ブナの王冠が導く光
前記事で、サンスーシ公園側の、Schloss Lindstedt という宮殿を訪れた際に、多くの古樹を見かけました。
黒黒とした、立派な幹のオークです。
サンスーシ公園の周辺は、開発されている土地が多いのに、この宮殿のエリアだけ、これだけ立派な樹木が多く残っていることに、驚きました。
そして、ふと宮殿横の脇道に入ったらありました。
樹齢500年はありそうな、立派なBuche(ブナ) の大木です。
これは、、、地域を守る神木ですね。
白い樹幹が美しい、森の女王様。
私の大好きな樹です。
ブナの文字にWikipediaのリンクを貼りましたので、興味がある方は「生育」の項目に目を通していただきたいのですが、
ブナは耐陰性もありますが、多く光を必要とする樹木で、樹高も高くなり、森の樹木の生態系の頂点に立つ樹です。
ブナの樹冠は、高く広く形成されます。他の樹木と違って、開葉時期が早いので、ブナの樹木の下は、低木しか育ちません。
他の樹木に阻害されて生育できないような、耐陰性の高い低木の生態が豊かに実る場となるのです。
私は、このブナ林が形成する、独特の空気と、周りの生態系が大好きです。
生態系が豊かなおかげで、その土壌は黒いふかふかの妖精が出てきそうに柔らかい。
ブナはたっぷりの水を蓄える、森のダムの役割も果たしています。
そんな、豊かな生態系を支えるのに大切な木なのに、、、
日本では、腐りやすく、目が狂いやすい、材木の価値がない木だと、多くが伐採され、檜や杉といった有用な材木をなす樹木の「造成林」が多く作られました。
その後、材木の価値が下がり、伐採されず残った木々による被害が急速に広まったのが、現在多くの人々を悩ませている「スギ花粉」ですね。
いわば、スギ花粉は「人災」です。
ブナの木の役割については、下記Webサイトに詳しくありますので、よければご覧下さい。
森林・林業学習館 : ブナは森の女王
本当に愚かなことですね。
近年ようやく天然ブナ林の価値に気づいて、白神山地のブナ林が世界遺産となりましたが、豊かな生態系を戻すのには長い年月がかかります。
なぜ私はブナをこんなに熱く語るのか?
それは、私の大学での専攻だからです。
私は、数少ないブナの天然林がある大学の演習林で、生態系の研究をしていたからです。
自然豊かな樹木に集まる様々な生態、異なる開葉時期による日照ギャップがもたらす生態系への影響、植物だけでなく、野生動物や鳥類、様々な生き物の生態に触れて、研究テーマを決めて卒論を書きました。
ですから、ブナ林の価値については、他の一般の方よりは多少造詣が深いと思いますし、日本でブナ林の生態が保たれた里山が如何に少ないか、それなりに理解あるつもりです。
Wekipedia ブナ には、
ドイツでは人間が管理せず森の成長を自然に任せた場合、ドイツの大部分はブナ林かブナの混交林になると考えられている。
と書かれておりますが、
ドイツは(東ドイツ地域は)、天然のブナ林がそこらじゅうにゴロゴロ生えている。
これは、私にとっては本当に驚きでした。
ベルリンにさえ、天然林があります。
過去記事 : ブナの大木と天然林
ドイツでは、白神山地にわざわざ行かなくても、天然ブナ林が見られるのです。
そう思っていたら、やはりユネスコの自然遺産に登録されておりました。
このカルパティア山脈というのが特徴で、東ドイツのエリアからポーランドを抜けて、オーストラリア、ウクライナ、スロバキアと続きます。
このエリアが、ブナ林の生態系豊かな地域であり、豊富にキノコが取れたりする、恵み豊かな里山エリアになります。
該当するのは、ドイツでは、下記地図では、東北部の、④ブランデンブルク州と⑧マクレンブルク=フォアポンメン州が、低地で普通に黒土のブナ林が見られる地域かなと、自分的には思います。
⑭のザクセン・アンハルト州は低地の工業州で豊かな森があるイメージがない、豊かな森を唄うドイツの水源の分水界⑯のテューリンゲン州は、生態的にも臨界点で、山間部に行けば辛うじて日本的な赤土に生えるブナ林が見られるかもしれない、、、そんな感じです。
臨界点以西は、気候的に赤土が多く、湿度も高く、低地ではブナはちょっと生育しずらいのではないかなと、個人的に思います。
黒土エリアこそ、妖精の出てきそうな、メルヒェンな景色の森であり、私の焦がれる景色であります。
この日は、特に幹の大きい、森の主様に会えて幸せでした。
いつまでも美しいサンスーシ公園でありますように。
これからもひっそりと見守っていて下さい。





