和歌山市の大中 和美さん

 

「農」と「音」で人々のケアに携わる

     

   ドラムサークルの主宰者に

  

   市民農園、子供の教育にも




        孤独や不安に押しつぶされそうになる人が、老若男女問わず増加している。「癒し」がこれほど求められる時もないだろう。大中和美さんは「音楽」と「農園」という2つの側面から「ケア」に携わっている。

         (中村 聖代)


 和美さんは歯科衛生士専門学校を出て、歯のケアの仕事をしていた。20代後半、結婚して東京に居を構えるも様々な理由から離婚を経験。


 和歌山に戻り心身の疲れを癒すために出かけたバリ島でうつを発症。その時現地の人々の優しさに触れた。帰国後治療に専念し、一度離れた医療の現場に戻ることを決心した。


【音楽療法の道に】


 それから一年後、縁あってクリニックの看護助手として勤務することになった。そこの2代目医師は、自身が難病を克服し、休憩時間には患者さんに「音楽療法」を施していた。和美さんはスタッフとして手伝うようにもなった。



 






   ある時、紀の川市の医師が主宰する「生と死を語る会」で仲間と歌った。 


 和美さんはこうしたことなどをきっかけとして、「音楽で人々の癒しの助けとなろう」と思ったのだった。


 【種々の研鑽を積む】


 『ピアノが弾けない私でもできる音楽療法』を模索するうち「集団音楽療法ミュージック・ケア」と、「ドラムサークル」という手法に出会った。

 




  前者は、日本の音楽療法の礎を築いた加賀谷哲朗氏の意志を受け継いだ集団音楽療法で、研修を受けた和美さんは講師が出来るミュージック・ケアワーカーとなった。 


 後者は、考案者であるアーサー・ハル氏から直接学び、ドラムサークルファシリテーターとなった。



    このようにして福祉施設や地域で様々な人と関わり、現在に至っている。 


 音楽には、人の生理的、心理的、社会的、認知的な状態に作用する力がある。音楽の持つ力と人との関わりを通じ、多面的に支援するのが音楽療法だ。

 

 対象年齢は乳幼児から高齢者まで幅広く、健常な人から重度の障がいのある人まで多岐にわたる。



    このようにして福祉施設や地域で様々な人と関わり、現在に至っている。 


 音楽には、人の生理的、心理的、社会的、認知的な状態に作用する力がある。音楽の持つ力と人との関わりを通じ、多面的に支援するのが音楽療法だ。

 

 対象年齢は乳幼児から高齢者まで幅広く、健常な人から重度の障がいのある人まで多岐にわたる。 





【癒しの貸し畑】

 2021年4月に「ハートミュージック農園~癒しの貸し畑~」をスタートさせた。


 両親は兼業農家であったが、後継者がなかった。和美さんは、土地の有効活用としても、また、ケアの一環としても、農園を活かそうと考えた。 

 


 市民農園は、土に触れ、作物を栽培・収穫する喜びと楽しみを味わうことができるだけでなく、農作業を通じた健康づくりや高齢者の生きがいづくり、利用者同士のコミュニケーションの場として、また、子どもたちの教育にも利用されているなど、近年では、幅広い世代からのニーズが高まっている。






   【地域交流で元気に】


   農園では、化学肥料をなるべく使わないで身体にも環境にも配慮して、好きな農作物を作ってもらっている。

 

 大病を患った両親も現在は、必要な人には農業のノウハウを伝え、交流しながら元気に活躍している。



   わかやま新報女性面