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What a wonderful world and life

イギリスでの生活や、大学院の授業、そしてphysiotherapyについて

対称的な立位と、股関節外旋45°での立位にて両上肢(肩関節屈曲90°)で重りを持ち、
それをリリースする際の予測的姿勢制御の違いに関する論文。

左右の下肢にかかる重量はforce platformに乗った状態で等しくしている。

測定されたのは以下の筋群
rectus abdominis (RA), erector spinae (ES), rectus femoris (RF),
biceps femoris (BF), tibialis anterior (TA), and soleus (SOL) muscles
on both the left and right sides

対称的な立位姿勢では、
anticipatory inhibition in the activity of ES, BF, and SOL as well as an anticipatory increase in the activity of the RF and TA muscle approximately 100ms prior to the perturbation

予測的に外乱の100ms前には
ES,BF、SOLには抑制がかかり、
RFとTAには活動の増加が見られる。

左下肢外旋位では優位に差が見られたのは(他の筋も傾向はある
右ヒラメ筋の活動は大きくなり、左ヒラメ筋の活動が小さくなる。

筆者らは 
CNSadopted a strategy of activating muscles on the contralateral side of the body to compensate for the effects of an additional mechanical constrain

中枢神経システムが、機械的な制限(下肢の外旋)の影響を代償するために対側の筋を働かせてせる戦略をとっていると考察。

当たり前と言われれば当たり前の結果なのですが、
きちんと臨床的に見られていることを数値にすることも大事だなと感じました。
個人的には更に体幹筋まで見れているとうれしかったのですが。
ただ、非対称な姿勢で左右に均等に体重が分配されているってことは実際の患者ではあまり見受けられません。実際にはこの差はもっと大きいのかもしれません。

実際の日常動作はそこまで対称的な動作ばかりではないのですが、
ある程度対称的な姿勢を保持することで、麻痺側の下肢の参加を増やすことは必要かもしれません。

Aruin, A.S., 2006. The effect of asymmetry of posture on anticipatory postural adjustments. Neuroscience Letters, 401(December 2005), pp.150-153.

Reticulospinal pathway(網様体脊髄路)

網様体脊髄路は一般的に姿勢制御に深く関与している経路の一つとして考えられていますが、手の機能にも関連するということがわかってきました。

約40年前の霊長類の研究で、すでに皮質脊髄路、脳幹の外側経路(主に赤核脊髄路)、脳幹の内側経路(網様体脊髄路、前庭脊髄路)それぞれを切断した際の症状が研究されていたようです。(Lawrence and Kuyper, 1968)

①皮質脊髄路の場合には、粗大な運動(歩行、手など)の回復は良好なのですが、把握や手指の独立運動などは元には戻らない。

②脳幹の外側経路の場合には歩行などは比較的良好なものの、把握が消失し元通りには回復しなかった。

③脳幹の内側経路の場合には粗大な運動が重度に障害されたが、手で把握することはできたと報告されています。

今まで網様体脊髄路は基本的には粗大な運動(歩行、リーチ)に対しては多く研究はされていましたが、手指の動きに関してはあまりスポットがあたってきませんでした。

しかし近年、網様体脊髄路が手指の運動に関与するという報告が出てきました。(Lemon 2008)。medial longitudinal fasciculus (MLF, mainly reticulospinal pathways)に続く運動ニューロンに興奮性シナプス後電位(EPSPs)が生じ、それが手内筋に投射されていることがわかりました。ただし、皮質脊髄路に比べてその頻度は30%、大きさは20%程度となります。

皮質から脊髄への経路(皮質脊髄路、網様体脊髄路)は直接運動ニューロンに接続するものもありますが、主には介在ニューロンを介して接続します。
そこで興味深いのが、皮質脊髄路と網様体脊髄路が、介在ニューロンで収束(convergence)するということです。約48%の細胞(intermediate zone interneurons )が両方の経路に反応しました。
これらから、筆者らは皮質脊髄路と網様体脊髄路は並行した経路であり、概念的には同じ機能を有しているのではないかと解釈しています。
皮質脊髄路は単一の筋を働かせるだけではなく、拡散(divergence)し少数の運動ニューロンプールに接続します。これは機能的に関連したグループにアクセスできるようにするためだと考えられています。
その一方で、網様体脊髄路は多くの運動ニューロンプールにつながります。
こちらも機能的に意味のあるsynergistsのセットを活性化しますが広く接続しているようです。

皮質脊髄路は主に対側の屈筋、伸筋(若干、伸筋が強い)を促通
網様体脊髄路は手、肘、肩関節に関しては同側の屈筋を促通+伸筋を抑制、対側では伸筋を促通、屈筋を抑える傾向にある(Davidson et al. 2007).
ただ、Riddleらの研究では前腕に関しては明確な違いはなかったようですので、これからさらなる研究が必要なようです。

これまで述べてきたように、網様体脊髄路が近位の筋で働くといった原理には意味があまりなくなってきているようですが、手指の筋に働きかける投射の両側の組織化はまだなにもわかっていません。

