裕次郎映画「狂った果実」テンポよく




「人は誹(そし)るとも 潮の香にむせぶ この想い 今日の日もまた 帰り来ぬ 夏の夢」(石原慎太郎作詞「狂った果実」)

      

   最近、DVDで「嵐を呼ぶ男」をはじめ、「狂った果実」「あじさいの歌」「黒部の太陽」「太平洋ひとりぼっち」「幕末太陽傳」など裕次郎の映画を立て続けに見て、映画の楽しさを味わった。


 「狂った果実」(津川雅彦との2人主演)の歯切れの良いタッチとストーリーに、ヌーベルバークを代表するフランス映画のフランソワ・トリュフォー監督が影響を受けたとも言われる。芸術的価値も高かったのである。監督は中平康。 






 裕次郎映画に惹かれるのは、主人公以上に日活の女優の魅力が大きい。「嵐を呼ぶ男」での姉御肌の北原三枝も良かったが、「狂った果実」の髪の長い不良っぽい役の方がより印象に残る。

   「夜霧のブルース」のややネクラな浅丘ルリ子もよかった。吉永小百合、芦川いづみ、笹森礼子、中原早苗、和泉雅子、清水まゆみ、松原智恵子もいた。


    清水まゆみ



一言で言えば「スレていない美しさ」とでも言えようか。当時の松竹、東宝、大映の大女優と違って、彼女たちのナマの生活が即演技につながるようなところがあった。



  中原早苗と芦川いずみ



    スレっからしばかりの今の世の中、何事にもスレない事は難しい



   (岩田  誠)