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What a wonderful world and life

イギリスでの生活や、大学院の授業、そしてphysiotherapyについて

ipsilateral motor pathway as a recovery mechanism in patients with stroke

同側の運動経路は遠位よりも近位の関節筋に、また手よりも下肢の運動に関与していると報告されています。

また、同側運動経路はエクササイズ(力、複雑さ、タスクの期間、半球刺激)により容易に活性化される。その一方で、同側のMEP(motor evoked potential)は対側に比べ、長い潜時、低い大きさ、高い興奮閾値、そして異なる表象部位をもっています。
これらのことから、外足皮質脊髄路とは違う経路が使われているのではないかと考えられており、それらは
① 交叉していない前皮質脊髄路
② 皮質脊髄路以外: 網様体脊髄路、前庭脊髄路
③ 新しい経路、, new collateral pathways, or aberrant pyramidal tracts


傷害側から非障害側への脳梁を介した半球間抑制は減少しており、結果として、同側運動経路の元として非傷害側の皮質が動員される。

運動回復が不十分であるということは、同側の経路を使用して回復している患者の特徴であると報告されている。障害部位周辺の皮質の再編成、つまり対側の運動経路を使用して回復している患者に比べ、その回復の程度が低い。

脳卒中患者の鏡様運動は同側の運動経路によるものであり、鏡様運動の重症度と麻痺側の手の運動機能は、逆の相関を示している。
近年の研究では同側の運動皮質の活動が、皮質下梗塞の発症後1か月以内の患者において重要な役割を持つとされている。


つまり同側運動経路は
① 脳卒中回復初期の回復に貢献している。
② しかしその活動が対側の経路に置き換わらず継続した場合には運動の回復は遅れてしまうかもしれない。
結果的に、よりよい運動の回復を得るためには、同側の運動皮質の活動を抑えて、対側(障害側)の運動皮質を初期から対側の皮質を活性化させるほうが重要である。

(感想)
rTMSを使った治療がこれに当たりそうです。
以前に書いたように、重度の患者では障害側と反対側の運動前野が働き、軽度の場合には同側の運動前野で代償されているという報告もあります。重度患者において、同側の経路で代償しているから、運動の回復が遅れるというよりは、重症度が高いがゆえに、結果的に同側を使わなければならない状況なのではないか?とも思いますが。

重症度が高い患者に対してもrTMSは適応なのかどうか、まだ調べていないのでわかりませんが。
もし、この理論が正しいのであれば

どういう動作であれば、対側(障害側)の皮質が回復の初期に働きやすいか。ということを考えないといけない気がします。
それも外側皮質脊髄路に関与している方がいいような気がしてきます。じゃあ抹消、手の運動か?????
初期の段階から、感覚入力、知覚弁別課題、タスクなど皮質をより動員しなければならない課題のほうがいいのか?

この後に少し読んだ別の論文(Ward 2004)では
非麻痺側の上肢への感覚入力を減らす(動かさない、麻酔)、麻痺側上肢への感覚入力を増やすなどの戦略が書かれていました。


現在報告されているよりも、実際には脳はもっと柔軟に変化しているような気がします。この論文のように、対側を初期に働かせたほうがよい回復につながる!といったように割りきることはできないと思います。あくまで個人の経験ですが、CT画像では障害部位が広範囲なのに、回復が非常に良い方なども見受けられました。

このレビューも3年ほど前のものですので、数年後には全然違う方向からの意見が出る可能性があります。

Jang, S.H., 2009. A review of the ipsilateral motor pathway as a recovery mechanism in patients with stroke. NeuroRehabilitation, 24(4), pp.315-20. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19597268 [Accessed November 26, 2011].

