旅番組のパーソナリティーでの体験

  「FMTANABE」(和歌山県)のパーソナリティーとして旅の番組を始めたのは、旅行が大好きだからです。国内外といろいろ行きますが、美味しい料理や素晴らしい景色よりもそこで出会った人達とのことが一番の想い出になることが多いです。

 





     その中でも生涯、忘れられない沖縄の想い出が有ります。還暦を迎えた時に人生でやり残したことは一人旅。そこで毎年冬に沖縄のゲストハウスを一人旅することに。何故なら、白浜で自分がゲストハウスをしているので勉強も兼ねています。


       いろんな宿に泊まりましたが、今でも笑ってしまう想い出の宿。それは、那覇市内から遠く離れている本部(もとぶ)にある民家の宿です。


      その日は私一人だけ。宿主は、出会うなり、長年の友達のように気さくに話しかけてきます。  と言うよりタメ口です。初めましてのお客の私に「あんた」呼ばり。私よりちょっと年上そうですが何故かそれが心地よくて私はふみちゃんと呼びました。店主の名前が店の屋号です。


       素泊まりですので夜は、タクシーを使って一軒しかない民謡酒場に行きました。そこは、若い沢山のお客さんが座っていて、舞台では若い男性の上手な沖縄の楽器の三線のライブが始まりました。


     私も趣味で三線をやっていて、地域にボランティアでメンバーとライブに行くことも有ります。でも、その方のライブが私にはとっても退屈で、食べている途中で退席しました。


       宿に戻り、ふみちゃんに三線弾いてくれる人いない?と頼んだら、隣のお兄さんを呼んでくれました。


     見た目はおすもうさんみたいでしたが優しい心地よい三線音色。そこに突然ふみちゃんが「あんた、これ食べる?」冷蔵庫から手作りのつまみやお酒も出してくれて、仕事帰りのご主人と飲んでいたらヘベレケになって、私にも三線出してもらって、一緒に弾きました。



       そしたら、ふみちゃんが中学生のお孫さんを呼んで、3人で演奏。最後は、ふみちゃんに鍋のフタとしゃもじで、太鼓のように叩いてもらい、島人ちゅうぬ宝を歌って弾いて、部屋の中で皆でイヤ~サッサ~と、賑やかに踊りました。ふみちゃんも皆も大爆笑。とっても楽しい沖縄の夜。


    その夜、大きな仏壇の部屋で布団敷いていたので、いやや~~と言って、隣の部屋に移りました。今は営業していないようで、残念。もう一度泊まりたいな~と、ふみちゃんを想い出します。


  西川  福美


         わかやま新報女性面