再録、↑に禁酒がらみの落語



   大阪・キタの法清寺


「禁酒寺」のかしくさま




   山口瞳著『酒吞みの自己弁護』(ちくま文庫、新潮文庫)を読んでいて、面白いフレーズに思わず、膝を打った。


    

 「酒をなぜ飲むかと言われれば、体にいいからとは答えない。 また、 体にわるいからとも言わないー-」

       

  

  「曽根崎心中」で有名な大阪・キタのお初天神から歩いて5分 ″禁酒寺と呼ばれる法清寺を訪ねた。


  バー街の中にひっそりたたずんでいる。この地にいた遊女「かしく様」がご本尊である。


  この女性はふだんおとなしいのに、酒が入ると人が変わり、ささいなことで兄を殺してしまった。


  刑執行の直前に「油揚げ」を所望、その油で髪をとかし、次いで酒の害から世の人を守ろうと請願したという。

 



  その後、歌舞伎や文楽で美化され、いつしか禁酒寺となった。



かしく様の前に置かれた「願かけ」をみると、「禁酒」より「節洒」の方が多いのがなんともおかしい。


 当方も「缶ビール2本まで」という誓いをたててきたのだが……

  



  ところが、帰りに近くの「夕霧そば 瓢亭」(ここもお勧め)に入り、油揚げの入った「かしくそば」に舌鼓を打ちながら、生ビール大で乾杯。



 適度に歩き回ったせいか心地良く酔い、「ほどほどの酒は体にいい」と自己納得した次第。


<行き方>

・地下鉄谷町線「東梅田駅」から徒歩で6

JR東西線「北新地駅」から徒歩で6分


  (岩田  誠)


  日経新聞1面コラム「鐘」