和歌山eかんぱにい



代表者氏名小原智津


設立認証年月日2009年05月07日
定款に記載された目的 この法人は、男女共同参画社会の実現のため、さまざまな人権感覚の醸成、女性のあらゆる場への社会参加支援、青少年の健全育成などを行い、もって、活力ある“あたたかで元気なふるさと”づくりに寄与することを目的とする。




    男女均等社会への道は進んだようで、現実の具体レベルでは、いまだしと見る人も多い。

  上記のNPO法人【和歌山eかんぱにい】の理事長を務める 小原智津さんは「女も男も自分らしく生きる社会実現に一歩ずつ仲間と行動していきたい」という。「わかやま△(さんかく)隊―和歌山の男女共同参画をすすめる」など三つの組織のメンバーたちと連携しながら、笑顔を絶やさず自然体で動き回る。


   (中村 聖代)



 小原さんが男女格差をおぼろげながら感じたのは幼少の時になる。家族の中でも弟だけが特別扱いされていたとか、中学校では、女子は応援団長になれず、副団長どまりといったことである。



  夫の転勤で田辺に行き、子供が小さい時は、「○○ちゃんのママ」大きくなっても「○○さんの奥さん」としか呼ばれず、大げさにいえば自分のアイデンティティはどこにあるのかと思ったことも。


 その時の親友と、愚痴めいたことも言い合い、「子供が大きくなったら何か意義のあることしようね」、と約束したこともあったという。

 

    和歌山に帰ってきて、朗読のボランティアをしているときに、BPW和歌山(ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン)のリーダーの一人と知り合い、入会する。


   BPWの方針の要旨は以下のようになっている。


「女性が自己実現のためにひとつ行動を起こそうとすれば、家庭においても職場においても、また社会でも見えない大きな壁を感じます。この不自然さを解消していくために今何をしたらいいのだろう。女性問題は女性だけの問題ではありません。女性にとって不平等な事がらをひとつひとつ問い直していくことは、男性もともにしあわせになるという認識を広めるとともに、社会全体の意識を変えていくことになります。女性問題を社会つくリ暮らしづくりの基盤に据え、自ら学ぶだけにとどまらず、積極的に働きかけ、より充実した活動を展開していきます」。


     小原さんの考え、生き方とBPW和歌山の活動方針がぴったり合ったのだろう。まさに小原さんがいま日々考え、実践していることと一致する。またBPWは国際組織もあり(注1)、女性問題の世界のトレンドも良くわかり、行動の指針が得やすい。




  和歌山市内で若者に語りかける



 もうひとつ大きな仕事が「和歌山市男女共生推進センター」の広報誌「みらい」の編集。イベント企画なども行う。


   △隊の企画会議の輪に加わらせてもらった。小原さんを軸に、栗山京子さん、根来早苗さん、平野京子さんがその日のメンバー。市の「エンパワー塾」(人材育成講座)の卒業生である。小原さんの本業は司会業であるが、メンバーはそれぞれ仕事を持ち、中には産まれたての赤ちゃんのお母さんもいるという。

 



 当面の大きな企画である「女性起業家支援講座」の具体内容をどうするか、また「再就職支援セミナー」の詰めなどに熱心な議論が続いた。


      3つめは、県の男女共生推進のセンターである「りぃぶる」(注2参照)の委託を受けて、地域リーダー養成講座卒業生が中心となって進めているプロジェクトへの関わりである。










 運動を発展させるために、「女性を議会へーあしたの会」をつくり候補者・応援者を育てる活動をしてきたが、いまは休眠中。


   「田辺に比べると、55万石のおひざ元の和歌山市の風土は保守的で、いざ候補者を出そうとすると、なかなかうまくいかない面が多い。でも女性議員が少ない現状のままで良いのかというと、そうではない」。

 

  いずれこの運動も再開して、女性議員の力も借りて、男女共生のためのより良い政策を形成していく契機にしていけたらと考えている。



(注1)BPWの国際組織=世界100力国以上の国が参加する国際組織で、国連では重要な役割を持つNGOの団体。経済社会理事会では一般協議資格を有し、女性の地位委員会及び、ILO、UNESCOなどの専門機関に代表を送るなど、世界の働く女性の地位向上に貢献してきた。

3年に1度、加盟各国の都市において世界総会(コングレス)を開催し、日本からも多数の会員が出席している。また日本BPW連合会は、働く女性たちの国際組織加盟の民間組織である。




 

  ⬆️
(注2)和歌山県の通称「りぃーぶる」=県男女共生社会推進センターの略称。フランス語で「自由な」の意味。研修セミナーや技術講習会、悩み相談などを行っている。