Die Reanimation
さて、5月に入り、再び介護施設での勤務が始まりました。
何故か社員の病欠が多く、1時間早出を要請されたり、病欠を補う為に、8連勤勤務となったり、なかなかハードな出だしです。(但し連勤後は5連休で帳尻合わせております)
そんな8連勤の初日、今までにない切迫した場面に立会いました。
Die Reanimation / 心肺蘇生法
私は、初めて心臓マッサージを行いました。
発生日時は、5/9の18時前後
夕食の介助がほぼ終わり、一人見当らない住人の方を探しに2階から1階に降りた時のことです。
1階廊下に仰向けで倒れている、WB1のご婦人と、側で呆然としているWB1のヘルパーを発見。
「どうしたのか?」と聞くと、「私も今通りかかって発見した所だ」というWB1同僚。
転倒しているご婦人は、認知症とはいえ、普段はしっかり歩く事もでき、会話もきちんと成立する方で、転倒リスクは皆無な方。
その方が、何故か倒れていて、瞳孔は見開き動かない、呼びかけても反応なし、呼吸も怪しい。
「ここは私が見ているから、すぐにWB1Fach(施設付き看護師の役目を果たす専門職で、ドイツは介護士がこれに該当する)を呼んでこい!」とWB1同僚を送り出す。
すぐにWB1Fachと、WB1にヘルプで入っていたBP長(エルゴ長)が駆けつける。
Fachが脈拍を確認中、BP長が「気道確保の為に側臥位にしよう!」というので2人で試みるが、後頭部がパックリ割れており、支えていた私の手はみるみる血塗れに。
「駄目だよ、頭がパックリ裂けている。動かしちゃ駄目だ!」と私が言う、同時にFachが「脈が無い、どうしよう」と言う。BP長が「すぐに救急へ電話を!ここは私達で見る!」といい、現場はBP長と私の2人となる。
「マッサージするよ!」とBP長が心臓マッサージしだしたので、私は後頭部をタオルで固定し、気道確保の為、顎をあげて、真っ直ぐ空気が通るように保つ。
2人で交互に役割交代しながら心臓マッサージを続けたら、再び呼吸が来た。
必死で名前を呼び、「komm! komm!(戻って来い)」と呼ぶ。
呼吸は不定期だが来ていた。
呼吸が確認出来るたびに、Erste Hilfe (救急対応)の講習を定期的に受けていて良かった、と思った。
頑張れ頑張れ、と思いながらの心臓マッサージの時間が、何と長く感じた事か。
約10分後に、救急隊が到着しバトンタッチ。
救急隊は、下記Youtubeの作業を全て行いました。
心臓マッサージ後、すぐにAED(自動体外式除細動器)を使用し、脈を確認すると、再びマッサージに切り替え、肺に手動で空気を送る装置をつけ、酸素飽和度を測るクリップを指につけ、生理食塩水の点滴をつけ、後頭部を保護して、受け入れ先病院に連絡。
Fachの書いた報告書には、救急隊の心肺蘇生処置で呼吸が復活したとありましたし、病院で生命を繋げられる事を願っておりましたが、
業務終了時に同僚から聞いたのは、運ばれた病院先で息を引き取られたという訃報でした。
結局、何故転倒したのかも分からないままの惨事。
病院からの連絡には、心臓発作による心肺停止とありましたので、恐らく施設でも発作による転倒だったのでしょう。
それとも、他の住人の方からの不意の暴力で転倒して、その後ショックを受けたのか、、真実は分かりません。
発見される15分前に普通に夕食を食べていた記録まで残っているのに。。。
人員不足とはいえ、私達の見守り体制に問題はありませんでしたし、発見後の対応も迅速で的確でした。
こういう、不意な転倒による事故に関する事案も、入居の際の契約書に盛り込まれておりますので、これで施設の管理責任が問われることも、恐らくは無い。
けれども、まだまだ生きながらえる事が出来たかもしれない生命が潰えてしまったことは、本当に悲しい。
転倒が要因となっての死亡事故は、心肺蘇生と共に、初めての経験でした。
私達はその時出来うる限りの事をしました。
けれども、
もう1度、BP長と肩を組んで、ガハガハ笑いながら歩くご婦人の姿が見たかった。
「あんたのドイツ語の発音おかしいんだよ!」と憎まれ口叩いて欲しかった。
再び、職員のみんなと一緒に、旧東ドイツの国歌を熱唱して欲しかった。
この思い、忘れないようにしたいと思います。
哀悼の意を込めて、この歌を捧げます。
東西分裂時は「一つの祖国」という内容に圧力がかかり、歌唱を禁じられて、曲のみが演奏された国歌。
今なら存分に唄えますね。
- 廃墟の闇より
未来に向けて立ち上がり
幸福のため奉仕せん
ドイツ-一つの祖国
過去の苦難を克服し
意志のままに団結する
われらは成功し
陽は今まで以上に光り輝く
ドイツを照らしながら ドイツを照らしながら - 平和と幸福が
ドイツ-わが祖国にあらんことを
世界の求める平和を
世界と共に求めよう
同胞と団結するとき
人民の敵を破り
平和の光よ導き給う
母が息子の死で
悲しまない世へ 悲しまない世へ - 耕そう 造ろう
学び 働こう
自由な新しい世代が
信義を生み出す
ドイツの若人よ
努力を惜しまずに
ドイツは復活し
陽は今まで以上に光り輝く
ドイツを照らしながら ドイツを照らしながら