Ward, N.S. & Cohen, L.G., 2004. Mechanisms underlying recovery of motor function after stroke. Archives of neurology, 61(12), pp.1844-8. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15596603.
[脳卒中患者の速いステップ課題に関連する
下肢の選択と予測的姿勢制御における運動前野(PMC)の役割]


対象:脳卒中患者15名(8名:PMC lesion, 7名:PMC spared)
両側TAの収縮の潜時とステップする下肢の反応時間はそれぞれ、ステップに関連するAPAとステップ運動の準備を表している。
PMClesionの群では麻痺側下肢の反応時間、TAの潜時がコントロール群に比べて長い。また非麻痺側下肢でもTAの潜時がPMClesion群ではより長い。

PMCは上肢の視覚運動の選択、準備に重要な役割を持っており、(Schluter et al. 2001))また、意図的な運動の方向、大きさ、時間に関連しているとう報告があります。

健常成人の研究では、随意的な前方へのステップを行う際には、両側TAが予測的に活動し、下肢のlift upのinitiationの前に瞬間的にステップする足の下のvertical ground reaction forceが増加する(Elble et al. 1994)。なので、TAはステップの主要な予測的姿勢筋であると考えられる。両側TAの潜時はステップに関連するAPAsに必要な時間を指しており、床反力は正確にステップする足を選択できたかどうかを示している。

こういう研究ではどうしてもある程度レベルの高い患者が参加するので、自立してステップが出せる、座位で足関節背屈可能であるなどの条件がついています。
測定は単純に決まった足をステップする場合(SRT)と、二つの異なるサインを送り、左右の下肢どちらかを選ぶ場合(CRT)で行われた。

SRTではステップの選択の正確性では優位差は見られなかっが、PMC lesion群では麻痺側、非麻痺側共に、下肢のTA潜時、RTが健常群に比べ優位に長い。
麻痺側だけであれば、TAの潜時、RTはPMCsparedに比べて優位に長い。

CRTでも健常群に比べ両側のTA潜時、RTは優位に長く、PMCspared群に比べて麻痺速TA潜時、RTが長い

これらの結果から、仮説通りに、PMClesion群では下肢の運動に関連したAPAsがPMC sparedに比べて低下している。
この研究の対象群の間で感覚運動障害のレベルは似た傾向を示していたので、これは感覚運動のレベルが異なることが原因ではないと考えられる。
つまり、PMClesionにより両下肢のTAの潜時が長くなっていると筆者らは提示している。

左右半球の役割の差については今回の研究で用いられた課題、測定では特に示されなかったそうですが、過去の研究で上肢に関しては左右半球間で運動の準備、選択に関して差があるそうなので、それについてもまた調べてみます。

この実験ではステップ選択の正確性差は見られていませんが、間違った選択をしていた時のvertical ground reaction forceのグラフが示されています。そこでは、本来であれば、ステップする側の下肢に一旦重心移動を行うところが、わずかに逆に重心を移動させています。

歩行の開始を誘導する際には、本来の重心移動のシークエンスを経験することも必要かもしれません。TAがまず予測的に活動するということは, わずかに重心位置が最初後方に移動しているのかもしれません。ということは、非麻痺速側をステップする際にわずかに後方+ステップする側の足に重心移動を促してから、支持する側(麻痺側)に誘導するのがいいのかもしれない。

前に読んだ文献では歩行の開始の際の足底での重心移動のシークエンスが書かれたものがありましたが今説明したようなシークエンスだった記憶があります。

飛躍的になりますが、よくアンクルストラテジーが重要と言われるのですが、こういう面でも関連しているかもしれない。

実際に目に見える運動の前から、脳と体の中では変化が起こり始めているようです。なので、セラピストが損傷部位からどのような活動が障害されているかを具体的に推測しておかないと、見逃してしまう恐れがありそうです。

今回の文献
Chang, W.-H. et al., 2010. Role of the premotor cortex in leg selection and anticipatory postural adjustments associated with a rapid stepping task in patients with stroke. Gait & posture, 32(4), pp.487-93. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20702094 [Accessed June 17, 2011].
参考文献
Elble RJ, Moody C, Leffler K, Sinha R. The initiation of normal walking. Mov Disord 1994;9:139–46.

