脳腫瘍手術の後、1ヶ月過ぎても、
嚥下が麻痺して、飲み込みが出来ず、
鼻から胃に流動食用の管を通していました。
「こんなはずではなかった。」
と落ち込んでいる私は、
顔の表情もきっと暗かったのでしょう。
ナースが交代で、特に用もないのに、
声を掛けにベッドに来てくれました。
・病室の他の方の用で来たときのついでに、
・夜勤明けで帰宅する前に、1時間位話しに、
・看護婦長までも、世間話をしに20~30分、
・「お花見をしよう」と車椅子を押して、
病院の外へ連れ出してくれる。
(実際、鼻からチューブを絆創膏で留めているので、
いろいろな人から、じろじろ見られました。)
午前中の歩くリハビリ以外、ベッドで過ごす1日は
退屈でした。視界は落ち着いてきましたが、
右目と左目では、見え方が違います。
目を開けていると、周りがグルグル回って、
目眩がしているような状態で、違和感がありましたが、
これもリハビリと割り切って、
遠くの空や部屋の中を見ながら
昼間、寝ないように努力していました。
本当のところ、
鼻から胃まで管を通し、少量の唾液以外、
口から食物を通すことなく、
お腹を減らすこともなく、
作り笑顔をすることもなく、
何時になったら、日常が帰ってくるのか
不安な日々でした。
そんな私は、
落ち込んだ患者に見えたのでしょう。
ナースとは、
季節の変化や
復職したらどんな事をしたいか、
困ったときは、どうすることがベストか、
仕事をしながら、これからどうしていきたいか、
など、具体的で、前向きなことを
私と話してくれました。
明るく接してくれるナースが、何よりの慰めでした。
病気のことを離れ、
考える視点を他に向けてくれたので、
気持ちが、和らいでくるのを
感じることができました。
病院の業務の枠を超え、ナースたちは
私を精神的に支えてくれました。
有り難いです。