和歌山県上富田町の樫木 美喜恵さん
山桃から人のつながりを紡いでいます
口熊野かみとんだ山桃会(以下山桃会)の代表の樫木美喜恵さんに山桃会の設立の経緯、人と人のつながりを大切にする活動への抱負などをお聞きしました。(森下和紀)
赤い宝石と呼ばれる山桃との出会い
樫木さんは、子育て中に、ママ友とワークショップしながら、「上富田町と自分の子どもの将来を話し合ったりしていました。上富田町や子どものために自分が出来ることをしていきたいと思い始め、町内で活動している人や地域おこし協力隊などに話を聞きに行ったりしました。そんな中で、町の木は山桃という話がでて、珍しい木であるし、赤い宝石とも呼ばれる山桃をPRしていきたいと思いました」。
口熊野かみとんだ山桃会のスタート
「“口熊野かみとんだ山桃会”を2015年9月に立ち上げた時のメンバーは、前から集まっていたママ友を始め、農家さん、商工会青年部の方々です。でも、立ち上げてすぐに大きな課題に直面しました。それは、イベントの時、自分たちの商品がないので、山桃会をPRしたいのにPRできないということでした。その思いから、山桃のジャムづくりや山桃シロップづくりの体験会の開催を積みながら、山桃会のPRを行ってきました」。
「その甲斐があって上富田町の梅加工販売会社さんが応援してくれるまでになりました。山桃シロップの第一号を製品化してくれました。今後は、上富田町のふるさと納税のお礼品の採用を目指しています。さらに山桃のゼリーの製品化も進めています」。
人とのつながりを大切にする、地域のプラットホームとして
「メンバーが集まりやすく、会議が出来る場所がないかを行政に問い合わせたところ、上富田町にある唯一の無人駅朝来(あっそ)駅の構内の施設の紹介を受けて、山桃会のメンバーで改修して、2018年10月に“口熊野かみとんだ観光案内所”の委託運営をすることになりました」。
「ここでは、町内の産品を販売していますが、駅という人が集う利点を利用して、地域の方々や町外の方も気軽に集まれるイベントを企画して実施しています。まさに駅のプラットホームで出会い、つながりがあるように」。
山桃会から経済効果を地域へ
「山桃の収穫時には、アルバイト、作業所の人も出て来てもらって、アルバイト料を渡しています。山桃はこの辺りの民家の庭でも生えていて、その山桃の買い取りを希望される方が増えてきました。買い取ることによって、ありがたいですとみなさんから言ってもらえます。庭の木が収入を生んでくれます。山桃を通して経済的な活性化につながっていると実感しています」。
山桃会ー地域のためにつくるとつなぐを目指す
「一人では何もできませんが、活動を続ける中で、新たなつながりが出来て、自分のやりたいことを目指すことが出来ます。人とつながって出来ることがあるはずです。お互い補って助けてくれる人も現れます」。
「そういう思いで、“つくるとつなぐ”という交流施設を朝来駅の近くに開設しました。朝ご飯カフェ、チャレンジキッチンなど、レンタルスペースなど、文字通りつくって人をつなぐ拠点となっています」
樫木さんは、取材の中で何度もつなぐという言葉を使いましたが、“口熊野かみとんだ山桃会”、“かみとんだ観光案内所”、そして“つくるとつなぐ”を通して、樫木さんのつなぐ思いを実現させてきたことがうかがえる取材でした。
「もっと山桃のPRをして、超多忙の収穫の時、県外の人にも手伝ってもらったりして山桃のPRを進めて、関係人口を増やして行きたいです。交流の拠点として、その中核となる山桃会を通してつながるきっかけを構築していきたいです」。
活動を通してつながった人とのつながりを大切にしていく樫木さんの意気込みを強く感じました。
(わかやま新報女性面)