、準新作になったら(ヲイ)観なくちゃだし。
「キミノナハー」はWOWOWでやってくれるし。
色々忙しいポチ
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