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What a wonderful world and life

イギリスでの生活や、大学院の授業、そしてphysiotherapyについて

今回はCritical appraisal、つまり文献の読み方について書きます。


これは臨床においても、研究においても重要です。
なぜなら、パブリッシュされている論文であっても、決して完璧であるということはなく、情報を鵜呑みにするのではなく、それを読者が判断しなければなりません。

授業でおすすめだった本はこちらです。
How to read a paper
How to Read a Paper: The Basics of Evidence-Bas.../Trisha Greenhalgh

¥4,356
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今回説明していませんが、論文の検索方法から読み方までしっかりと説明されています。
以降はその本から抜粋が多分に含まれます。

良く論文を読むときに重要だと説明されるのはPICOと呼ばれるもので、
P: Patient or Population(どのような患者に対して)
I: Intervention(どのような介入(治療)を行い)
C: Control or Comparison group(どのような対照群と比較して)
O: Outcome(どのような結果を得たか(対照群より良かったのか悪かったのか))

これをさらに細かく評価していきます。

①その論文は何についてなのか?
 イントロダクションで、
   どうしてこの研究が行われたか。
   過去の研究、背景、そして、この研究の仮説がきちんと示されているかを評価します。
②研究手法の質はどうか?
   治療、研究対象はどういうふうに選ばれているか、
   研究デザインは適当か
   治療、評価はブラインドされているか?
   介入、評価(妥当性、信頼性はどうか?)は標準化されているか?
   サンプルサイズは十分であるか?
    etc

③結果は明確に示されているか?統計の手法は正しく使われているか?
   level of significanceは適当か?
   統計テストは正しいか?

④結果は正しく解釈されているか?
 得られた結果に対して、適当な説明をしているか
 この研究でもlimitationは何であるか
 今後の研究への示唆。


ざっくり書くとこのようになります。
こういった項目をきちんと評価しながら読むことで、情報を間違って使うことを防ぐことが大事です。
②などでは、同じ疾患でも、発症してからの期間、重症度などをきちんと把握することで、その治療法が実際の自分が担当する患者さんに適応するかどうかを判断しなければいけませんので、どういう時期の患者を選んでいるのか、除外しているかも確認が必要です。

そして、臨床で実際に情報を使っていくのであれば、そのエビデンスのレベルを参考にすることも重要です。

①Systematic Review of RCTs
②RCTs
③Other controlled clinical trials
④observational studies (cohort and case control)
⑤Case studies, anecdote, bench studies and personal opinion
一番上の①Systemaric Reviewがエビデンスとしては一番レベルが高くなります。
⑤にはレベルは低いですがエキスパートの意見も含まれています

システマチックレビューなどを探すのであれば
cochrane library
http://www.thecochranelibrary.com/view/0/index.html

PEDro(Physiotherapy Evidence Database)
http://www.pedro.org.au/

これらにはエビデンスレベルの高い論文が集められています。PEDro理学療法用のサイトですので、治療法、疾患、部位などを選択して検索可能ですので日常の診療にも使いやすいかもしれません。
今はまだ英語のみですが、オーストラリアに留学中の方に聞いたところ、日本語版も準備中らしいので、さらに便利になるかもしれません。

よく大学の先生に言われるのは、
「Critical appraisalは一生をかけて向上させていく技術なので、まだまだ私たちも勉強中」

研究手法などは時代によって移り変わっていくので、情報は常に更新する必要があります。

そのためには、こういった技術を向上させつづけることが研究、臨床の場を問わず必要になってきます。
3回目 昨日書けなかったのはまる一日ネット環境になかったといいわけしつつ。

本日は半球間抑制の麻痺側の運動への影響。

Influence of Interhemispheric Interactions on Motor Function in Chronic Stroke

この論文では半球間の相互作用が慢性期の脳卒中患者の運動機能に与える影響について書かれています。

この研究では半球間抑制(IHI)をコントロール群と脳卒中群で比べています。
M1からの抑制が
どちらの群も開始サイン直後のIHImaxはほぼ同じなのですが

コントロール群では抑制が徐々に減少し運動の促通へ
(単なる印象ですが、開始合図直後に強く抑制がかかるというのはなんだか大脳基底核のhyperdirect pathwayの働きに似ているような気がしないでもないです。)

