本日から論文を読んだ感想などなどできるだけ毎日更新していきます。
なるべく下にリファレンスを付けておきます。今日はほとんどKantakの論文からの感想ですが、なるべく原著のリファレンスを載せます。くせにするために。
今回は脳卒中後の皮質の再編成(cortical reorganization)と手の治療に関して
脳卒中後の運動回復のメカニズムに関してはまだまだまだまだ、不明な点も多いのですが、徐々に関連する論文が出てきているようです。個人的には以前出た講習会で使われていたKantakの論文がよくまとめられていて非常にわかりやすい気がします。
調べている限りでは、特にPMCが脳卒中後の回復のメカニズムとして取り上げられることが多いようです。
脳卒中後の手の運動の回復には運動前野(PMC)が関与しています。
そして回復は、障害の程度によりメカニズムが異なってきます。
① 障害部位:小
Fridmanらによると、一次運動野(M1)が小さく障害された場合には障害側の腹側運動前野(PMv)が代償的に手の機能を果たすようです。
② 障害部位:大
M1やPMd(背側運動前野)が大きく障害された場合には障害側の反対のPMCの活動が重要となります(Bestmann)。運動学習でも新規の運動の学習の際には同側のPMCが関与します。
この際に、PMCから直接corticospinal pathwayへの出力が増加する場合、PMCからM1への出力が増加する場合があるようです(Ward)。
これらの活動は休止時よりも、把握運動時に影響が強い。
Wardらの研究ではPMC、SMA, cingulate motor region、小脳なども関連し広範囲に働くようです。共通して働いている部分もあるようですが、個人差もかなりあるようです。これらは運動学習の過程なのかもしれませんが。
ただ、その一方でそのPMCの活動が増加しているのは本当に良いのかという議論もあります。PMCの可塑的な変化が運動の回復を妨げるという意見も出ています。。なので、まだまだ研究の必要性があるようです。
これらから考えられるのは、元ある経路を改善させるのではなく、残存している部分で代償している部分が大きいのかもしれません。実際にはシナプスの可塑性もあるので、一概には言えませんが。
ではどういう風に治療していくか。
両手動作がいいのか、片手動作がいいのか。(左右半球で働きが異なる)
運動イメージを使うのか(M1以外は動作時とほぼ同じ部位が活性化、PMC含む)
ミラーセラピーだとどうなのか。(視覚と固有感覚のミスマッチ、視覚運動イメージの向上)
ニューロフィードバックなどの研究も進んできているようですし、
病態、治療の新しい知見もどんどん増えてきそうです。
半球間抑制の関連などもあると思われますが。それはまたいずれ。
Bestmann S, Swayne O, Blankenburg F, et al. The role of contralesional dorsal premotor cortex after stroke as stud- ied with concurrent TMS-fMRI. J Neurosci. 2010;30: 11926-11937.
Kantak, S.S. et al., 2011. Rewiring the Brain: Potential Role of the Premotor Cortex in Motor Control, Learning, and Recovery of Function Following Brain Injury. Neurorehabilitation and neural repair, pp.1-11. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21926382 [Accessed September 22, 2011].
Kermadi I, Liu Y, Rouiller EM. Do bimanual motor actions involve the dorsal premotor (PMd), cingulate (CMA) and posterior parietal (PPC) cortices? Comparison with primary and supplementary motor cortical areas. Somatosens Mot Res. 2000;17:255-271
Fridman EA, Hanakawa T, Chung M, Hummel F, Leiguarda RC, Cohen LG. Reorganization of the human ipsilesional premotor cortex after stroke. Brain. 2004;127(pt 4): 747-758.
