絵本も7冊出版

    困難乗り越えて




      今回は市内で活躍するイラスト作家Rui(ルイ)さんを紹介しよう。病気・介護・いじめ・不登校・ひきこもり・・いろんなことが原因で生きづらい日々を過ごしている若者が大勢いる。ルイさんは自身の苦しい体験を経て、今は作家として、また講演者としても活動をしている。最近開かれた個展の様子などもお伝えしよう。

   (中村 聖代)





【祖母の愛】


 ルイさんの母親が体調を崩したときがあり、母方の祖母が幼い頃のルイさんに接する時間が多かった。祖母は笑顔の素敵な人でルイさんをとてもいつくしんだ。


   「ケ・セラ・セラ」(何とかなる)と口ずさみ、周りへの感謝と思いやりの気持ち「困っている人がいれば助けなよ」と常に言っていた人だったようだ。


【高校時代】


 ルイさんは高校時代ひどいいじめにあった。それが原因で不登校、ひきこもりの日々が続く。本人が一番辛いが、そばにいる家族の辛さもひとしおであっただろう。


【それから】


 何とか高校を卒業し、その後大学や専門学校に進んだ。順風満帆な生活だったとはいえないが、祖母の笑顔に見守られて過ごした。


   その祖母も亡くなってしまい、あまりに辛い思いをしたある時、苦しみを見かねた天国の祖母が『もう、こっちに来る?』と夢の中に現れた。ルイさんは、その優しさに触れ、感謝しながらも、今行くべきではないと思った。



    英語版の表紙



【作家活動】


 小学校の時から日本画を習い、デッサンも勉強したルイさんだが、作品は鉛筆と色鉛筆で描く。絵本は4冊を出版した。いずれも自身の体験に基づいて作られている。祖母への思い、祖母の教えがたくさん詰まっている。



   今年初めて個展を開いた。5作品目になる画集の原画を中心に展示された。毛の一本一本写実的に表現する。「手で触り、心で見る」うさぎへの愛情が伝わってくるようだ。モデルは今まで家族として一緒に暮らしてきたうさぎである。






【これからのこと】


 多くの人に支えられ、ルイさん自身も何かの役に立てば、と経験を話す。その姿勢がまた皆に勇気と自信や希望を与えているのだろう。


    (わかやま新報女性面掲載)