【三次創作?】来栖快斗が魔理さんそっくりのAV女優のAVを借りてしまった話【SS】 | まっきぃの独り言

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多分基本月2~3回更新予定

※過疎卓シリーズ知らん人は全力で置いていきます


※キャラ崩壊
※俺にシリアスを求めないでください


【AM9:30】
来栖快斗は人生最大級に焦っていた。
どれぐらい焦っていたかというとなぜか唐突に落ち着くために素数を数えようと思い立ち、整数を数え400になるまで気づかなかった程度に焦っていた。
彼は焦り散らしながら自身の軽率な行いを心底後悔した。

【前日のPM9:00】
事の発端は12時間前。
来栖快斗は仕事帰りに珍しく近所のTS〇TAYAに寄り道していた。
明日から3連休。
たまには映画でも観よう。
そういえば魔理さんがあの映画泣けるって言ってたな。
仮に合わなかったとしても魔理さんと共通の話題ができるから損もあるまい。
たまにはゆっくり映画を見て感動するのも良いものだろう。
少なくともこの時までは彼はそのつもりだった。
事実彼はその映画のDVDを見つけた。
少し低い位置にあった為、彼はしゃがんでそのDVDを手にした。

【前日のPM11:00】
だが、どういう訳か来栖快斗は自宅のテーブルの前で映画ではなくAVを目の前に正座で固まっていた。
なおこの状態が既に1時間半継続中である。

見てしまったのだ。
しゃがんだ時、たまたま棚の向こう側が見えた。
そこには毛利魔理によく似た女性が晴れやかな笑顔で笑いかけていた。
その笑顔に興味を持ってしまったのか何か悪い魔法にでもかかってしまったのか気付いたら、快斗はその女性の笑顔に導かれる様にふらふらと移動し、そのパッケージを手に取った。
なるほど、確かにこう見れば見るほどよく似ている。
大人びた笑顔、美しく伸びた金髪、どことなく魅了される茶色い瞳。
快斗は思わず愛情と奇妙な偶然により変な笑顔をしてしまった。
その笑顔を作った途端我に帰った快斗は次の瞬間衝撃を受けてしまった。
視線を移すと女性の晴れやかな笑顔の下…つまり首から下の一糸まとわぬ姿が彼の目に飛び込んだのである。
そう、つまり今快斗がいるのはいわゆる大人の空間であり、彼が手にしたそれはAVだったのだ。
快斗は慌てて棚に戻すと踵を返した。返したはずなのだ。

なのに今彼の目の前にはそのAVがあるのだ。
そう、借りてしまったのだ。
魔理さんが感動したという映画と一緒に。
この事に対する強い罪悪感と後ろめたさ、それと同時に奇妙な好奇心の葛藤が彼をテーブルの前に硬直させてしまったのだ。
「俺はいったいこれをどうしたいって言うんだ…?」
誰と無しにぽつりとつぶやいた言葉は、誰もいない部屋にすっと消えていった
 



 



