やすいすえこ著 福田岩緒絵 

ひさかたチャイルド 1988年 1080円
http://tinyurl.com/o5lwhz9

・対象年齢:年齢に応じて読むことができます。『がたたん たん』_e0171960_1434544.jpg
(読んでもらうには)2歳から
(自分で読むには)3歳から大人まで 

 和歌山に住んでいると乗ることが少ない電車。駅まで遠いし、不便。でも、ステキな時間を過ごせるかもしれませんよ♪
 
<あらすじ>
 とある街の小さな駅に急行電車が停まっています。発車します。「がったん」

 電車には知らない人ばかり。だから、みんなは知らん顔の冷たい顔。景色以外はモノクロです。

 7人が並んで座っています。新聞を広げた男の人。かごを抱えた少女。編み物を持って寝ているおばあさん。漫画を読む少年。アンパンを食べる学ラン姿の学生さん。赤ちゃんを抱くお母さん。そしてドアの前にうつむき加減の男の人が立っています。

 少年は隣の学生さんのアンパンが少し気になります。

 「がたたん たん」「たん たん たん」電車は順調に走っています。
 すると突然、「キキキキキーッ」電車が減速。乗客たちは少し体が斜めになりました。おばあさんの毛糸の玉が転がります。

 踏み切りで立ち往生していた車をみんなで押していたようです。座席の大人達は窓から外を確認し、無事に安堵顔。子ども達はもちろん転がった毛糸を拾います。乗客に少し、笑顔が広がります。

 でも赤ちゃんは泣いてしまいました。すかさず学生さんが「ベロベロバー」。乗客の気分も和らぎます。電車内の雰囲気に合わせて、絵もモノクロからセピア色、そしてカラフルに色付いていきます。

 しかし立っている男性は黙って下をむいたまま。でもこの男性も実は優しい心の持ち主と分かり・・・

 「知らないもの同士がなにかの出来事でふっと心がふれあう。微笑みを交わし、とじていた口から優しい言葉が飛び出す時、思うのです。人っていいなあ!」

 ほんと、そうですね♪
                                (浦田 ひろみ)