NO.73 イシューからはじめよ 安宅 和人 | マルティン・ルターのぶろぐ

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はじめまして、マルティン・ルターです。今年の目標として読了30冊を掲げました。
今まで読んだ本も備忘録として残していきます。
主にビジネス書、リベラルアーツ、などです。+で中日ドラゴンズとごはん屋さんも発信していきます。

 

イシューからはじめよ 




イシューからはじめよ                   

 

安宅和人

 

英知出版

 

生産性を高めるためにはどうすればいいのか?

テーマ(課題)が一番大切。ただ、その解を得ようと作業していると、例えば分析したり、プレゼンしたり、調査したりしているおテーマを忘れてしまうで、目に見えるかたちでまとめておくといい。

一次情報は誰の手も入っていない現地、現場、現物の声から得ないとダメ。そこから仮説を自分の言葉で考えること。

プレゼンの手法としてとてもわかりやすい。プレゼンしても、事業提案にしても、施設整備にしてもすべて、同じ構図。「イシューからはじめよ」。

イシュー(課題)の見極めが一番大切で、時間を割くべき事柄である。私自身も経験がある。課題を与えられて、調査分析を行うため、本当に取り組むべき課題なのかを吟味せず、前に進む「犬の道」また、これが評価されてしまうという残念な事象。

そんなことを考えさせられる本でした。

 

 

以下要約 

はじめに

優れた知的生産に共通すること

・悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える

「〈考える〉と〈悩む〉、この2つの違いは何だろう?」

僕はよく若い人にこう問いかける。あなたならどう答えるだろうか?

僕の考えるこの2つの違いは、次のようなものだ。

「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること

「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること

 

序章

この本の考え方 脱「犬の道」

・常識を捨てる

「問題を解く」より「問題を見極める」

「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」

「知れば知るほど知恵が湧く」より「知り過ぎるとバカになる」

「1つひとつを速くやる」より「やることを削る」

「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」

・バリューのある仕事とは何か

み出す際の効率の程度のこと」とあるが、これでは何のことやらさっぱりわからない。

この本で言うところの「生産性」の定義は簡単で、「どれだけのインプット(投下 どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか」ということだ。

した労力と時間)で、 数式で表現すれば、図1のようになる。

生産性を上げたいなら、同じアウトプットを生み出すための労力・時間を削り込まなければならない。あるいは、同じ労力時間でより多くのアウトプットを生み出さなければならない。ここまでは自明のことだと思う。

では、「多くのアウトプット」とは何だろうか? 言い換えれば、ビジネスパーソンであれきっちりと対価がもらえる、研究者であれば研究費をもらえるような「意味のある仕事」とは何だろうか?

僕のいたコンサルティング会社では、こうした意味のある仕事のことを「バリューのある仕事と呼んでいた」プロフェッショナルにとって、これを明確に意識することが大切だ。

プロェッショナルとは、特別に訓練された技能をもつだけでなく、それをベースに顧客から対価をもらいつつ、意味あるアウトプットを提供する人のことだ。つまり、「バリューのある仕事とは何か」という問いへの答えがわからなければ、生産性など上げようがないのだ。

1分ほど時間をとって、落ちついて考えてもらいたい。

プロフェッショナルにとって、バリューのある仕事とは何か?

どうだろうか?

僕はこれまで、多くの人にこの問いを投げかけてきた。だが、明瞭な答えが出ることは多くなかった。よくある答えは、

●質の高い仕事

●丁寧な仕事

●ほかの誰にもできない仕事 といったものだ。

これらは正しい面もあるが、本質を突いたものとは言えない。

「質の高い仕事」というのは、「バリュー」を「質」に言い換えているだけだ。 では「質」とは何か、という同じような問いに戻ってしまう。「丁寧な仕事」というのも、「丁寧であればどんな仕事でもバリューがある」と言っ たら、多くの人は違和感をもつことだろう。最後の「ほかの

