ユニークな絵本【オオカミのごちそう】 | 空っ風と六甲おろしに颯爽と
オオカミのごちそう
きむらゆういち作 田島征三絵
偕成社
1999年 1540円
対象年齢:年齢に応じて読むことができます。
(読んでもらうには)3歳から
(自分で読むには)4歳から大人
<あらすじ>
おなかをすかしたオオカミがコブタを見つけました。「俺様に狙われたら、もう逃げられないぞ」
しかし、オオカミはもう少しのところで切り株につまずいてしまいました。すってんころりん。もちろんコブタは逃げていきます。「すごくうまそうだったのに……」オオカミはコブタを思い浮かべます。「どうしても食べたい……」
「どうしても捕まえてやる」オオカミはコブタを追い、丘を登り始めました。ウサギたちが慌てて逃げ出します。しかし、オオカミはウサギたちには見向きもしません。少しふっくらとしたコブタを思い浮かべ、「あのコブタに比べたら、おまえたちなんて……」。
行く手にシカが現れました。明らかにシカの方がおいしそう。でも、オオカミの頭の中のコブタは実際よりもふっくら。「こいつらで腹をいっぱいにしちまったら、あのコブタが食えなくなっちゃうぜ」。
オンドリが泣いても「うるさいなぁ。考え事をしているのに」捕まえて移動させます。他にも、ヒツジやウシ、七面鳥、タヌキに出会いますが、オオカミはコブタのことで頭がいっぱい。コブタはいつの間にか風船のようにまんまる。しかも、思い出す度にオオカミは空腹になり、コブタは大きくなります。
遂に最初のコブタを見つけました。オオカミは大喜びで食べようとします。しかし、「あのコブタってこんなにちっぽけだったっけ」。捕まえたコブタは普通のコブタの大きさです。頭の中のコブタはおいしそうに太っています。もちろん、オオカミは「間違えて食うところだったぜ。がまん、がまん」丘を下っていきました。
浦田ひろみ