スマイルグループ代表の仲岡志津さんは、15.6年前から会社を設立し、和歌山市内で高齢者や障がい者のために多彩な事業を拡げている。今般は和歌山市内に留まらず、大阪や神戸にも新しい事業を立ち上げるべく準備している。志津さんの活動の中身をみてみよう。


       (中村 聖代)


母たち向け勉強会


 今、志津さんが関わっているのは、女性たちの就労支援や啓蒙である。志津さん他、主婦から医師・司法書士になった女性たち、和歌山県で活躍する企業の代表者らが集まり、ボランティアグループを作った。この人たちが中心となって勉強会やセミナーを開き起業や就労を支援する。





   また待機児童を持つ母親や孫の面倒をみる祖母たち向けの勉強会(母勉)を大阪や神戸で開こうとしている。柔らかな頭の子どもたちに、自分で問題を見出し、結果を引き出す力をつける。保護者には「待つ」大切さ、子どもとの全面的な関わり方などのプログラムを準備し、東京と大阪では開校間近に迫っている。


義父の介護も経験


 紀の川市生まれの志津さんは教師を目指していたが、学生時代から起業し、勉学との両立をはかっていた。卒業後は、事業を継続しつつOLにもなった。


   その後結婚して専業主婦になり3人の子どもに恵まれた。結婚5年後から、脳梗塞・糖尿病・若年性アルツハイマーに罹患した義父の介護を経験。義父の死後は母の介護をして看取る。その時子どもを持つ主婦の仕事として在宅介護が適していると考えるに至った。


助け合う長屋


そして2001年(有)スマイル設立、訪問介護事業を手掛けた。その時、自力で生活が可能な老人が、介護施設に入居し、生活全般を人任せにする人が多いことに疑問を感じた。

 

   そこで「食事は提供しない。自分で出来ることは自分でし、お互い助け合うような長屋生活」をコンセプトに、高齢者・障がい者向け賃貸集合住宅の運営を始めることにした。

「厳しいかもしれませんが、日常生活をする動きが一番の自立・リハビリにつながるのです。上げ膳据え膳は老化・退化を進めます」。


ユニバーサルトラベル

 次に着目したのが旅行。すべての人が楽しめるユニバーサルトラベルを立ち上げた。


   高齢者・障がい者の旅行サポートは、旅行体験が世界を拡げ、「もう一度行ってみたい」と生きる希望・生きがいを持つようになる。


      結婚後、70年ぶりに故郷の仏壇に手を合わせられた90代の女性。


      20代に瀕死の重傷を負った青年が、6年後車いす生活まで回復し遠くの祖父母に会いに行けた―などのエピソードは多い。



介護食の販売会社


 志津さんのアイデアは続く。「擂り潰して形や風味のなくなった食べ物を何とかしたい」と全国を訪ね回り、2015年に直営店としての介護食販売会社を設立。擂り潰した食品をもういちど形にして、みんなと同じような食事ができるようにした。魚の皮に一つひとつ模様をプリントするまでの拘り様だ。ファミリーレストランや病院でも取り入れられる機会が増えている。




  こうして次々とアイデアを具現化している志津さんの活躍は今後も続いていくことだろう。


         (わかやま新報女性面掲載)