Frost SB, Barbay S, Friel KM, Plautz EJ, Nudo RJ. Reorgani- zation of remote cortical regions after ischemic brain injury: a potential substrate for stroke recovery. J Neurophysiol. 2003;89:3205-3214
前回にもちらっと書きましたが、
上肢の講習会にもかかわらず、どうしてankle strategyの話が出てきたかということについて。
きちんとまとめられるかどうかはわかりませんが(-_-;)
メアリーは
上肢の治療に対する、姿勢制御の重要性を語っていました。
様々な文献でも、そこに触れているものというのは自分が今までみたなかではありませんでした。
(もしあればぜひご連絡を)体幹を固定して上肢の治療をするという論文は見受けましたが。
実際に脳卒中上肢の治療の論文にあるのはCI療法や、task-specific、mirror、therapyなどある程度再現性があるものばかりです。
姿勢制御と上肢の運動に関して。
①まず脳卒中の方は自律的な姿勢制御が困難になっています。
となると、皮質を使用して随意的に姿勢を保持していたりします。
バランスの制御には認知機能も影響してきます。
疾患が特にない方でも、閉眼、片足立位しながら、ややこしい計算(cognitive load)などすると動揺が増します。
ということは姿勢制御が困難な人にとっては、cognitive loadをかけることで
さらにバランスがくずれる恐れがあります。
患者さんでもタスクをしながら姿勢を崩していく人が多々いますね。
おそらく逆もまた然りで、姿勢が崩れそうな状況では巧緻性を求められるタスクの実行が難しいということも起こりえると思います。
手関節あたりから遠位の部分、手指に関しては皮質脊髄路が関与します。
巧緻動作を行うためには皮質の関与がかなり大きいです。
これらのことから、脳卒中の人は、そうでない人に比べて、皮質をバランスと上肢の操作の両方に使用しなければならない状況なので、上肢の運動に皮質の活動を集中して動員できないのではないかという推論に達したようです。実際にfMRI画像でも、脳卒中の方は広範囲に皮質が活動しているのをみたことがあります。回復にともないあるていど収束しますが。
さらに、姿勢制御に関する網様体脊髄路が、皮質脊髄路とまったく同様の手指の活動に関与する(ただし活動は小さい)という論文も出てきています。
ここから、あくまで推測ですが、姿勢制御が向上する、つまり、網様体脊髄路がより活性化することで脊髄レベルで手指の運動ニューロンにsummationがかかり発火しやすくなるのではないかとも思われます。
②近位部(股関節周囲)の方が遠位(足部)よりも回復が早いためか(これは今までの論文や本で良く書かれている順序)、座位でも股関節戦略(hip strategy)を使用していることが多々見受けられます。いわゆる、「固定」fixationといわれるやつですね。
ということは座位でも、抹消からの感覚入力情報をきちんと制御し足部でのバランス反応を改善必要があると思われます。。
また、足部の問題だけでなく、体幹、肩甲帯周囲、頚部の状態など、他にも評価すべきことは沢山ありますね。これらはリーズニングや治療の過程で評価が必要です。
これらが改善することで、股関節を随意的に固定してバランスを保持していたものが、ようやく開放される。皮質でバランスをとるのではなく、皮質下での自律的なバランス反応につながると思われます。
それによって上肢運動に皮質の活動を動員しやすくなるのではないかと。
印象的に思ったのは、相当レベルが高い患者さんでも、姿勢制御は手の治療を実行するには不十分であるのだなと。今回デモンストレーションをした患者さんは屋外独歩自立。バスも乗れるレベルの人でした。
今回は皮質脊髄路と、網様体脊髄路についてしか書いていませんが、当然、前庭脊髄路、小脳、tectospinal pathwayの関与もろもろ、まだまだ考えるべき要素はたくさんありますが。書くと終わらなくなるのでこのへんで。
ボバースの治療は、最初に述べた他の治療を否定してるわけじゃないのであしからず。
この患者さんにも姿勢制御をより向上させた状態でのCIを勧めていましたし、
手の巧緻動作にはハンドリングよりもタスクの設定を重視していました。
運動学習理論とも相反するものではないですね。
strengtheneingも治療に組み込まれています。
治療のエビデンスとして重要視されている項目は網羅しながらも、治療をより高度にするために
基礎研究を持ち込んでいるのかなと感じました。
講習会終了時にも、受講生に
「エビデンスはどうだった?」など聞いていましたし。
長くなりましたが、
自分の頭の中をまとめる意味で書きました。おかしなところや、気になること、こんな論文あるよなんてあればご連絡ください。
ではでは
上肢の講習会にもかかわらず、どうしてankle strategyの話が出てきたかということについて。
きちんとまとめられるかどうかはわかりませんが(-_-;)
メアリーは
