シン・ニホン
安宅和人
株式会社ニュースピック
「イシューからはじめよ」を読んで、とても期待していましたが、論じられているのが、広範囲すぎて頭に入ってきませんでした。
1章 データ×AIが人類を再び解き放つ―時代の全体観と変化の本質
2 知的産業そのものが変わる
・ヒューマンタッチがより重要ななる
人間は合理性を求める一方、ヒトの温かみ、ヒトを通じた価値を大切にする生き物だ。AIが毎回正確に同じものを提供してくれるサービスと、不揃いでも誠心誠意、生身のヒトが提供してくれるサービスなら、後者の価値が高いケースは多い。
デザインにおいても、単にAIによって過去の知見を活かし最適化されたものより、ヒトがヒ トならではの感性と技を活かし、こだわりぬいたものにはセレンディピティとヒューマンタッチ が感じられ、付加価値はずっと高い可能性が大きい。
AIとデータに得意なことはAIとデータに任せ、浮いた余力をヒトにしか生み出せない価値 の打ち出し、ヒトにしかできないこだわりや温かみの実現を目指していくことが、ビジネスの勝 負どころになっていく。
未来(商品・サービス)=課題(夢)×技術(T ech)×デザイン(Art)
2章 「第二の黒船」にどう挑むか―日本の現状と勝ち筋
・65歳で「伐採」されるシニア層
生きている限り価値を生み出せる社会にすることは、伸びしろも大きく、人道的にも正しい。
こういうことを言うと、経営者の方々からは「60歳 66歳の定年すら置けなくなると、余剰人を吐き出すことができなくなる」と言われることがある。これは単に定年という仕組み以外で 人を吐き出せない、生産性を上げるための基本的なマネジメントができていない、またこれまでの仕事でうまく価値を生み出せなくなった人たちのスキル再生ができないという、日本企業の組 運営課題を訴えているだけではないだろうか。これからは、
・採用の際に年齢や性別を聞くことは禁止する
・原則、労働時間ペースではなく、生み出す価値ベースで給与水準を決める(「店頭に立つ」ような「そこにいること」が直接価値になる仕事でも店頭での価値提供の度合いで給与水準を決める)
・週5日に縛られず、週1日2日の人や1日1~2時間という多様な仕事の仕方を受け入れる(同時に価値が生み出せない場合に職場にしがみつく権利についても放棄してもらう)
・入社直後だけでなく、担当や役割が変わるごとに、また本人の意欲があり道理にかなっている限り、 十二分なトレーニングを行い、プロフェッショナルとして育成するから
・価値を生み出しているか、意味のある変化を起こせているかどうかによってこまめにフ ィードバックし、育成を促す
・事業の進化、個人の成長・希望に伴い、ダイナミックに配置変更(ローテーション) する
・会社に縛り付けず、会社間もダイナミックに動くことを受け入れる(もちろん禁止規定など は大切)
・コミットしてもらっているミッションに影響がない範囲で副業を行うことを、現実的な範囲で認める
・生産性を下げる要因を徹底的にデータードリブンに検出、コントロールする(例:いわゆる最
新鋭のインテリジェントビルであっても、多くの職場が、本来換気が必要な1000DDm以上の濃度に到達し生産性が低下している)
日本の勝ち筋
・すべてをご破算にして明るくやり直す
・圧倒的なスピードで追いつき一気に変える
・若い人を信じ、託し、応援する
・不揃い木を組み、強いものを作る
3章 求められる人材とスキル
4章 「未来を創る人」をどう育てるか
「仕事」の定義について
仕事=力×距離
単なる努力、試み自体には意味がなく自己満足、浪費に過ぎない。生み出す変化がなければゼロ、完遂されない仕事は意味の持ちようがないということだ。
5章 未来に賭けられる国に―リソース配分を変える
・1 年齢、性別による雇用差別を禁止する
・2、この方々の活躍を生涯サポートする仕組みとテクノロジーを生み出す
・3生まれた時から、年金を積み立て、運用する仕組みを構築する
・4技術の力で身体の問題を直す心をさらに進める
・5 尊厳死を合法化する
Society5.0 の価値の源泉
~Society4.0 Society5.0~
4.0 規模拡大 効率性 →効率重視からの解放
均一性→個性の抑圧からの解放
集中→格差からの解放
脆弱→不安からの解放
環境負荷大 資源多消費→資源・環境制約 からの解放
5.0
・課題解消・価値創造 “価値を生み出す社会”
・多様性 “誰もが多様な才能を発揮できる社会“
・分散 “いつでもどこでも機会が得られる
・強靭 “安心して暮らし挑戦できる社会“
・持続可能性・自然共生 “人と自然が共生できる社会“
「Policy(提言・報告書) Society 5.0 - ともに創造する未来-
6章 残すに値する未来
課題解決の2つ型
ちょっと違う話をしよう。あまり語られないことではあるが、課題解決には大きく2つの型が ある(図6-19)。
1つは、病気を治し健康にするといったあるべき姿が明確なタイプの課題解決 (タイプA)。
もう1つがあるべき姿(ゴールイメージ)から定める必要があるタイプの課題解決(タイプB)だ。