皮質脊髄路は85%がmedullaで交叉しますが、
同側を走行する繊維は分節レベルで対側に影響を与えることができる。

脳卒中後には、分離運動が障害されており、また随意運動に望んでいない他の筋が同時に働いてしまう。これも、網様体が関与しているとするならば、広く拡散して筋に停止していることから説明できるかもしれまsねn。

もし網様体が、受動的なリレーの中継点であったら、皮質の障害は網様体による運動回復への貢献を妨げてしまう可能性があります。
もし網様体が、運動の感覚のガイダンスに対して自律的な能力を持つのであれば、大きな皮質でのコントロールの障害があったとしても、機能的な運動が作られるかもしれません。
これらは主に霊長類の研究ですので、直接応用できるレベルではないかもしれませんが、臨床的に、皮膚からの感覚入力や、固有感覚入力をもちいて、筋活動を促すというのはよく使われています。それにもこのメカニズムの関与があるのかもしれません。個人的な経験と照らし合わせると、皮質下でも反応しているのではないかなと感じます。

前にも書きましたが、脳卒中後の運動回復には運動前野が大きく関連します。
また、網様体脊髄路には運動前野からの投射もあります。上肢の運動機能改善にはこういった関与もあるのかもしれません。
今回読んだ論文は主に脊髄に関連していましたが、皮質の機能とさらにつなげながら考察すると面白いかもしれません。

Baker, S.N., 2011. The Primate Reticulospinal Tract, Hand Function and Functional Recovery. The Journal of physiology, 23, pp.5603-5612. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21878519 [Accessed December 1, 2011].

Davidson AG, SchieberMH& Buford JA (2007). Bilateral spike-triggered average effects in armand shouldermuscles from themonkey pontomedullary reticular formation. JNeurosci 27, 8053–8058.

Lawrence DG & Kuypers HGJM (1968a) The functional organization of themotor system in themonkey. I. The effects of bilateral pyramidal lesions. Brain 91, 1–14
Lemon RN (2008). Descending pathways in motor control.
Annu Rev Neurosci 31, 195–218.

Riddle CN, Edgley SA & Baker SN (2009). Direct and indirect connections with upper limbmotoneurons from the primate reticulospinal tract. JNeurosci 29, 4993–4999.
半球感抑制と関連し、脳卒中の方の上肢の治療としてよく紹介されるものに

bilateral movement(両側運動)が挙げられます。


両側性の運動のコーディネーションは
脳梁を介してabstract movement parameterの情報がcrosstalkします。
(前部:運動前野、supplementary motor area   後部:頭頂葉)
また、運動実行の際にもcrosstalkが起こると提唱されています。

さらに、皮質脊髄路からの繊維は
全てが交差するのではなく、一部は同側へと下降していきます。

両側性の運動ではその経路を促通しているとも言われています。
さらに両側同時に動作を行うことで、脳卒中による異常な半球感抑制を正常に近い状態で
活動させることができるかもしれないとも仮説がたてられています。

実際の研究では脳卒中患者を対象に一側のみの練習、両側での練習を行なった群を比べた際に
両側性のほうが優位に麻痺側上肢の機能が向上したという報告があります。(Summers et al.)
CI療法と比較したデータはおそらくないと思われるので、その違いはわかりません。

課題等は患者さんそれぞれにあわせて設定する必要があるとは思いますが、
実際に自主練習として取り入れやすそうな気がします。

実際に当院でも、両側上肢を使用する体操が私が入職する前から行われていましたようです。
この知見が出てからというわけではなく、おそらく、経験的に培われたものだと思われます。

今振り返ると、ボバース夫妻の提案してきた治療は恐ろしいまでに最近になって判明した知見と一致しています。

学部生のころのゼミの教授(ドクターでした)は

「セラピストの経験によって積み上げてきたものは大方あっているのがすごい」

と言っていました。実際に目の前の患者さんをしっかりと見て診断、(私にはまだわからない領域の部分が多いですが)治療していく中で確かに見えてくるものがあるようです。

ただ、その先生がおっしゃっていたのは

「でも数パーセントは間違っている可能性がある。だから基礎的な研究は絶対に必要です」

経験から生み出されてきたものも、
きちんとデータとして積み上げられたものをしっかりと使いこなすことも、
その経験が正しいかどうかを確かめていくことも重要だということを
早い段階で教えていただけたのはすごく現在でもためになっています。

(参考文献)
Cauraugh, J.H. & Summers, J.J., 2005. Neural plasticity and bilateral movements: A rehabilitation approach for chronic stroke. Progress in neurobiology, 75(5), pp.309-20. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15885874 [Accessed March 13, 2012].

Summers, J.J. et al., 2007. Bilateral and unilateral movement training on upper limb function in chronic stroke patients: A TMS study. Journal of the neurological sciences, 252(1), pp.76-82. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17134723 [Accessed April 18, 2012].