上肢の治療に対する、姿勢制御の重要性を語っていました。
様々な文献でも、そこに触れているものというのは自分が今までみたなかではありませんでした。
(もしあればぜひご連絡を)体幹を固定して上肢の治療をするという論文は見受けましたが。
実際に脳卒中上肢の治療の論文にあるのはCI療法や、task-specific、mirror、therapyなどある程度再現性があるものばかりです。
姿勢制御と上肢の運動に関して。
①まず脳卒中の方は自律的な姿勢制御が困難になっています。
となると、皮質を使用して随意的に姿勢を保持していたりします。
バランスの制御には認知機能も影響してきます。
疾患が特にない方でも、閉眼、片足立位しながら、ややこしい計算(cognitive load)などすると動揺が増します。
ということは姿勢制御が困難な人にとっては、cognitive loadをかけることで
さらにバランスがくずれる恐れがあります。
患者さんでもタスクをしながら姿勢を崩していく人が多々いますね。
おそらく逆もまた然りで、姿勢が崩れそうな状況では巧緻性を求められるタスクの実行が難しいということも起こりえると思います。
手関節あたりから遠位の部分、手指に関しては皮質脊髄路が関与します。
巧緻動作を行うためには皮質の関与がかなり大きいです。
これらのことから、脳卒中の人は、そうでない人に比べて、皮質をバランスと上肢の操作の両方に使用しなければならない状況なので、上肢の運動に皮質の活動を集中して動員できないのではないかという推論に達したようです。実際にfMRI画像でも、脳卒中の方は広範囲に皮質が活動しているのをみたことがあります。回復にともないあるていど収束しますが。
さらに、姿勢制御に関する網様体脊髄路が、皮質脊髄路とまったく同様の手指の活動に関与する(ただし活動は小さい)という論文も出てきています。
ここから、あくまで推測ですが、姿勢制御が向上する、つまり、網様体脊髄路がより活性化することで脊髄レベルで手指の運動ニューロンにsummationがかかり発火しやすくなるのではないかとも思われます。
②近位部(股関節周囲)の方が遠位(足部)よりも回復が早いためか(これは今までの論文や本で良く書かれている順序)、座位でも股関節戦略(hip strategy)を使用していることが多々見受けられます。いわゆる、「固定」fixationといわれるやつですね。
ということは座位でも、抹消からの感覚入力情報をきちんと制御し足部でのバランス反応を改善必要があると思われます。。
また、足部の問題だけでなく、体幹、肩甲帯周囲、頚部の状態など、他にも評価すべきことは沢山ありますね。これらはリーズニングや治療の過程で評価が必要です。
これらが改善することで、股関節を随意的に固定してバランスを保持していたものが、ようやく開放される。皮質でバランスをとるのではなく、皮質下での自律的なバランス反応につながると思われます。
それによって上肢運動に皮質の活動を動員しやすくなるのではないかと。
印象的に思ったのは、相当レベルが高い患者さんでも、姿勢制御は手の治療を実行するには不十分であるのだなと。今回デモンストレーションをした患者さんは屋外独歩自立。バスも乗れるレベルの人でした。
今回は皮質脊髄路と、網様体脊髄路についてしか書いていませんが、当然、前庭脊髄路、小脳、tectospinal pathwayの関与もろもろ、まだまだ考えるべき要素はたくさんありますが。書くと終わらなくなるのでこのへんで。
ボバースの治療は、最初に述べた他の治療を否定してるわけじゃないのであしからず。
この患者さんにも姿勢制御をより向上させた状態でのCIを勧めていましたし、
手の巧緻動作にはハンドリングよりもタスクの設定を重視していました。
運動学習理論とも相反するものではないですね。
strengtheneingも治療に組み込まれています。
治療のエビデンスとして重要視されている項目は網羅しながらも、治療をより高度にするために
基礎研究を持ち込んでいるのかなと感じました。
講習会終了時にも、受講生に
「エビデンスはどうだった?」など聞いていましたし。
長くなりましたが、
自分の頭の中をまとめる意味で書きました。おかしなところや、気になること、こんな論文あるよなんてあればご連絡ください。
ではでは
国家試験合格された方々おめでとうございます。
4月に入って、新体制になって忙しころなのかなーと人ごとのように思ってみます。
新人の最初の頃は新人研修や、治療に困り果ててたのが懐かしい。まぁ今でも悩みまくりですが。
今回はクリニカルリーズニングについて軽く書こうかなと。
3月にイギリスで開催されていた、Advanced Bobath courseに参加しました。
今回のテーマが、上肢の治療、クリニカルリーズニングについて。
講師はシニアインストラクターのメアリーと、今回のコースで上級インストラクターになったアンのお二人でした。そこから自分なりにリーズニングに関する論文をいくつか読みました。
クリニカルリーズニングは臨床場面で行われる意思決定の過程です。言ってしまえば一言ですが、
そこにはいくつもの要素や、様々な理論、戦略、過程があります。
それに関する論文もたくさん出されています。