脳卒中群はあまり減少せずにIHIがより顕著に見られるようです。

つまり、非障害側M1から傷害側のM1への抑制が、脳卒中後の運動回復を妨げている可能性があるということになります。


最近ではrTMSを用いて非障害側のM1に対して抑制をかけることで、非障害側M1から障害側M1への半球間抑制を減少させた上での治療が行われるようになってきています。

実際には設備がないと実施できない治療であるので、代替的に非障害側に抑制をかけられるような条件があると広く普及しやすい考えだと思うのですが。

実際の現場ではなんとなく麻痺側上肢の運動時に非麻痺側の手を動かさないように促すことがありますが、麻痺側の上肢を動かす!と指令が入っている時点でもう抑制が対側からかかっているので、もしかしたらあまり意味がないのかもしれません。どうなんだろう。もう少し関連文献、できれば新しいものを読んでみます。

それと両上肢を同時に使用する運動は、半球間抑制のメカニズムに関連しているようなので、近いうちに読んで載せようかと思います。
ではでは


Murase, N. et al., 2004. Influence of interhemispheric interactions on motor function in chronic stroke. Annals of neurology, 55(3), pp.400-9. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14991818.
無事に2回目

今回は足底への感覚入力が立位バランスを改善するといった内容。

この研究では
①健常者に対して足底(特に母指球から踵)にたいしての徒手による感覚入力(平均48ニュートン)を約10分間行なう前後で立位のsway(閉眼/開眼)をfirm/formな床上で測定
②スパイクのある床面で立位のsway(閉眼/開眼)をfirm/formな床上で測定を行う群

測定に使われたのはmodified clinical test of sensory interaction on balance protocol(前後、左右)。元々Shumway-cook, Horakらがデザインしたものです。
それと静的立位はforce platformで測定

結果、どちらもfirmな床上で閉眼時には、前後左右共にswayが軽減しています。
足底への感覚入力は静的立位のバランスの安定性を向上させるということが示されました。
formな床上では優位差はないようです。床が不安定な状態ではあまり治療効果が
ただし、厳密に表皮への刺激だけでなく固有感覚も加えられている可能性があると筆者らも述べています。

スパイクのある床でのバランスは今までにも靴底に入れて変化をみた論文などもあるようです。

足底のメカノレセプターからの感覚入力が閉眼立位時のorientationのためのalternativesensory inputとして使用されるだろうと結論づけていました。

この論文では、筆者らは刺激するメカノレセプターとしてMerkel's discs とRuffini like ending(皮膚の接触、圧、伸張に関与)を狙っていました。これくらい細分化して治療できると選択肢が増えそうです。

少し話は変わりますが、
この前参加した講習会では手に対して、タオルを用いてかなり速い速度で摩擦を加えていました。
これは皮膚の受容器でも速い速度の刺激に反応するものに刺激を入れるためだと思われます。

細かい生理学的な知識も治療する上で理解する必要性がありますね。


少し前には足関節のモビライゼーションを含めた治療のバランスへの影響も報告されていますが、
足底への感覚入力という面ではおそらく初めての論文かと思います。

この論文が出たのは2011年12月。まだ半年も経過していません。
でも実際の現場ではかなり使われている技術だと思います。というかすごく良く使っていました。
こういう現在使われている治療技術をきちんと検証していくような論文は個人的にやってみたいなぁと思うんですよね。

あまり記載してませんが、かなりちゃんとinclusion/exclusion criteriaを設定していて、
自分が研究する際にもこういう設定もきちんとしなければならないなとひしひし感じました。


Preszner-Domjan, A. et al., 2011. When does mechanical plantar stimulation promote sensory re-weighing: standing on a firm or compliant surface? European journal of applied physiology. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22170016 [Accessed January 20, 2012].