広島駅から府中町に入る入口府中大橋に丸い石のモニュメントが設置されている。
平成8年度に開催された「第51回ひろしま国体」を機に、制作されたモニュメントだ。
オブジェのテーマは『転び石の町』だということを当時の府中町役場の広報誌で読んだことがある。
水分峡に「石ころび」という地名があり、そこにある「ころび石」が発想の原点となっている。
府中町は洪水の度に「石ころび山」から「ころび石」が流れ、被害を受けてきましたが、人々はその石を利用して石積等を作り、災害を克服してた歴史を持っている。
記憶に新しいのは、2018年7月に起きた豪雨災害だ。住宅街を流れる榎川が氾濫。市街地の広い範囲が水につかった。
前日の大雨で、上流から流された土石、流木が榎川をせき止め、行き場のない水があふれ出したものだった。
午前11時ごろん、晴天下でおきた豪雨災害だった。
榎川は府中大川に流れ込む河川で、府中町役場前で同じく府中大川に流れ込む八幡川と合流する。府中町では、水との戦いが繰り返されてきた。
このころび石は土石流のことであり、先人の水との戦いの歴史に思いをはせるとともに転がり続ける石に新たな未来を創造することをテーマにしたモニュメントだ。
製作時のこの思いが永続することを願い、このモニュメントに『ころびいしのまち』というタイトルの石碑が設置された。
僕は、ディランの Like a rolling stone を思い出した。
この町では、誰にも見向きもされないで、転がる石のように生きていけるのかもしれない。