クリニカルリーズニングは大きく分けると、二つに分けて説明されることが多いです。
diagnostic reasoning
narrative reasoning
前者は、より客観的で、疾患の診断に関するもので、
後者は、患者さんの経験や、選択などを考慮していくものです。
特にリハビリテーションの領域での結果というのは、患者さんの求めているもの、感情や満足度によるところも大きいという報告もあり、narrative reasoningも治療を決めていく上で重要です。
どちらかに偏るというよりは、これらをバランス良く使っていかないといけないですね。
外来整形のdiagnostic reasoning に関して新人と、エキスパートの違いについても書かれた論文もありました。
・新人はどうしても、客観的評価を基準に(backward reasoningに関連)で評価する時間が増える。よくいうボトムアップ評価ですかね。それと治療後の再評価がうまくできていない。
・エキスパートは主観的評価の時間(forward reasoningに関連)が、未熟なセラピストに比べて長い。これはpattern recognition(症状や兆候から診断する)が含まれます。要は運動パターンや、症状を見て、仮説を組み立てるという感じですね。そして、臨床仮説の数が、未熟な人に比べて多い。
だからといって、いきなり、新人が主観的評価の時間を増やせばいいのかというとそんなわけはなくて、知識や経験をきちんと積み重ねていかなければなりません。
きちんと問題点を捉えようとすると、
まず、広くいくつかの仮説を立てることが必要です。それには当然、多くの知識が必要となります。
知識がなければ最初に立てた仮説の中に、本当の問題点が含まれていないといった事態が起こりえます。そして、さらに評価、治療を進めて、その中でさらに仮説を絞り込んでいく。
そして再評価というサイクルをつくる必要があります。
無論、知識だけではだめで、意思決定に至る過程を改善していかないといけない。
そういった時にはreflectionという考え方が使われます。
これは自分自身を評価するということです。自分が考えていることを考える。いわゆるメタ認知ですね。
reflecitonを効率的に行うために、様々な評価シートを使うこともあります。
Gibb's cycleや
Heather L. Atkinson, Kim Nixon-Caveらによる
A Tool for Clinical Reasoning and
Reflection Using the International
Classification of Functioning, Disability
and Health (ICF) Framework and
Patient Management Modelが紹介されていました。
後者の論文ではICFをリーズニングに使い、自己評価する項目が列挙されています。非常にわかりやすいので是非読んでみるとよいかと思います。
自分の思考過程を自分で認識して、改善することが、診断技術の向上につながってくるようです。
自分自身だけでは気づくのが難しいこともあるので、OJTもうまく使えるといいですね。
整形疾患では明確にリーズニングが進めやすく、さらに治療決定でもclinical prediction rule
などが海外では使われ、よりきちんと評価し問題点を突き止め、治療を決定する流れができつつあるのかなという印象をうけますが、
どうも中枢神経系は難しいなぁと思います。
ぶっちゃけエビデンスベースの治療ってなかなかできない。というかまだすごく不十分なんですよね。現場で効果があるとわかっていても、治療効果の報告はまだまだ足りません。
そういった現状で、メアリーが上級講習会で示してものとして、きちんと正常なバランス反応に必要な部分を全て列挙して、治療しながら評価をものすごい速度でやってのけてました。
例えば、ankle strategyを改善するには
ヒラメ筋の長さ、下腿三頭筋、内側広筋、近位ハムストリングス、腹部・背部筋の協調的活動、肩甲骨の安定性、tectospinal pathwayなど全身にわたって評価すべき項目をあげていました。
おそらくこういう治療の背景にある論文の数は数十本はあると思います。
これは聞いててすごくなぜだかすっきりしました。今まで曖昧に捉えていたものが、これからどういうふうに評価していけばいいのかが朧気ながらも見えたような(気がしました)。
イギリスの人はすごくエビデンスに敏感です。なので、当然講師もそれを意識した構成で作っているのかなと感じました。
もしかしたら気づいた方もおられるかもですが、
なぜ手の治療の講習会でankle strategyの治療してんだよ!という話はまた次回。
4月に入って、新体制になって忙しころなのかなーと人ごとのように思ってみます。
新人の最初の頃は新人研修や、治療に困り果ててたのが懐かしい。まぁ今でも悩みまくりですが。
今回はクリニカルリーズニングについて軽く書こうかなと。
3月にイギリスで開催されていた、Advanced Bobath courseに参加しました。
今回のテーマが、上肢の治療、クリニカルリーズニングについて。