誰にもできない仕事」というのは一見正しいように思えるが、もう少し考えてみよう。「誰にも できない仕事」というのは、通常の場合、ほとんど価値をもたない仕事だ。価値がないからこそ、誰もやってこなかったのだ。

「質の高い丁寧・誰にもできない」といった答えは、問いの本質の半分にも達していない。

「バリューのある仕事とは何か

 

僕の理解では、「バリューの本質」は2つの軸から成り立っている。

ひとつめが、「イシュー度」であり、2つめが「解の質」だ。前者をヨコ軸、 後者をタテ軸にとったマトリクスを描くと、図2のようになる。

「イシュー」という言葉は本書の「はじめに」でも出てきたが、あまり聞いたことがない人もいるだろう。 「イシュー」で検索しても日本語ではほとんど説明がないが、英語の「issue」で検索すると定義がたくさん出てくる。

 

「とりあえず死ぬまで働いてからものを言え」といった思想は、この「イシューからはじめる」世界では不要であり害悪だ。意味のない仕事を断ち切ることこそが大切なのだ。

うさぎ跳びを繰り返しても イチロー選手にはなれない。「正しい問題」に集中した、「正しい訓練」が成長に向けたカギとなる。

 

 

1.イシュードリブン――「解く」前に「見極める」

よいイシューの3条件

「よいイシュー」について、もう少し考えてみよう。

よいイシューは、自分やチームを奮い立たせることができるものであり、検証されたあかつきには受け手をうならせるものだ。このようなイシューには3つの共通項がある。

 

▶︎1 本質的な選択肢である

よいイシューはすべからく、それに答えが出るとそこから先の検討方向性に大きく影響を与え るものだ。

 

▶︎2深い仮説がある

よいイシューは深い仮説がある。ふつうであれば「ここまでスタンスをとるのか」というところまで一気に踏み込んでいる。 「常識を覆すような洞察」があったり、「新しい構造」で世の中を説明したりしている。こうすると、検証できれば価値を生むことを誰もが納得できる。

 

▶︎3 答えを出せる

「えっ?」と思われるかもしれないが、よいイシューとは、「きっちりと答えを出せる」ものでなければならない。「重要であっても答えを出せない問題」というのは世の中にいくらでもあるのだ。

この「よいイシューの3条件」(図1)について、もう少し詳しく紹介しよう。

 

型がないときには「逆算」する

新規性の高いイシューを分解するための型がほとんどないこともある。 ビジネス分野の場合、こういう課題解決のために専門のコンサルティング会社があったりするわけだ が、常にこういう人たちに頼るわけではない。新規事業の場合は、これに相当する存在自体ないだろう。だが、このような場合もやりようはある。

たとえば、現在ではほとんど存在しないに等しい「電子商品券」という商品を開発しなければならない、という状況を想像してみよう。 ここでの電子商品券の定義とは 「ネット上に価値が存在し、使える場所が限られている。また、 は異なるものだ。また、人に贈答することが前提となる」というもので、いわゆる「電子マネー」とだ現実にはない商品なので、商品を構成する要素、つまりは枠組み自体がはっきりしない。 こうした場合には、第1章でも出てきた「最後にほしいもの」から考えてみる。

商品開発が課題であるこのケースでは、「最後にほしいもの」は「核となる商品コンセプト」だろう。つまりは、

 

1.いつ・誰が・どのような場面で使うものなのか/なぜこれが既存の支払い手段としてより役立つことがあるのか?

