佐川町と尾崎清光 | 大根役者

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日常と街道の旅を続けています。ガスリーのHobo's LullabyとアズナブールのLe cabotin(大根役者)を友に

高知県の山間の町佐川町は銘酒司牡丹の町である大根役者-Image516.jpg
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広島の酒都西条を思い出すがひとつのブランドで町の経済を支えている。江戸時代には土佐藩筆頭家老
深尾氏の城下町として栄えた。当時の町並みを彷彿させる町並みも残されている。佐川の駅もユニークだ。
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幕末には土佐勤皇党の志士、田中光顕も輩出した。田中は叔父那須信吾と吉田東洋を暗殺した犯人だが
脱藩し、長州に逃れ、幕府軍と戦った。坂本龍馬や中岡慎太郎とも交流があり、帰藩した後には中岡の陸援隊に所属した。中岡と龍馬の暗殺現場に真っ先に駆けつけた人物でもある。維新政府では軍隊で活躍し、西南戦争征討軍を指揮し、宮内大臣を拝命し、天皇にもっとも近い政治家として力を発揮した。
武市半平太の夢は田中で実現することになる。

この町は僕の尊敬する植物学者牧野富太郎や漫画家黒鉄ヒロシの出身地でもある。黒鉄は司牡丹一族だったはずだ。だけどこの町で忘れてはならないのが尾崎清光だ。

僕の友人の宮崎学の記述に詳しいのだが、被差別部落出身の彼は差別を逆手にとって巨万の富を築く。入院先の東京女子医大病院のベッドで札束を数えているときに射殺された最後に至るまで金しか信じられない人生に哀れみを覚える。少年時代には暴力に差別の怒りをぶつけ、前科を繰り返し、暴力団にはいって金融の仕組みを覚えた。法務大臣西郷吉之助まで動かす過程は小説よりも迫力があるし、手形を乱発し、詐欺事件まで引き起こす法務大臣のいた日本の政治を影でやくざが動かした時代の存在を忘れてはならない。

高知に帰ってからは県の土木建築関係の黒幕となり、歩く三億円と呼ばれた。そのツールが同和であり、彼により同和問題がゆがめられた。差別を逆手にとり、圧力をかけ、暴力団の影をちらつかせ、恫喝し、高知の政財界は尾崎に牛耳られていた。当時の建設業界には行政も含め、必要悪として、彼らの動きを黙認していた部分もあることも事実だ。僕も出席した姫路のある暴力団の葬儀には道路公団の役員がずらりと並んでいたことを見ている。(僕はその筋とは関係ない。ただ一般人の彼の兄弟から頼まれたので出席しただけだ)

彼らの行動ははえせ同和とされている。彼の組織した日本同清光会は現存しており、元暴力団員の尾崎の腹心が会長職を勤めている。

部落開放運動がこれらの勢力と手が切れない限り、正常化はしない。