講師はシニアインストラクターのメアリーと、今回のコースで上級インストラクターになったアンのお二人でした。そこから自分なりにリーズニングに関する論文をいくつか読みました。
クリニカルリーズニングは臨床場面で行われる意思決定の過程です。言ってしまえば一言ですが、
そこにはいくつもの要素や、様々な理論、戦略、過程があります。
それに関する論文もたくさん出されています。
クリニカルリーズニングは大きく分けると、二つに分けて説明されることが多いです。
diagnostic reasoning
narrative reasoning
前者は、より客観的で、疾患の診断に関するもので、
後者は、患者さんの経験や、選択などを考慮していくものです。
特にリハビリテーションの領域での結果というのは、患者さんの求めているもの、感情や満足度によるところも大きいという報告もあり、narrative reasoningも治療を決めていく上で重要です。
どちらかに偏るというよりは、これらをバランス良く使っていかないといけないですね。
外来整形のdiagnostic reasoning に関して新人と、エキスパートの違いについても書かれた論文もありました。
・新人はどうしても、客観的評価を基準に(backward reasoningに関連)で評価する時間が増える。よくいうボトムアップ評価ですかね。それと治療後の再評価がうまくできていない。
・エキスパートは主観的評価の時間(forward reasoningに関連)が、未熟なセラピストに比べて長い。これはpattern recognition(症状や兆候から診断する)が含まれます。要は運動パターンや、症状を見て、仮説を組み立てるという感じですね。そして、臨床仮説の数が、未熟な人に比べて多い。
だからといって、いきなり、新人が主観的評価の時間を増やせばいいのかというとそんなわけはなくて、知識や経験をきちんと積み重ねていかなければなりません。
きちんと問題点を捉えようとすると、
まず、広くいくつかの仮説を立てることが必要です。それには当然、多くの知識が必要となります。
知識がなければ最初に立てた仮説の中に、本当の問題点が含まれていないといった事態が起こりえます。そして、さらに評価、治療を進めて、その中でさらに仮説を絞り込んでいく。
そして再評価というサイクルをつくる必要があります。
無論、知識だけではだめで、意思決定に至る過程を改善していかないといけない。
そういった時にはreflectionという考え方が使われます。
これは自分自身を評価するということです。自分が考えていることを考える。いわゆるメタ認知ですね。
reflecitonを効率的に行うために、様々な評価シートを使うこともあります。
Gibb's cycleや
Heather L. Atkinson, Kim Nixon-Caveらによる
A Tool for Clinical Reasoning and
Reflection Using the International
Classification of Functioning, Disability
and Health (ICF) Framework and
Patient Management Modelが紹介されていました。
後者の論文ではICFをリーズニングに使い、自己評価する項目が列挙されています。非常にわかりやすいので是非読んでみるとよいかと思います。
自分の思考過程を自分で認識して、改善することが、診断技術の向上につながってくるようです。
自分自身だけでは気づくのが難しいこともあるので、OJTもうまく使えるといいですね。
整形疾患では明確にリーズニングが進めやすく、さらに治療決定でもclinical prediction rule
などが海外では使われ、よりきちんと評価し問題点を突き止め、治療を決定する流れができつつあるのかなという印象をうけますが、
どうも中枢神経系は難しいなぁと思います。
ぶっちゃけエビデンスベースの治療ってなかなかできない。というかまだすごく不十分なんですよね。現場で効果があるとわかっていても、治療効果の報告はまだまだ足りません。
そういった現状で、メアリーが上級講習会で示してものとして、きちんと正常なバランス反応に必要な部分を全て列挙して、治療しながら評価をものすごい速度でやってのけてました。
例えば、ankle strategyを改善するには
ヒラメ筋の長さ、下腿三頭筋、内側広筋、近位ハムストリングス、腹部・背部筋の協調的活動、肩甲骨の安定性、tectospinal pathwayなど全身にわたって評価すべき項目をあげていました。
おそらくこういう治療の背景にある論文の数は数十本はあると思います。
これは聞いててすごくなぜだかすっきりしました。今まで曖昧に捉えていたものが、これからどういうふうに評価していけばいいのかが朧気ながらも見えたような(気がしました)。
イギリスの人はすごくエビデンスに敏感です。なので、当然講師もそれを意識した構成で作っているのかなと感じました。
もしかしたら気づいた方もおられるかもですが、
なぜ手の治療の講習会でankle strategyの治療してんだよ!という話はまた次回。