というものだ。これがはっきりしていないと話がはじまらない。コンセプトの次に必要となるのは、

 

2.どのようなフィーとコストが発生し、どう役割分担するのか/どう採算を合わせるのかという「エコノミクスの枠組み」だろう。たとえば、クレジットカードの場合であれば「カード 発行会社」 「利用店舗増とメンテナンスをする会社」「電子情報処理を行う会社」という3社 が役割と費用を分担しながら業務を行っている。電子商品券の場合には、価値を発行する 誰が担うのか、という見極めも必要だ。機能を洗い出した上で、それぞれの機能をどの会社が担うのかを決める。さらに、そうした枠組みだけではビジネスはできない。

 

3.この枠組みに基づき、どのようにシステムを構築し、どのように運用するかと いう 「ITシステム」の検討も不可欠だ。 1~3があれば、根本的な商品の「しくみ」はできるだろうが、これだけではまだビジネスにはならない。 しくみに加えて、

 

4.この電子商品券をどんな名前にして(ネーミング)、既存ブランドとどう関係づけるのか (ブランディング)/ロゴや基本デザインはどうするのか(デザインシステム構築)/全体をどのようにプロモートしていくのか (プロモーション)

といった広範なマーケティング関連の課題が存在する。

さらに、これでも肝心なところが抜けている。

 

5.使用店舗と発行と拡大の目標を設計し、推進する「戦略的提携」

 

6.導入店へのオペレーションと本部のメンテナンス・サポート機能を整備する「店舗支援業務の設計」

 

 

2.仮説ドリブン(1)               

 

   ――イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

 

ストーリーラインを組み立てる

 

イシューを分解し、そのサブイシューに個々の仮説が見えれば、自分が最終的に何を言わんと

 

するのかが明確になる。ここまでくればあと一歩だ。 イシュー分析の次のステップは、分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる ことだ。分解したイシューの構造と、それぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考える。

 

典型的なストーリーの流れは次のようなものだ。

 

1.必要な問題意識・前提となる知識の共有

 

2.カギとなるイシュー、サブイシューの明確化

 

3.それぞれのサブイシューについての検討結果

 

4.それらを総合した意味合いの整理

 

 

3.仮説ドリブン(2)――ストーリーを絵コンテにする

 

定量分析の3つの型

 

定性分析の設計は、意味合い出しに向けて情報の整理 とタイプ分けを行うことが中心となるが、分析の大半を 占める定量分析においては、比較というものは3つの種 類しかない。表現方法はたくさんあるが、その背後にあ る分析的な考え方は3つなのだ。このことを押さえてお くだけで分析の設計がぐっとラクになる。では、この3 つの型とは何だかわかるだろうか? 答えは次のよう なものだ。

 

1 比較 共通軸で値を比べる

 

2 構成 割合

 

3 変化 何と何を比較したいのかという軸の整理

 

どれほど目新しい分析表現といえども、実際にはこの3つの表現のバラエティ、および組み合わせに過ぎない。

 

 

4.アウトプットドリブン――実際の分析を進める

 

アウトプットを生み出すとは

 

イシューが見え、ストーリーラインができ、それに合わせて絵コンテができれば、あとはその 絵コンテを本物の分析にしていく。ついに実際に走り出す段階だ。

 

ただ、ここでやみくもに走るとケガをしたり、場合によってはコースアウトしたりで退場 (=プロジェクト中断)になってしまう。本章では、この実際の分析なりチャートをまとめていく プロセスにおいて、何に留意すればケガなく無事に走り切れるかをみていきたい。

 

このステップで何を目指すのかを再度確認しよう。序章の「犬の道」の話に立ち返るが、僕たちがやっているのは「限られた時間で、いかに本当にバリュー(価値)のあるアウトプットを効 率的に生み出すか」というゲームだ。どれだけ価値のあるイシュー度の高い活動に絞り込み、そ のアウトプットの質をどこまで高めることができるか、それを競うゲームだ。

 

 

5.メッセージドリブン――「伝えるもの」をまとめる

 

ストーリーラインを磨き込む

 

イシューに沿ったメッセージが伝わって いるか、という視点でストーリーラインの構造を磨 き込む(図1)。具体的には3つのプロセスがある。

 

3つの確認プロセス

 

1 論理構造を確認する

 

2ストーリーラインを磨き込む

 

3つの確認プロセス