# かなり前の文章ですが、
  大好きな尾道をコラムに





神戸・垂水漁港で
メバルが釣れ始め
ぎょろりとした
目、愛敬のある顔。
春告魚の別名もあ
る。イカナゴも瀬戸
内に入り、次はタイ
が外海から戻ってくる。

▼初春の山陽路の車中で「文
化経済学事始め」(梅棹忠夫監
修・総合開発研究機構編=学陽
書房発行)を読む。文化の経済
的効果を各種の事例を使って検
証していく。国立民族学博物館
の場合、満足度など独自の指標
を使い、ハードよりソフトで
「道路など公共投資と同じ効果
があった」ことを実証する。 大
阪市の「文化情報センター」、
宮城県中新田町の「バッハホー
ル」などの分析も興味深い。


    文学公園と尾道水道




▼福山駅で乗り換え、尾道に入
る。海岸通りを歩くと潮の香が
におう。林芙美子が愛した文学
の街も新幹線の通過都市になり
やや沈滞気味。そんな中で、市
と商工会議所が企画した「絵の
まち尾道四季展」が全国に反響
を呼んだ。グランプリは広島県
府中市の会社員の作品「春うら
ら」。尾道大橋をバックに、千
光寺公園から桜咲く市街地風景
を描いたもの。全国各地から集
まった応募作品九百七点が三月
いっぱい商店街のショーウイン
ドーに飾られる八百年の歴史
がある尾道の商店街。文人が多
くやって来た地だけに商人も絵
や和歌などを楽しむ人も多い。
リーダーの一人、井原義人専務
理事は「街頭ギャラリーをテコ
に、長い目で戦前のにぎわいを
取り戻したい」と意気込む。


   林芙美子さん


▼海岸の漁師町をサンフランシスコ
のフィッシャーマンズ・ウォー
フやロサンゼルスのファーマー
ズ・マーケットのような魅力を
持たせる計画も面白い。 海産物
の流通基地を生かし、鮮魚バザ
ールのようなしかけをつくるこ
とが急がれる。 シーサイドの現
代的演出はどこの港町でも必要。
ソフトを中心にした  尾道の
"文化経済事始め"、全国の商
店街にもいくつかのヒントを与
えてくれる。

 (岩田 誠)

   日経MJ(流通)掲載




   尾道市は風光明媚な景観で知られ、広島県で有数の観光地として人気があります。市街地のすぐ北の山には、千光寺や浄土寺などの寺社が多く鎮座。その山を縫うように走る道と家並みが特徴的なため、尾道は「坂の街」とも呼ばれます。


     そして地元出身の映画監督・大林宣彦が、尾道の市街地を舞台にした映画(通称:尾道三部作)を制作しました。そのため尾道は、映画の街としても知られています。