『包帯クラブ』(2007年)、これはまさに名品です。お勧めですよ。その年のブルーリボン賞では作品として邦画ベストテン入りし、堤幸彦(左)は監督賞候補に。





     主演は柳楽優弥と、石原さとみ。


    柳楽は下手な関西弁で傷を負った少年を大げさに演じ、しかし何か抱えていることを感じさせてくれ、ワラを演じた石原のコンビも絶妙です。


    大雑把な筋書きを紹介しましょう。


   ワラは両親の離婚がきっかけで投げやりな生活を送っていたが、病院の屋上でディノと出会う。



     ディノは少し変わった男の子で、傷そのものに包帯を巻くのではなく、傷ついた場所に巻くというアイデアを披露する。たとえばフェンスで手に怪我をした場合、手ではなくフェンスに包帯を巻く。







      その場ではつっけんどんな態度で去ったワラだったが、傷ついた友達をなぐさめようと同じように傷ついた場所に包帯を巻くと「すっごくいいよ!」と言われ、気づけばディノも加わって「包帯クラブ」を結成することになった。



      包帯クラブを結成した彼らはWEBサイトを立ち上げ、誰かの傷ついた出来事とその場所を投稿してもらい、その空間を包帯というモチーフで切り取っていく。



 誰かの癒しになる──自覚はあるものの次第にその活動は彼ら自身の過去の傷をあぶり出す行為にもなってゆくーー。





       ロケ地は群馬県高崎市。実は筆者が中・高校時代を過ごした思い出の多い地です。



  高崎のシンボル 白衣観音


    様々なシーンが青春時代と重なり、甘酸っぱい気分に浸れるのも郷里が映画のロケ地になればこそでしょうか。(岩田  誠)