「戦国の戦」

   秀吉が勝家を撃つ




                        余呉湖 ⬆️


 先日、賤ヶ岳に登り、山頂から眼下に広がる奥琵琶湖や余呉湖の青さと、湖北の緑の山々を見ながら、歴史的な合戦に思いをはせました。


   本能寺の変を受け、明智光秀を討ち実質的な主導権を握っていた羽柴秀吉と、織田家の旧臣中第一の家柄を誇る柴田勝家との間の権力争いで、大岩山の初戦では柴田勝家の軍が勝利しましたが、その後、羽柴秀吉のすばやい行動を予測しきれず、形勢不利となった主君の柴田勝家をどうにか逃がそうと、主君の具足を借りて身につけ、主君の身代わりとして戦った毛受兄弟の姿に「敵ながらあっぱれ」と感動した秀吉は、その亡骸を手厚く弔ったそうです。


   そのような話を聞くと、当時の人々の忠義や仁義を想像しながら、その根底にある深い人間味を感じずにはいられませんでした。

 

 一方で、日々報じられるロシアによるウクライナへの軍事侵攻のニュースにはとても心が痛みます。


   テレビで見る映像に驚くのは、数々の建物が廃墟となり人々の暮らしが破壊された町はまさに灰色一色で、色味がないことです。


   こんな灰色の世界から、人々が再び生活ができるようになるには、いったいどのくらいの年月がかかるのでしょうか。そもそも再建することは可能なのでしょうか。




   テレビで見る映像に驚くのは、数々の建物が廃墟となり人々の暮らしが破壊された町はまさに灰色一色で、色味がないことです。


   こんな灰色の世界から、人々が再び生活ができるようになるには、いったいどのくらいの年月がかかるのでしょうか。そもそも再建することは可能なのでしょうか。



 人間の血のぬくもりを感じさせない灰色の破壊された町は、私たちが生きる今の時代が取り返しのつかないところまで来ているのではないかとさえ不安にさせます。


                          (石井  敦子)


   わかやま新報女性面