Schluter ND, Krams M, Rushworth MF, Passingham RE. Cerebral dominance for action in the human brain: the selection of actions. Neuropsychologia 2001;39:105–13.
ヒラメ筋のH波に対する姿勢の不安の影響
Sibley, K.M. et al., 2007. Effects of postural anxiety on the soleus H-reflex. Human movement science, 26(1), pp.103-12. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17137663 [Accessed October 29, 2011].

H波は姿勢タスクの難易度により変化すると報告されており、
H波は仰臥位から立位になる際には減少する。歩行、走行時も相によって変化する。

この研究ではプラットフォームでの立位の位置(中央/端)、開眼/閉眼、プラットフォームの高さ(高/低)の条件を変えて、EMGとH反射、skin conductanceを測定している。
中央に立っている際には特に優位差は見られない。
プラットフォームの端に立った際に閉眼時には、高さによる影響はほとんど見られないが(1%)、開眼条件では高い場合のほうがH波の活動が減少する(19.3%)。
EMGを開眼、閉眼ともにプラットフォームの中央での立位と比較すると、端に立った際にはヒラメ筋の活動が17%減少する。
視覚による影響は内側腓腹筋にのみ見られ、視覚ありの条件では閉眼時に比べると、プラットフォーム中央では19%、端では20%低下する。

ヒラメ筋はH波の大きさ、筋活動共に低下していたが、そのcorrelationはmodestであり、内側腓腹筋、TAの活動でも観察されている。

これらの理由は、
One possible reason for this context-specific reduction in soleus reflex gain may be to limit spinal reflex contributions to balance recovery in favour of greater supra- spinal control when stepping responses are restricted. (Trimble and Koceja 2001)
コンテクスト特有のヒラメ筋H反射の減少の理由として,
ステップ反応を制限するときの脊髄より上のコントロールのために、バランス回復に貢献する脊髄反射を制限するかもしれないということが挙げられる。これは支持基底面を減少させた際にも見られる。

McIlroyらによると姿勢課題が困難なほど、H反射が減弱し、またそれにともない、somatosensory evoked potentialsが増加しており、困難な課題ではより脊髄上のコントロールにシフトしていると述べている。

過去の研究ではプラットフォームの端に立った際に、COM、COPが後方へ移動しており、ヒラメ筋の活動が低下したという今回の結果はそれに一致する。

ヒラメ筋のH波の低下は姿勢の不安にともない、脊髄より上のコントロールにシフトしているかもしれないこと、そして、感覚システムがより視覚に依存しているかもしれない。

患者さんが恐怖心をもつことはよく治療現場でも見られます。
タスクの難易度による差は以前の論文でも出ていたようですが、
不安により、脊髄レベルでのコントロールから、皮質レベルでのコントロールに移行しているかもしれないことがこの論文から推測されます。
よくこういうことを聞く(言う)のですが、実際に論文を読んだ説明は聞いたことが私としては今までありませんでした。

より自律的な反応を求めるのであれば、本人が恐怖感をいだかない状態で練習を行うことも重要なのだろうと思います。(当たり前と言えば、当たり前ですが)
視覚の影響が大きいと述べられているので、上肢支持や体性感覚の手掛かりだけでなく、空間を狭めて視覚情報を制限するなどの治療場面の設定の工夫で、恐怖感を減らすことも考える必要があるかもしれません。


McIlroy, W. E., Bishop, D. C., Staines, W. R., Nelson, A. J., Maki, B. E., & Brooke, J. D. (2003). Modulation of afferent inflow during the control of balancing tasks using the lower limbs. Brain Research, 961, 73–80.
Sibley, K.M. et al., 2007. Effects of postural anxiety on the soleus H-reflex. Human movement science, 26(1), pp.103-12. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17137663 [Accessed October 29, 2011].
Trimble, M. H., & Koceja, D. M. (2001). Effect of a reduced base of support in standing and balance training on the soleus H-reflex. International Journal of Neuroscience, 106, 1–20.