授乳/村田沙耶香(感想) | 映画でもどうどす?

映画でもどうどす?

映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

イヤン小説の新たなる切り口
授乳/村田 沙耶香
¥1,575
Amazon.co.jp

女子中学生と家庭教師のただならぬ関係「授乳」
ぬいぐるみに愛を注ぐ少女たちの物語「コイビト」
役になりきりっこする男女は…「御伽の部屋」



なんともはや、厭汁がたっぷりと出ている小説。
厭系の話が苦手な人は、多分途中でリタ。

家庭教師の先生は、無表情で無感動。
その先生を手玉に取りつつ手なづけていく女子中学生…。
怖いわ、今どきの女子中学生にかかったら、女慣れしていない大学生男子なんて、
いとも簡単に籠絡されてしまうわ!

ものすごい筆力で、重力さえも表現している…、
じっとりした重い…持ち重りのする感覚がこれでもかと描かれていて、
息が詰まりそう。

「授乳」のタイトルから、子育て育児系を想像してたら、
ぜんぜん違う話で、でも確かに授乳だわ…。


最近読んだ中でも群を抜いて厭な「コイビト」
ぬいぐるみだけを愛し、ぬいぐるみだけに心を許し、ぬいぐるみと過ごす時間だけを生きる糧にしている主人公が、
ある日自分と同じぬいぐるみを愛する少女、美佐子と出会う話。

この美佐子ってのが主人公に輪をかけて痛くて怖い。
小学生なんだからまだぬいぐるみとか好きな年頃よね…と言えないくらい怖い。

主人公は、コミュ症。
でも軋轢を生まないように、ひっそりと生きてる。
親も不審に思わない、用心深くぬいぐるみを愛してる。

しかし美佐子と出会ってしまったことで、
自分のアイデンティティに疑問を抱くようになり…。

この話があまりに…すぎて、後の「御伽の部屋」の記憶が薄れるくらい。
湿気の多い、不快指数の高い小説。

3作品ともが濃密濃厚で、最後の方は食傷気味になる程。
胃もたれするくらい、厭汁が出ております。

イヤミスじゃなく厭な話が好きな方はどうぞ。
小説を読み慣れない方にはこの文章の巧みさはわからないかなぁ。
ラノベでは絶対に味わえない世界が、確かにここにあります。

有川浩とか、あれ系のさわやか予定調和が好きな人は、読まないほうがいいよ。

ある意味サイコホラー。
「人形」と「人」との関係性を扱った作品の中でも群を抜いて厭感の高い作品ポチッ!
   ↓

にほんブログ村 映画ブログ 映画日記へ
にほんブログ村