空振りの天然ウナギ&キクラゲ

7月24日

「ダメだった・・・でも楽しかったあ!」昨夕戻ってきたKの開口一番。満面の笑み、感動がわかる。

Aの家は常陸太田市街から久慈郡大子町へ向かう一本道、県道太田・大子線の天下野1区にある。もう少し行けば明神峠、峠を越したら生瀬、大子町だ。この辺りは山深い。西側は龍神渓谷、竜神ダム、その北西に奥久慈男体山がそびえ、東側は里美の山々。県道沿いを山田川が流れ、山間に幾重にも細い支流が注ぎ込む。Aは自宅から程ない場所に4か所天然ウナギの仕掛けをかけておいた。前夕、友人3名がA宅着、Aは定年まで茨城県警のお巡りさん、友人は皆、当時の仲間だという、昨年、Aは奥さんを亡くした。なんと僕と同じ病名、間質性肺炎、心寂しい追悼の日々を送っています。久々にA宅ににぎやかな宴の花が咲きました。一夜明け、昨日朝早く、全員で仕掛け現場に着いた。しかし・・・ウツボに入っていたのは小さな雑魚が少々でウナギの姿は皆無だったという。せめて1尾だけでもウツボにかかっていたらどんなにか歓声は大きかっただろう、しかし、出るのは全て、ダメかあ、またかあ、のため息と意気消沈、しかし、それでもKは、暫くだったなあ、あんな興奮した体験は・・・と破顔一笑した。Aは捕れないことを見越して買っていったスーパーのウナギを使ってうな丼を振舞った。その時きっと、全員、またいつの日かのリベンジに挑む計画を話題にしたであろうことは想像に難くない。

 さて僕は昨夜、Kに頼んでスーパーにある食材を買ってきて頂いた。キクラゲである。

日本、中国、台湾、韓国などの東アジアやミャンマーなどで食用とされている。また、中米のベリーズでは、マヤ系先住民族のモパン族が食用とする2種のキノコのうちの一種である。

広葉樹の枯れ木に発生、中国では「木耳」と呼んでいるが、その名の通りに耳の形をしている。物の本によれば英語で 'Jew's Ear'(ユダの耳)と呼ばれ、その昔、キリストを裏切ったユダがニワトコの木で首を吊ったという。(ただこれは、ニワトコの葉や花に不快な臭いがあるための俗説らしい。)キクラゲは、色々な木に生えるが、ニワトコを特に好むようである。そのためかどうかわからないが、ヨーロッパでは、キクラゲをあまり食べないらしい。

中国では桑、槐、楮、楡、柳を五木と言って、有用木の代表としているがキクラゲはこれらの木によく発生し、出たものは五木耳と呼んで薬効もあるとされた。本草綱目(1596)によれば、木耳は「気を益し、飢えず、身を軽くし、志しを強くする。穀を断ち、痔を治す」とある。さらに桑耳は婦人病に効き、槐耳は痔に良く、楡耳は「人をして飢えざらしめ」、柳耳は「胃を補し、気を理す」らしい。

本朝食鑑(1695)には、その色は黒くて、これを食べると(コリコリ)音がする、クラゲもそうなので、名前がついたとある。

日本山海名産図会(1799)には、「木耳は、樹皮に付いて生じ、淡黄色に赤色を帯びているが、採って乾かせば黒色に変る。日本ではニワトコに出るのを上品としている。」とある。甲斐国志には、「諸木の朽ちたるものより生じる。桑榎等を佳とし、有毒樹に生じたるは食べてはいけない。蕈、舞茸の類皆乾して貨物とする。諸品を雑にして乾かしたものは、雑菌といい、下品なり。」とあるので、シイタケ、キクラゲも含め、乾燥きのこを甲斐では生産していたようだ。

キクラゲの日本における地方名、沖縄本島で、「みみぐい」、沖永良部島(鹿児島県)の「みんぐそ」、奄美大島(鹿児島県)の「みんぐり」、宮崎県西臼杵郡の「みみなば」などがあり、いずれも自生するアラゲキクラゲを耳と関連付けて呼んでいる。

さて、今日、僕はキクラゲを使ってあるレシピをヘルパーさんにこしらえて頂くつもりです。皆さん、何かわかりますかな?