【AM9:00】
子供たちの声で意識を取り戻す。
どうやらあのまま寝てしまったようだった。
足のしびれと体中の違和感がそれを教えてくれた。
寝ぼけ眼でDVDの表を見ると魔理そっくりの女性が晴れやかな笑顔で笑っている。
「……100円払っちゃったしな」
そうつぶやくと、快斗は意を決したのか寝ぼけてたのか魔が差したのかAVを再生機に入れて再生する。
再生すると快斗は特に何かするでもなくぼんやりと画面を眺めていた。
楽しそうに笑う女性、楽しそうに会話する女性、楽しそうに映る女性。
「……いつか魔理さんもこんな感じで話してくれるのかな」
そう言った瞬間ハッと我に返った。
何をやってるんだ俺は。これじゃまるで……こんな事……
幸いまだいわゆるエッチな場面ではない。まだそういうシーン観てないから大丈夫だ。多分きっとおそらくmaybe
快斗は謎の免罪符を片手に再生機を止めて朝風呂に向かう。
次の瞬間電話が鳴った。相手はJKあいかだった。
「はい、もしもし?」
「あっ、快斗君起きてた!こないだ言った通りマリ〇パーティやる面子集まったから今から向かうね!部屋番〇〇号室で良かったっけ?」
「……えっ?」
あぁ、忘れてた。そういえばせっかくの三連休だからいつものメンバーで集まってゲームパーティーしようって話してたっけ。
ヨシヒコもあいかもわたる君も若葉さんも魔理さ…ん……も……
瞬間快斗は全身の血が引く思いをした。
「ああああああああいかさん?あとどれぐらいで着きソウですカ?」
「うーん、電車の関係で10時ぐらいになるはず。あっ、飲み物食べ物は準備してあるからお構いなく~」
「そそそそソウデスカ。ワカリマシタ」
「快斗君声震えてない?」
「キキキ気ノせいだよじゃあ俺れ風呂ロロロはいるから」
「うん、じゃああとでね」
ヤバい。
万が一あのDVDが見つかったらヤバい。
隠しても見つからないとは限らない…
…どうする…?
……
よし、返そう。
幸いTSUT〇YAまでは往復10分で行ける。
ポストに返却すれば時間もかけなくて済む。
今ならまだ余裕で間に合う。
100円は惜しいがそうと決まれば早速……
快斗がボタンを押した瞬間、ガシャゴッ!という本来再生機から鳴ってはいけない音が鳴った。
そして本来出て来るはずのDVDが何時まで経っても出てこない。

「嘘だろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」

【AM9:30】
再起動も試した、ドライバーも試した、色々試した。
しかし、再生機からDVDが取り出せない。
それだけならまだ良い。問題は再生機の電源がつく度に勝手にDVDを再生しやがるのだ。
しかも最初からならまだしも途中から。
「ケチって中古にしたばかりに……」
いくら恨み言呟いても後の祭りである。
そうだ、落ち着こう。こういう時は落ち着くのが大切だ。なんかの漫画で読んだことがある素数を数えて落ち着こう。
1、2、3、4、5、6、……398、399、400ってこれただ整数を数えてるだけじゃないか!!
ああ!無駄に10分近く消費してしまった!魔理さんがくるまであと15分!?

来栖快斗は人生最大級に焦っていた。
どれぐらい焦っていたかというとなぜか唐突に落ち着くために素数を数えようと思い立ち、整数を数え400になるまで気づかなかった程度に焦っていた。
彼は焦り散らしながら自身の軽率な行いを心底後悔した。

神様どうか助けてください……
と快斗は一瞬神にすがろうとしたがよく考えたら関わった神が総じてロクでも無い神なので早急に願いを取り下げた。

どうしてこんなことに…
これも浮気をしてしまった自分への罰なのか…?
いや浮気も何もそもそも付き合って…けど想いは魔理さんだけのつもり…
やっぱり悲しい事も辛い事も怖い事もあったけど……
……やっぱりみるなら魔理さんの笑顔がみたいな…

そうしんみりと思った瞬間
ピンポーン
死刑宣告のチャイムが鳴った
「うぉああぁぁあぁぁあぁぁああぁぁっっ!!?」
刹那、反射的に手にしていた再生機を思いっきり壁に投げつけてしまった。
「だ、大丈夫か!?快斗」
「快斗君どうしたの!?」
「なんかすごい音しましたけど!?」
尋常でない様子に気付いたみんなは慌てて扉を開け快斗の部屋に飛び込んだ。
ああ、そう言えば鍵かけるの忘れてた……

部屋に飛び込んだメンバーの目に映ったのはボロボロにくたびれた服と酷い寝癖、目に下にはクマ、血眼の快斗とボロボロに砕けた何かの電子機器だった。
「か、快斗、何があったんだぜ?」
困惑気味に魔理が尋ねると快斗は表情を変えずに答えた。
「いや、煩悩が…」
その言葉の意味を快斗が語ることは一生無かった。

≪完≫


※今回挿絵を小倉(https://twitter.com/ohagi_2580)さんに描いて頂きました。
改めてありがとうございました。